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アカイイト  作者: 麿兄
5/5

伍 会話




「何してんだ?」


[パー…パー、トナーに連絡とれないかなって再確認]


「その携帯、完全に沈黙してるように見えるんだが、俺の気のせいか?」


[沈黙? どゆコト?]


「とりあえず形式上お前の言う通りにクロ子と呼ぶが、クロ子は携帯買ってもらったばかりなのか?」


[ずっと前から持ってたけど、普段は通信機があるから携帯電話って使わないのよ]


「通信機?」


[あの、アレよ。迎えに来てくれる…えー…妹とのプライベート回線があるのよ]


「どこかのご令嬢か何かでございますか?」


[ま、まぁそんなトコよ]


「しかしその妹に連絡できないんじゃ、どうしたって迎えに来てもらえないんじゃないか?」


[あたしのカラダ…携帯にGPSを仕込んでてね。あたしの帰りが遅いと迎えに来てくれるのよ]


「…よく迷子になるんだな。そうでなければそんな物付けられないよな」


[うるさいっ! 子供扱いしないで!]


「あっぶねぇ…急に暴れるなよ、ベンチがひっくり返るところだったぞ」


[あんたが悪いんでしょ]


「あんたあんたって、ちゃんと名前は言っただろ?」


[ツバキ、だっけ? 別にいいじゃない。小さいコトばっか気にしてると器の小さい男になるわよ]


「こいつ…」


[ねぇねぇ]


「ん?」


[チョココロネ食べないの?]


「急に食欲が失せてな。なんでだろうな? なぁ?」


[あたしがわかるハズないじゃない]


「本当に、こいつ…」


[いらないんなら、あたしが貰ってあげようか?]


「欲しいならそう言えよ。パンのひとつやふたつ、いくらでもやるよ」


[じゃ、仕方ないからあたしが食べひぇはへふへ]


「口に物を入れながら喋らない」


[ふぁーい]


「いい天気だな」


[もにもに]


「風が涼しくて、でも日差しは暖かくて、草や土の香りがして」


[もにもに]


「制服に拘束されてないなら、もっと気持ちよかったんだろうなぁ」


[もにもに]


「……」


[もにもっ…あ!]


「なんだ、どうかしたのか?」


[あたしが買ったのよりチョコが多い気がする]


「どこまでもどうでもいい上に、驚愕した点の度合いがあまりに小さすぎる」


[もにもに]


「…はぁ」


[もにもっ…!]


「奇妙な租借音で感情を表現しない」


[パールー!]


「真珠?」


[ごちそうさま。アレがあたしのお迎えよ]


「やっと解放されるのか」


[なんか言った?!]


「特にこれといって何も」

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