アリスとその少女の出会いの話
「ねーねーアリスおねーちゃん、今日は何するの???」
「うーん、今日は…。天気が良いから向こうの砂浜まで行って海で水遊びしようかー!!」
「やったぁ!!海!!お水遊びー!!」
ここはハル孤児院。
そこに勤めている私。
今日は子供たちと一緒に朝から海に行こうと思います!!
海へと行く道のりの間。
「明日の晩御飯、何がいい?」
「うーん、ハンバーグ!!」
「あっ、僕もハンバーグー!」
「わかったー。じゃあハンバーグねー」
「「やったぁ!!!」」
「リオは今日、何して遊ぶの?」
「えっとね、貝殻集めてー、おみずパシャパシャするのー」
「そっかー。楽しそうだね!」
「うん!」
などというような他愛ない話をしながら笑い合う。
うーん、至福のひと時。楽しい。
海へ着いた。子供たちを遊ばせておき、私はそちらの様子を気にしながら本を読む。
確かそのときだっただろうか。
子供たちの中でも一番年長のキリが私のもとへ走ってきたのは。
「おねーちゃんっ!!! 人が、女の子が打ち上げられてる!!」
「へ!? 何ですって!?? どこ!? 案内して!!」
「うん、分かった!!! こっちだよ!!」
その状況を見た私は瞠目した。
一目見ただけで酷いと分かる傷、体中の痣。
見た目の年齢で言うなら、まだ5歳いっているか…と言うところだ。
「ひどい…。皆!! 今日は院に戻ろう!!」
言いながらその少女を抱き上げる。
私は少女の軽さに驚愕した。
もともと細いとは思っていたが、これじゃあ命さえ危ない。
私はもう一度、「戻るよ!!!」と声をかけた。
この子達は皆物分かりがいい。私が抱えあげた少女を見てもなお、駄々をこねる子はいなかった。