4 戦女神と書いてバカと読む
ついに戦闘シーンです。
真剣勝負においては、だいたいこんな感じで書いていくことになるかと思います。
タイトルについては後半で。
太陽は西に傾き始め、未だじりじりとした熱を伝えてくる。
時折草原を渡る風が、火照った身体を僅かに慰めてくれていた。
目の前には両腕をだらりと下げたツカサ。
俺は右足を引き、身体を右斜めにして、木刀の先を右後方に引き、ツカサからは柄しか見えないようにする。剣道で言うところの「脇構」だ。
じりじりと、つま先だけを使って距離を詰める。ツカサが気づいていないはずが無いが、俺の攻撃を待ってくれているんだろう。
これまでの経験からか、どこに打ちかかっても防がれ、反撃を受けるイメージしか浮かばない。
俺の動きを読んでいるのか、それとも反応速度が怪物じみているのか。
いずれにしても、おそらくはこれが、「隙が無い」ってことなんだろう。
でも、このままじゃ埒があかない。俺はじりじりと距離を詰め――不意に、つま先に当たった小石を蹴りあげた。
ツカサは微かに笑み、迫り来る小石を右腕で払う。――今だ!
勢いよく地面を蹴り、間合いを一気に詰める。
木刀が届く間合いになったと確信すると、右後方に構えていた木刀を左上方に向かって振り上げる。
だが、ツカサは当然のように、残った左腕で木刀を払う。
小石を払ったままの右腕はその位置からぐるりと回り、掌打を放つ。
木刀を払われ、体勢を崩していた俺は、しかし、逆に崩した方向に身体を傾け、左足を中心に一回転。ツカサの右肩に向かって斬り付ける。
攻撃を躱され、同時に反撃を受けたツカサに、それを避ける術はない。
木刀は真っ直ぐにツカサの右肩に吸い込まれ――その直前で、ツカサの左手によって捕まれた。
まずい、と思う間もなく吹っ飛んだ。
攻撃を受けたわけじゃない。反射的に木刀を引き戻そうとした俺に合わせ、ツカサは握っていた木刀を前に押し出したのだ。俺とツカサ、二人分の力を受けた俺の身体は、後方に吹き飛ぶことしか出来なかった。
地面に叩き付けられ、肺から空気が絞り出される。
衝撃と酸欠によって目の前が薄暗くなる俺の耳に、ツカサの声が届いた。
「なかなか、攻撃の組み立てがうまくなったな。特に、石を蹴りあげ、攻撃の機先を作ったのは良い発想だ」
「くっそー……今日こそは、一撃入れられると思ったのに……」
ツカサが言うには、訓練の際、常に俺と同じ能力値にまで落としているらしい。
つまり、単純に技量と経験のみで戦っているということだ。
俺の技量が上がれば、一本取ることは不可能ではない。
「方法はあったのだぞ? 木刀を捕まれた際に、引くでも突くでもなく、それを捨て、無手にて立ち回れば良かったのだ」
「でも、実戦で武器を捨てるってのは、結構難しくないか? 素手だと牽制程度のダメージしか入れられないし」
「今のように無様に地を這うよりはマシであろう。
それに、予備の武器――ナイフなり脇差なりがあれば、それを使えば良いだけのことだしな」
「刀は武士の魂じゃなかったのか? そう簡単に捨てていいの?」
「それは『武士』という職業の者の話だな。我らは『剣術家』であり、一本の刀にこだわる必要性はまるで無い。
こと、生き死にのかかった実戦においては、なによりも生き残ることが重要だ。
刀を持ち続けることで、逆に絶対的に不利な状況に陥ると分かっているならば、刀を捨てて活路を見出せ」
頷くと、「ぴろん」と間の抜けた電子音が聞こえてきた。どうやら、今の稽古でレベルが上がったらしい。
IM :レベルアップ(4→5)
筋力+1、体力+1、敏捷+1、器用さ+1、知力+1、魔力+1
「運命神の加護」により、能力値追加上昇
体力+1、敏捷+1、魔力+1
LV :5
経験値 :217/375
状態 :健康
クラス :初級魔術師 Lv.4、見習い剣術家 Lv.5
信仰 :運命神の加護 Lv.1、斬神の加護 Lv.1、知識神の加護 Lv.1
称号 :《斬》を目指す者
HP :32/144
MP :26/145
SP :56/127
ATK :81.5
DEF :21.5
スキル :雷流・見習い(P)、俯瞰(P)、先の後(A:5)、旋舞(A:10)
魔術 :初級地魔術、初級水魔術、初級火魔術、初級風魔術、
初級光魔術、初級闇魔術、初級無魔術、初級精霊魔術
装備 :木刀(ATK+5)、布の服(DEF+2)、布のパンツ(DEF+2)
残ポイント:31
あらためてステータスを見てみると、多少は強くなったかな、と思える。
……しかし、「実際的な授業」に入った途端、なぜか毎回全能力が上がるようになったな。
ツカサが言うには、「能力値上昇に必要な経験値が、他の者よりも少ないのだろう」とのことだ。
通常は、筋力が上がりやすい人は知力が上がりにくい、などの制限がある。
つまり、戦士系の人が魔術を習得し、主に魔術でレベルを上げても、知力、魔力を上げるために必要な経験値が得られていなければ、レベルを上げても何の能力値も上がらない、ということもあり得る。
それを判断するのはレベル1時の初期能力値で、その能力の偏りによって進むべき道を決めるのが一般的だという。
幸か不幸か、俺はすべての能力値が10だった。
つまり、すべての能力値は、同じ割合で成長する可能性がある、ということのようだ。
要するに剣術と魔術をバランス良く使ってレベルを上げれば、全能力が上がるってことだな。
まあ、実戦でバランスを意識するのは難しいから、いつかは崩れていくんだろうけど。
ところで、いくつかスキルを習得してるけど、ツカサの宣言どおり、BPは消費していない。
日々の訓練によって、単なる動作が技に昇華し、スキルと認められたのだ。
ちなみに、各スキルの詳細は、
雷流・見習い(P):雷流の技を使うことができる。
俯瞰(P):目の前の敵に集中しながらも、五感のすべてを使い、周囲の情報を読み取ることが出来る。
先の後(A:5):攻撃後の隙が少なくなり、敵の反撃を避けやすくなる。また、次の攻撃につなげることが出来る。
旋舞(A:10):攻撃後の反動を、次の攻撃に上乗せできる。発動後、さらに発動することにより、攻撃力が累積する。
となる。ちなみに(P)はパッシブの略、つまり常時発動のスキルで、SPは消費しない。
(A)はアクティブの略、つまり明示的に使用することで効果を得る。こちらは(A:○○)の、○○の数値分、SPを消費する。
さっきの訓練でも、もちろんスキルは使っている。
ツカサに対峙しながらも【俯瞰】で小石の存在に気付き、初撃の直前に【先の後】を使い、【旋舞】で二撃目を繰り出した。
木刀を掴まれたことで攻撃が中断したが、もしも弾かれていた場合、【旋舞】を上乗せすれば、さらに強力な攻撃を繰り出せたんだが……まあ、今のままじゃ、威力以前の問題だな。
俺をじっと見つめていたツカサは、おそらく、俺のステータスを見ていたんだろう。感慨深げに頷いた。
「……主がここに来て2週間。ついにLVが5に上がったか」
「2週間か。成長速度的にはどうなんだろ?」
「一月で辿り着くことを想定しておったから、かなり早いと言うべきだな」
「……レベル上げるのって、かなり大変なんだな」
「然り。されど、主にはサクラの加護があるからな。一般の冒険者よりは苦になるまいよ。
もっとも、レベルで上がるのは身体能力のみだ。技量と経験次第では、レベルの差など容易に覆せる。
決して奢らず、諦めるな」
頷く。自分の方が圧倒的にレベルが高かったとしても、舐めてかかれば敗北することもある。
その逆に、相手のレベルが高かったとしても、それだけで絶望する理由にはならない、と言うことだろう。
「でも、やっぱまだまだ差があるなあ。ツカサの強さの底が見えないぜ」
「昨日今日刀を握ったばかりで何を言うか」
苦笑するツカサに、俺もまた苦笑を返す。
――さて、そろそろ体力も回復した頃か。
立ち上がり、頭を下げる。
「もう一本、お願いします」
「うむ。先の注意を忘れぬようにな」
はい、と答え、俺は再び構えを取る。今度は奇を衒わず、正眼に木刀を構える。
再び、じりじりと間合いを詰める。力を溜めに溜め、やがて一気に吐き出す――
「その勝負、待ったーっ!」
文字通りに気勢を削がれ、思わずよろめく。
ツカサに意識の大半を向けたまま、声のする方向――俺から見て右手奥、ツカサの背後に視線を向ける。
そこにいたのは、金髪碧眼の美女だった。
年の頃は二十代前半ほど。ぱっちりとした目に宿る鋭い光、凜とした雰囲気、隙の無い物腰は、容易に武人であることを連想できる。
身長はおそらく170前後。俺よりも拳ひとつぶんくらいは高い。
体付きはすらりと細く、しなやかだが、胸にそびえる二つの巨峰は、まさに女性であることを主張していた。
ツカサはやれやれとため息を吐き、手振りで訓練の中断を伝えると、見知らぬ美女に向き直った。
「――オルフェリア。何の用だ?」
「聞けばこの者を一人前にするべく、ツカサどの御自身が鍛えておるとか。
そんな面白そうなことを私に黙っているなんて、ズルいですぞ!」
「……狡い、と言われてもな。――見てのとおり、タクミはあまり体格に恵まれておるとは言えぬ。
筋力を重視する『剣』よりも、速度と器用さを主体とする『刀』の方が向いておると思ったのだ。
となれば、剣しか教えられぬ主を呼んでも仕方があるまい」
「しかし、ラフィール大陸では剣が主流! と言うか剣術家など居りませぬ!
この者には刀の方が向いている、というツカサどののご意見はご尤もなれど、剣士との戦い方を学ぶことは、決して無意味ではありませぬ!」
「……相変わらず、戦のこととなれば頭が回るな」
小さくため息を吐くと、ツカサは俺に向き直った。
「――紹介がまだであったな。この者の名はオルフェリア。エルガイアにおける、闘争の女神だ」
「よろしく頼むぞっ!」
紹介された金髪の美女は、満面に笑みを浮かべた。一点の曇りもないその笑顔に気圧されながら、俺は頭を下げる。
「は、はあ、どうも。斎城拓巳……タクミ・サイジョーです」
「サイジョー・タクミ……タクミ・サイジョー……サミーと呼んでも?」
「やめてください。タクミで。タクミでお願いします」
パチスロメーカーっぽい愛称を付けられそうになった俺は、速攻で否定した。
だが、俺が嫌がっていることなんてまったく意にも介さず、オルフェリアは大笑する。
「はっはっは、そんなに照れなくてもいいぞサミー! 私のことはルファでいいからな!」
「いや、照れてるんじゃなくて嫌がってんですけどね。あの、聞いてます?」
「さあ、自己紹介もつつがなく終わったことだし! いよいよ実戦に入ろうか!」
言うなり、オルフェリアはどこからともなく大剣を取り出し、ぶんぶんと景気よく振り回し始める。
彼女の身長ほどもあるそれは、光の反射具合と言い、重い風切り音と言い、間違いなく真剣だ。
「うわーダメだこの人、人の話聞かない人だー。って、ツカサも黙って見てないで、なんとか言ってくれよ!」
「うむ」と重々しく頷いたツカサは、素振りを続けるオルフェリアに話しかける。
「オルフェリア。真剣ではなく木剣を使え。これは実戦ではなく、訓練なのだからな」
「そうそう、真剣は当たると死んじゃうからね――って、やり合うの確定なの!?」
「あれはたしかに阿呆だが、戦においては一流だ。あれの剣に慣れれば、そこらの剣士にはそうそう遅れを取るまいよ」
「……まあ、一理有るっちゃあ有るか」
しぶしぶと納得する俺。だが、当のオルフェリアは不満そうな顔だ。
「しかし、実戦に勝る訓練はありませぬ! 命を掛けた闘いの先にこそ成長がある!」
「戯け。仮にも戦女神と呼ばれた主相手に、駆け出し未満が実戦を挑んだところで、むざむざ命を落とすだけであろう。
それに、そんな弱者を一刀のもとに斬り捨てたところで、主は満足できるのか?」
「……むう。それは、確かに……」
「それよりも、訓練で鍛えて送りだし、エルガイアの地で実戦を積ませれば、いずれは主と全力で戦えるようになるかも知れぬ。
そちらの方が良いとは思わぬか?」
「おお! なるほど!」
目を輝かせ、持っていた大剣を、無造作にぽいと放り捨てるオルフェリア。
……な、なんか雲行きが怪しくなってきたような? このままだと、いずれ神様と戦わなきゃならないのか?
「それではサミーどの! 右手……はすでに塞がっているな。では、左手を出してくれ!」
唐突にそんなことを言い始めるオルフェリア。
きっと彼女を理解することは出来ないんだろう、とある意味悟った俺は、何も考えずに左手を差し出す。
オルフェリアは両手で包み込むようにして握り、手の甲を上に向ける。
「――我が名は闘争の神、オルフェリア。その名の下に、汝、タクミ・サイジョーに加護を与える」
そう告げると、彼女は俺の手の甲に口付けた。
――え、何の前触れもなく加護を!?
なんて驚く俺を余所に、エルミナらのときと同じように、身体から光があふれ出す。
やがて光は左手の甲に収束し、交差する剣に似た痣が刻まれた。
「私の加護は、全クラスの成長率が5%上昇し、取得経験値が10%上昇するぞ! まさに戦士のための加護だな!」
「ありがたいけど……サクラの加護で経験値50%上昇があるんだよな。この場合ってどうなるんだ?」
単純に上昇値が増えるのか。大きな上昇値のみが有効とされるのか。前者ならいいが、後者ならまったくの無意味だ。
悩んでいると、ツカサがあっさりと答えを口にした。
「単純に50+10%で60%増加だ。クラス成長率についても同様だな」
「なるほど。そりゃありがたい」
「そうだろうそうだろう!」
褒められたと思ったのか、満足げに何度も頷くオルフェリア。
そして、今度はどこからともなく、木で出来た大剣を取り出してきた。
「準備も整ったことだし! さあ、訓練を始めようか!」
……何という脳筋。本当に戦うことしか考えてないのか。
見た目は清楚な金髪美女なのになんて残念な……
俺は溜息を一つ付くと、地面に転がっていた木刀を手に取る。
構えは――基本中の基本、正眼でいいか。なんだかんだ言って、大剣を相手取るのは初めてだしな。
攻防に優れた正眼なら、ある程度の対処は可能だろう。
オルフェリアはにっこりと微笑むと、無造作に踏み込み、上段から大剣を振り下ろした。
木剣のはずなのに、振り下ろされる剣には淡い金色の光が宿っている。――これが剣スキルか!
剣の軌跡は目で追うのがやっと、という尋常ならざる速度だ。だが逆に言えば、目で追うことはかろうじて可能だ。
ぎりぎりで避け、弾いて体勢を崩し、【旋舞】で連続攻撃をかける。
そんな流れが一瞬で頭に浮かぶが、直後、小手先の戦術は恐怖一色に塗り潰された。
恐怖に従い、大きく右に跳ぶ。
余裕が有り過ぎるほど余裕で回避されたオルフェリアの剣は、地面へとぶつかり――直後、爆音と共に空中にいる俺の身体は吹っ飛んだ。
無様に地面に叩き付けられるのだけは避け、受け身を取り、転がって間合いを離す。
見ると、剣の触れた地面は、直径一メートルほどのクレーターと化していた。
「ちょっ――な、なんだその威力は!」
「よくぞ避けた! 今のは剣の基本スキル、【スラッシュ】だ! 最終ダメージに筋力×10%のボーナスが入るぞ!」
「おいおいどこが基本スキルなんだよ! 地面抉れとるやないけ!」
「今の私の筋力値は5000オーバーだからな!」
「アホか! ボーナス分だけで4回は死ねるわ!」
現在の俺の最大HPは144です。
「むう、これでもだいぶ落としているのだが……主に筋力値以外を」
「いやいや、むしろ筋力値を真っ先に落としてくれよ! 擦ったら死ぬとか、それ、もう訓練じゃないからね!」
本気で食ってかかっていると、ツカサが深々とため息を吐く。
「戯け。目的をはき違えて何とする。主の信徒に、筋力値が5000を超えた者が居るのか?」
「はっはっは、さすがにそこまでの者はいませんな! 最も高い者でも200程度でしょうか!」
「ならば100程度まで落とせ、阿呆。今のままでは訓練以前の問題だ」
「なんと……! それでは敵に勝てぬではありませぬか!」
「倒して何とする。何度も言うが、これはタクミを成長させるための訓練だ。
――同意できぬのならば、とっとと去ね」
無表情ながら、ツカサの目がぎらりと光る。
眼光をまともに浴びたオルフェリアは、顔色を真っ青にし、直立不動になった。
「わ、わかりました! 申し訳ありません!」
ツカサはため息を吐くと、俺に向かって手を振った。
爆撃を受け、少なからず減っていたHPが、それだけで最大値まで回復する。
「さんきゅー。……しかし、筋力値5000とかのバケモノでも、おまえには頭が上がらないのな」
「地方神と概念神にはそれだけの差がある。どれだけ強くとも、蟻では象に勝てぬであろう」
まさに強さの次元が違う――ってことか。まあ、それは俺とオルフェリアにも言えるんだろうけど。
……あれ。それじゃあ、俺がどれだけ実戦で経験積んでも、オルフェリアには届かなくね?
「神とは完成されたモノだ。故に劣化はせぬが、成長もせぬ。
だが、ヒトは不完全なモノだ。故に努力を怠れば劣化し、努力を続ければ成長する。
確かに不可能にも等しい可能性ではあるが、ヒトが神をも超える成長をすることはあり得る」
「なるほど、一理あるな……って、LVを5000程上げろと?」
って言うか上がるのかそんなに。普通のRPGだと限界は99だぞ?
「安心しろ! 気合いと根性さえあれば限界なんて簡単に超えられるぞ!」
「………………。いやー、それはちょっとどうかなー。
……ちなみに、オルフェリアの信徒で一番レベルが高い人って?」
「タラール帝国の英雄、狼の獣人族である双剣のオルナック・ラスタビートだ! 物心付いた頃より戦場に立ち、今ではレベルは203だぞ!
そしてサミー、私のことはルファと呼べ!」
「あー、そういえばそんなこと言ってたっけ……分かったよ、ルファ。
それで、どうせならその人を鍛えたら? 俺なんてまだレベル5だよ?」
「残念ながらもうじき200才で、さすがに戦場には立てんのだ!」
「……そりゃ無理は言えんわなー。って言うか、獣人って長生きなのな」
200才って。
しかもオルフェリア――ルファの話しぶりからして、たぶん、引退するまではずっと戦場に立ち続けてたんだろうな。それでレベル203か。
俺はさすがに普通の人間だから、戦場に立てるのは、いいとこ50までだろう。
オルナックさんが150才くらいまで現役だったと仮定すれば、俺が得られるであろう経験値の4倍は取得してるわけだ。
ということは、俺の予想最高レベルは50くらい?
サクラやルファの加護もあるけど、それでもいいとこ100くらいが限界だろう。
とは思ったけど――
「……まあ、頑張ってみるよ」
「ああ! 期待しているぞ!」
目をきらきらさせながら微笑むルファ。
……不覚。ちょっと可愛いとか思ってしまった。
「さあ、それでは明日のために! これから死ぬ気で訓練だ!」
「いやいやいやいや、さすがに訓練で死ぬつもりはないからな!」
本話終了時の能力値は、
筋力:18(+7)、体力:18(+7)、敏捷:18(+12)、
器用さ:15(+12)、知力:17(+10)、魔力:16(+10)
となります。




