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日常


「サラちゃん、あーそーぼー」



同級生で、クラスで一人浮いてしまっていたサラに声をかけてくれた男の子だった。


…でも、わたしは。



わたしは、浮いてしかるべきなのかな、とも思う。

だって、わたしは。

私はーーーー



その男の子が、わたしに手を差し伸べてくれている。

わたしも、その手に誘われて、一緒にーーーーー





そう思った途端、何かが頭の中を横切った。




『いい嬢ちゃんじゃねえかよぉ』

『まだガキだが、売れるとこには人気だろ』

うすら汚いじじい共達と、それの下卑た笑い声。

そしてそれに囲まれて、泣く気力も残されていないかのように、満身創痍の身体で、うつむいている、少女。







それの気持ち悪い笑みとともに差し伸べられた手と、優しい男の子の、手が、重なる。




あ、嘘…


嫌、やだ……。




生理的に押し出された涙が、頬に伝う。

頭の中は、嬉しいのと、気持ち悪いのと、さっきのフラッシュバックと、もうぐちゃぐちゃだった。


そのまますうっと手足の先が冷えて、言うことを聞かなくなる。

がたがたと震える。冷気が全身を支配する。カチカチと歯がなった。

急に胸を押す不快感。それがのどにせりあがってくる。





……わたしは部屋を飛び出した。

「サラちゃん!!!?」という男の子の声に、たくさんの罪悪感と、少しの、たったほんのすこしだけ、羨望の気持ちを持ちながら。







……ごめんなさい。あなたが悪いんじゃなくて、全部わたしがーーーー

あぁ、でもわたしにはそれを伝える術が、声が、無いから。
















ーーーーーーだから、いまは、ごめんなさい…ーーーーーー

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