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町役場にて2


ゆっくり更新のハズが……海開きまで時間がな……ゲフ


「あー。こうも連日忙しぃと、流石に肩こるなぁ」


 六日の祭りの準備の合間に、資料室の片隅でディスクワークをこなす。

 カタタタタ、軽快にノートパソコンのキーを叩くのは、黒髪に黒縁眼鏡の男性。


「あーもう。いいなやそーゆーことは。ただでさえ雨でうっとおしいのに。こっちまで肩こってくるわ」


 その声にさもうっとおしそうに告げるのは、茶髪の気怠げそうな男性。シャツの袖を腕まで捲り、カチカチと携帯をいじる。


「せやゆうけどなぁ、香我見クン……っ!」


 と、茶髪の男性、香我見に振り返ってそう言う黒縁眼鏡の男性の言葉が、不意に止まる。


「? どないしたん、佐々木君?」


 それに訝しげに小首を傾げ、黒縁眼鏡の男性、佐々木を見やる香我見。

 ぽかんとしたような佐々木の顔に、佐々木が見ている方向、外は雨だが、換気の為開けている窓へと香我見が視線を向けるより早く。


「妖精さんがおるで! 香我見クンっ!?」

「はぁ?」


 声を上げ、速攻で資料をまとめ上げ、きっかり印刷ボタンを押してから、窓際へと駆け寄っていく佐々木。それを追って、アホがとうとうアホになったかと香我見が後ろを振り返えると。


 にこにこにこ。


 雨の中ビニール傘をさし、満全の笑顔を向けている栗色のくるくる髪の少女が、そこにいた。

 組んだ手を窓の縁に預け、その上にちょこんと顎を乗せ、此方を覗き込んでいる。

 髪と同色の栗色の瞳は、キラキラと光を放っていた。


 傘に落ちる雨粒が電気の光を跳ね返してキラキラとして、目の前の少女は確かに、雨の化身かのようなキラキラのエフェクトを背後に背負っていたが。


「こんなトコで、ナニしてんの妖精さん?」

「どう見ても人の子やっちゅーの」


 まだアホな事を吐く佐々木にうっとおし気に突っ込んで、香我見がその少女、汐に訊ねる。


「どないしたんや? 一人か?」


「うぅん。お母さんと(むつみ)お姉ちゃんと一緒だよ」


 汐のその可愛らしい声に後ろでぷるぷる悶えている佐々木を放って、香我見はちらりと左右を見渡し。


「姿、見えへんけど?」


「今、じゅーみんとーろく中なの。海の家開店の為に来たんだよ」


 香我見の言葉に素直に答える汐。

 そんな汐に、更に香我見が訊ねる。


「そぉか。で、親御さん君が……」


「汐だよ」


「……汐ちゃんがここにおんの、知ってんの?」


 香我見のその言葉に、汐はえへ、と笑う。

 その笑みに、これは知らへんのやな、と香我見は胸中で呟き、告げる。


「あかんで。ちゃんとゆーて来やな。心配しとるんとちゃうか?」


「ごめんなさ〜い。でも、とっても珍しかったから、もっと近くで見てみたくなったんだもん」


 素直に謝り、上目遣いに汐は香我見と、そして後ろの佐々木を見つめる。


「珍しいて、何が……?」


 香我見の後ろから、佐々木が何とかそう声を挟んだ所に、


「う〜し〜お〜っ! こんっなトコにいた!」


 ぱしゃんと水を跳ねさせた音と共に、怒気を含んだ女声が聞こえ。

 それにビクリとして苦笑いを浮かべ、


「見つかっちゃったから、もういかなくちゃ。お兄ちゃん達、道教えてくれてありがとう!」


 聞こえるようにそう言って、声のした方へと汐は走り出す。


「あ、ちょっと!?」


 その後ろ姿に慌てて佐々木が声をかけ。

 その声にくるりと汐は振り返り、こっそりと、呟く。


「お兄ちゃん達は、〈正反対のキラキラ〉なんだね。あ、でも、ちょっとだけお互いに混じり合ってるのかな? そんなの初めてだったから、凄く珍しかったんだよ。だから、ありがとう」


 そうして、置いてくよ! の声に慌てて走っていくその小さな後ろ姿を、香我見と佐々木の二人は、ぼんやりと見送り。


 暫し立ち尽くしてから、呟く。


「やっぱり、妖精さんやったんやって!」


 はっとして興奮気味に告げる佐々木に、


「……そおやな」


 香我見はぼそりと、そう告げる事しか出来なかった。


 窓を閉め、各々の仕事に戻る二人の耳に、ザーザーと降る雨の音だけが響いていた――……





 余談。

 母太陽に変わって陸が運転する車内で、汐は太陽に散々、お説教されるハメになったのでした。



はい。汐ちゃんの〈ある事〉がわかる回二回目でした(笑)


たぶんこれから汐ちゃんだけ?だとこれっぽい話になる感じですかね


他にもキャラがいるので、色々織り混ぜてにはなりますが


町役場にて2では

弥塚泉様のばかばっかり!から佐々木君と香我見君をお借りしました


おかしな点、問題点などありましたら、ご連絡頂ければと思います



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