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アリスの考え事
私は目の前が真っ白になった。
名前…わかんない。
「……」
ふるふる、と首を横に振る。
「そっか。わかんないかぁ。声、出せないの??」
こくん。
「じゃあ、前いたところとか、一緒にいた人とかは?」
私は何処にいた? …わかんない。
一緒にいた人… わかんない。
「ん、何にもわかんないかな。」
どうしよう。なんにもわかんない。
半分混乱した頭を振る。
思い出そうとしたら、余計に頭が痛くなってきた。
「~~!!」
「ちょ、大丈夫?? …気、失ったのかな」
少女が気を失った後、アリスは人知れずため息をついていた。
どう見ても少女のあの傷は転んだ、とかどころの問題じゃない。
家庭内暴力か、あるいは虐待か…?
勝手な想像だが、アリスはそうではないかと疑っているのだった。
まぁ、どちらにしろ、彼女が覚えていなくて良かったような話だな。
重い話だ。とても子供たちの前で考えられることではない。
アリスは少女の身体をベッドに横たえながら、もう一度ため息をついた。