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(仮題)異世界に里帰り  作者: 吉田 修二
2章 駆け出し冒険者
16/29

3 今日から冒険者

感想、評価、お気に入り登録、ありがとうございます。


私事により投稿が遅れました。申し訳ありません。

 遠くから聞こえる鐘の音が、俺の意識を覚醒へと導く。

 ゆっくりと目を開けると、あたりはまだ薄暗い。

 ――どうやら、さっきの鐘の音が、『一つ目の鐘』のようだ。


 欠伸を噛み殺しながら身を起こす。

 と、サクラの『お告げ』が聞こえてきた。


『あふ……なんでこんな早い時間に起きるのよぅ……。

 いい加減手動も面倒臭いわ……今後は自動にしようかしら。

 ――ええと、運勢指数は70%みたいね。「不慮の事故」で死ぬことは無いと思うわよ?』


「そりゃ悪かったな。10%ストックで」


『10%? 20%じゃなくて?』


「今日から早速依頼を受けるつもりだからな。さすがに不運で失敗したくもないし」


『50%あれば、そうそう不運で失敗することはないけどねぇ。

 ――ま、いいわ。りょーかい』


 サクラとの会話(?)を終え、下着を着替える。

 ――溜まってきたら洗濯しよう。



 教えられた水場で顔を洗い、タライに水を溜めると、30分ほど掛けてストレッチし、身体の凝りをほぐす。

 浮いてきた汗をタライの水で清める。



 朝の身支度が終わり、朝食を取ることにした。今日は打刀を腰に佩き、1階に降りる。

 さすがに丸腰だと舐められるってのは、昨日の夜に思い知ったからな。

 魔術もあるから、身を守る手段がないってわけでもないんだけど、わざわざ自分から目立つ必要は無いだろう。


 親父さんに鍵を見せ、軽く朝の挨拶をしてから、空いている席に座る。

 朝早いせいか、今の時間は席が選び放題だ。

 ちらほらと冒険者がいるが、あまり俺に関心を向けてはいない。

 寝起きで頭がぼーっとしてるのかな? まあ、面倒ごとがないってことは喜ぶべきことだよな。





 身支度を終えてもまだ時間が余るようだったので、フル装備で街の探索としゃれ込むことにした。

 時間が来たらそのままギルドに向かえばいいしな。


 ――しかし、時間、時間か。


 エルガイアの人々は、神殿が鳴らす鐘の音で、大まかな時間を知れれば満足みたいだけど、地球に住んでた現代人としては、やはり時計が欲しいな。

 出来れば目覚ましタイプの物と、腕時計――までは行かなくても、携帯出来るタイプの物が。



 そう考えながらふらふら歩いていると、いつのまにか人通りが多い区画にまで入り込んでいた。

 道の両脇にはさまざまな店が商品を並べ、行き交う人々を盛んに呼び込んでいる。

 どうやら、商業区か何からしい。

 見ると、生活に必要な物――野菜や肉、パンや衣類などが中心だが、雑貨、小物を売る店や、武器、防具を扱う店もある。


 小物屋で財布を買う。

 昨日はポーチを財布代わりにしていたが、ポーチの収納限界数は100個と、それほど多くない。

 そのため、硬貨を一旦財布に入れ、それをポーチに入れることで、アイテム枠を軽減する。

 このポーチは俺専用で、第三者は触れられないから、お金を掏られる心配も無い。

 いちおう、昨日小袋にお金を入れることで、軽減出来ることは確認しているが、さすがに専用の品じゃないから取り出しが面倒なんだよな。

 なので、硬貨ごとに分けて入れられるような財布が欲しかったんだ。


 その後、小物を数点買い込み、ついでに額を覆う為にバンダナを買い、武器屋や防具屋を少しばかり冷やかして時間を潰し、冒険者ギルドに向かう。





 ギルドへは二つ目の鐘が鳴る前に辿り着いた。

 中に入り、習慣であたりを見回す。

 昨日の夕方ほどじゃないけど、そこそこの数の冒険者らしき人々が、依頼を確認している。


 それを横目に見ながら、昨日の受付を目指した。

 数人の冒険者らしい一団が、緊張した顔つきで立っていた。

 あれ、順番待ちなのかな、と思っていると、昨日も対応してくれたエルフの女性が、俺を見つけ、にこりと微笑んでくれた。


「おはようございます、タクミ様。時間に正確ですね」


「おはようございます。――ちょっと遅れちゃいましたか?」


 人待ち顔の冒険者達に視線を向けながらそう言うと、女性は笑顔で首を振った。


「いえいえ。彼らも、タクミ様と同じく冒険者志望の方々です。

 本日は共に講習を受けて頂きますが、よろしかったでしょうか?」


「もちろんですよ。俺は教えを請う立場ですからね。否やはありません」


「昨日も思いましたが、タクミ様はずいぶんと礼儀正しいですね。ヤーマンの方は皆そうなのでしょうか?」


 そう訊かれ、俺はヤーマンの情報を思い出しながら答える。


「……まあ、そうですね。ヤーマン人は基本的に礼節を重んじますから。

 たぶん、その中で暮らしてたから、自然とこうなったんでしょうね」


 そう答えると、女性は目を輝かせた。


「まあ。ヤーマン王国は素晴らしいところですね」


「そうですか?」


「ええ。私たちエルフも、礼節を重んじる種族なんですよ。若い頃はそれが窮屈で、こうして外に飛び出してきたんです。

 もちろん後悔はしておりませんが、時折、故郷を懐かしく思うこともあります」


「『故郷は遠くにありて思うもの』と言いますからね。遠く離れても、拠り所があるというのは良いものですよ」


「そうですね。初めて聞く言い回しですが、不思議と心に響きます。

 ――なるほど、拠り所があるからこそ、異郷にいてもがんばれる、と言うことなんですね」


「……ええ、本当に」


 俺は故郷――自分の生まれ育った国を想った。生まれ育った国で、育んでくれた大地を、両親を、友を想った。

 どれだけ想っても、もう、帰ることは出来ない。

 でも、あの地で過ごし、学んだことは、間違いなく、俺という存在の中核を為している。

 それは、とても素晴らしいことだと思った。


 ふと気がつくと、女性が心配するような視線を向けてきていた。慌てて、笑みを浮かべる。


「まあ、冒険者になるのは昔からの夢でしたからね。いずれは成功して、故郷に錦を飾って見せますよ」


「錦を飾る、ですか?」


「ああ……立派な服を着て、胸を張って凱旋する、と言うような意味です」


「なるほど……。ヤーマンの方は、語学にも堪能なんですね」


「まあ、比喩や暗喩が好きな民族性ですからね。

 ――ときどき、互いに何を言ってるのか分からなくなることもありますけど」


 女性は「まあ」と言って目を丸くすると、口もとに手を当て、ころころと上品に笑う。


 ――うーん。エルミナの授業では、エルフはプライドが高く、礼節を重んじ、礼儀知らずを軽蔑するって話だったけど、彼女はずいぶんと話しやすいな。

 まあ、彼女はそれを嫌って故郷を離れたらしいから、たぶん、一族の中でも変わり者なんだろう。



 しばらく雑談していると、やがて二つ目の鐘の音が聞こえてきた。

 女性は一つ咳払いすると、俺を含めた全員に向けて話しかける。


「――さて、時間となりました。皆様には二階の会議室に向かって頂きます。

 こちらから見えます右手奥の階段を上り、すぐ右手側です。

 プレートがありますので、迷われることは無いと思いますが、もしも分からなければ、お手数ですが、一度こちらにお戻り下さい。

 会議室では、講師による初級冒険者講習を行います。

 講習終了後は、再びこちらにお戻り下さい。そこで冒険者カードを発行いたします。

 ――何か、ご質問がある方はいらっしゃいますか?」


 俺たちの顔を見回し、やがて女性はにこりと微笑んだ。


「無いようですね。それでは、会議室への移動をお願いいたします」


 俺たちは頷きで答えると、奥の階段を上り、二階に辿り着く。

 右の壁を見ると、確かに『会議室』と書かれたプレートがあった。


 先に入った冒険者に続き、中に入る。

 教卓らしき物と黒板が入って右手奥の壁際にあり、それを正面とした場合、中央を空けて左右に長机が並んでいる。

 ――規模は小さいが、礼拝堂と同じような造りだ。


 席の指定は無いようで、冒険者達は互いに思い思いの長机に腰かける。

 俺の他の冒険者達は、どうやら知り合い同士らしく、固まって奥の方に座り、小声で雑談している。

 俺は別にどこでも良かったので、目に付いた場所に適当に腰かける。

 今朝、小物屋で買ったメモ帳とペンをポーチから取り出し、講師の到着を待つ。


 ちなみに、このメモ帳とペンは魔導具で、ワンセット銀貨1枚。

 メモ帳は使い捨てだが、ペンは所持者の魔力をインク代わりにするため、機構が壊れない限りはいくらでも使用できる。

 書かれた文字は所持者の魔力によって特定の波長を示すため、本人以外の者が記入すればすぐに分かるようになっている。

 使い方によっては、本人証明に役立つだろう。

 ……まあ、その判別のための魔術は中級魔術なので、今の俺には使えないけどな。


 そうこうしているうちに、入口の扉ががらりと開き、一人の女性が姿を見せた。

 ピンク色の髪を頭の上でまとめ、眼鏡をかけた理知的な女性だ。

 彼女もエルフらしく、耳が長く、先が尖っている。

 背丈は受付の女性より高く、眼鏡の奥の青い瞳は俺達を観察するような目で見つめている。


 やがて、その視線は俺の前でぴたりと止まり、「ほう」と感心したような声を上げた。


「……あの。何か?」


「いやいや、これから冒険者になろうとする者が、ずいぶんとレベルが高いと思ってね。

 ……ああそうか、君がシルファの言ってたヤーマンの少年か」


「シルファ?」


「昨日今日と君を担当した受付のエルフだよ。近年まれに見るほど礼儀正しい少年だった、と感心していたよ」


 にやにやと笑う女性。何やら不吉なものを感じながらも、「それはどうも」と述べるに留まった。

 ――しかし、礼儀正しい、か。登録のために事務的な会話を少ししただけなんだけど。

 あれで礼儀正しいと思われるなんて、他の冒険者志望とかどうなんだろう?


「まあ、だからといって特別扱いはしないがね。――さて、まずは自己紹介といこうか」


 そう言うと、女性は迷い無く教卓へと進み、俺たちに向けて告げた。


「私の名はルシーダ。イリス王国における、冒険者ギルドの――まあ、お偉いさんだと思っておけば良い。

 とは言っても、特に覚える必要は無い。よほどのことが無い限り、私と君らの間に接点はないからな。

 特別優秀か、あるいは特別問題児でも無い限りは」


 どことなく含みのある笑顔で俺たちを見回すと、「では、講習を始める」と宣言した。





 講習の内容は、こう言ってはなんだが、一般常識の範囲だった。


 冒険者は、冒険者ギルドによってその身分を保障される。

 依頼内容が正当であれば、他国に行くことも難しくはない。だが、その国の法律には従わなければならない。

 何らかの罪を犯す、あるいは犯罪に荷担するようなことがあった場合、冒険者の資格を剥奪される。


 その身分を証明するのが、これから発行される冒険者カードだ。

 カードの表面には名前、年齢、出身地、ギルドランク、現在GPとランクアップに必要なGP、そして簡易ステータスが記載される。

 裏面にはこれまで受けた依頼の総数、達成した依頼、失敗した依頼の数、そして現在受領している依頼などが記載される。

 初回は無料で発行されるが、紛失、盗難等による再発行は、銀貨10枚が必要になる。


 ギルドランクはGから始まり、依頼ごとに設定されているポイントを稼ぐことで、F、Eと上がっていく。

 依頼の難易度は、ギルドが判断し、難易度に応じたランクの依頼として振り分ける。

 基本的に、ランクが上がるごとに、依頼の難易度が上がっていくが、その分だけ報酬も高くなる。


 自分のランク未満の依頼は、受領は可能だが、ポイントは付かない。

 故に、冒険者としてのランクを上げたければ、自分と同じか、それ以上のランクを受領する必要がある。

 ただし、受けられるランクは、自分のランクの1つ上まで。

 これは、実力に見合わない依頼を受けることで、冒険者自身が危険に陥ったり、未達成となった場合のギルドの信頼低下を防ぐための措置らしい。

 未達成の場合、違約金――報酬の半額が相場――が発生する。

 また、本来得るはずだったGPと同等のポイントが差し引かれ、場合によってはランクが下がることも起こりえる。

 また、あまりにも達成率が低い場合、退会を勧告する場合もあるらしい。


 依頼を受けるためには、掲示板から好みの依頼を探すのが一般的だ。

 だが、冒険者として名を上げると、指名で依頼が入る場合もあるらしい。

 指名依頼の場合は、別の依頼をすでに受注中、怪我や病気で身動きが取れないなど、よほどの事情が無い限り、拒否は出来ない。

 今の俺たちにはあまり関係の無い話だが。


 また、稀にギルドによって強制依頼が発生する場合もある。

 過去の事例では、魔物の大量発生による街の防衛戦などがある。

 これもまた、よほどの事情がなければ拒否は出来ない。

 ちなみに、指名依頼、強制依頼を拒否した場合は、莫大な違約金の支払い、ギルドランクの低下、強制除名などの措置がある。


 ギルドは各国に対し中立であり、組織として戦争に荷担することはない。

 だが、個人で、なおかつ現在受注している依頼がない場合、参加は個人の自由意志による。



「――最後に、『パーティ』について説明する。

 これは、2人以上の複数人で行動する冒険者のことだ。

 メリットとしては、複数人で一つの依頼に取り組むことで、実質的な難易度を下げられること。

 そして、パーティー内でもっともランクの高い者と同じ依頼を受けられることだ。

 人数に上限はないが、報酬は頭割りになるのが基本だ。

 また、GPは、依頼に対する貢献度によって分配される。

 これは冒険者カードの機能の一つだから、君らが意識することはない。

 だが、君ら駆け出しが既存のパーティに参加する場合、最初のうちは報酬の割り当て、GPの獲得は無いと思った方がいい。

 まあ、比較的安全にレベルを上げられるのだから、その授業料とでも思うんだな。

 ――そう聞くと、ソロでやろうとか駆け出しだけでパーティーを組もうとか考える者もいるが、悪いことは言わない、せめてレベルが10を超えるまでは、それなりに名の知れたパーティーに所属して、経験を積んでおけ。

 冒険者は他の職業に比べれば自由度が高いが、それは自分の命は自分で守らなければならないと言うことだ。

 端金を目当てに命を落としたら、本末転倒だろう?」


 それを聞いた他の冒険者志望達は、顔を見合わせ、小声で何事か相談していた。

 俺は……いちおうレベルはルシーダさんの推奨を超えてるし、当初の予定どおり、とりあえずは一人でやってみよう。

 パーティ参加は、限界を感じたら、ってことで。


「さて、以上で講習は終わりだ。1階の受付で、冒険者カードを受け取ってくれ。――解散!」


 ルシーダさんの宣言と共に、冒険者志望の者達は会議室を後にする。

 どの顔も、緊張と不安、そして未来への希望に輝いていた。


 よし、俺も頑張ろう! そう決意し、机の上を片付けていると、ルシーダさんが声をかけてきた。


「どうかね? 多少は参考になったかな」


「ええ。まあ、背伸びしないで、のんびりやっていきますよ」


「ほう。初心者らしからぬ言葉だな。君と共に受講していた者達は、『一山当ててやる』と目で語っていたが」


「美味しい話ほど裏があるってもんでしょう。

 慣れるまでは、簡単な依頼を探してこつこつとやってくべきだと思いますけどね」


「いい心がけだ。どんなときも熱くならず、冷静に判断する。それが出来る者はそうはいないよ。

 ――さすがはエルミナ様の信徒と言うところかな?」


 一瞬ぎくりとしたが、なんとか顔にも態度にも出さず、いかにも不思議そうな顔をして見せた。


「エルミナ様の? 俺はオルフェリア様の信徒ですよ?」


「うん、剣と刀、剣士と剣術家という違いはあるが、君の恰好は確かにオルフェリア様の信徒のものだな。

 ――ところで、その額のバンダナだが、昨日は付けていなかったそうじゃないか?」


「ああ、汗止めと髪留めのために買ったんですよ。つまりは、冒険者として気合いを入れようってことで」


「ふうん、一理あるね?

 ――ところで、知ってるかい? 冒険者ギルドは、その性質上、エルミナ様とオルフェリア様の神殿とはそれなりに親しく付き合っていてね。いろいろな噂話も耳に入ってくるんだよ」


「まあ、そういうこともあるでしょうね」


「聞くところによると、エルミナ様、オルフェリア様が各神殿に神託を下されたそうだ。

 特に、エルミナ様の神託は何十年かぶりとのことで、神官の方々がたいそう驚かれたそうだよ。

 ――その内容に、興味は無いかな?」


「あまり。俺とは関係なさそうですから」


「そうかい? ――まあ、そういうことにしておこうか。

 時間を取らせてしまって、悪かったね」


 すべて分かっている、とでも言いたげな笑みが気に掛かったが、とりあえず、これで追求はおしまいのようだ。

 俺は一つ頭を下げると、リュックを背負い、席を立つ。その背に、何かを確信しているかのような声がかけられた。


「では、頑張りたまえ、新米冒険者君。君の活躍を、心から祈っているよ」


「――ありがとうございます」


 一礼し、今度こそ会議室を後にした。



 1階の受付まで戻ると、女性がほっとした笑みを浮かべてくれた。


「お帰りなさい。――どうしたんです? 一緒に受講された方々は早々にカードを受け取りに来られましたけど」


 真正直に『信仰する神を疑われました』なんて言えるはずもなく、苦笑で言葉を濁す。


「いや、ルシーダさんに捕まっちゃいまして。『頑張れ』って激励されましたよ」


「なるほど、そういうことでしたか。

 確かに、タクミ様は近年まれに見る優秀な新人ですからね。ルシーダが期待するのも無理はありません」


「いえいえ、単に新人にしてはレベルが高いだけ――って、あれ? レベルの話とかしましたっけ?」


「ああ、申し訳ありません。実は私、【初級鑑定】のスキルを持っておりまして。

 あまりに推測される能力値が低すぎる方は、その場で登録をお断りさせて頂いております。

 レベルはそのときに拝見させて頂きました」


「……なるほど。まあ、それもそうですよね。

 希望者を全員冒険者にして、死体を量産したりしたら、それこそギルドの評判に関わるでしょうから。

 ――ところで、ルシーダさんのことをずいぶん親しげに呼んでましたけど、もしかして、個人的に付き合いがあるんですか?」


「ええ。出身部族は違いますが、同じ故郷を飛び出したエルフですからね。ここも、彼女の勧めで働き始めたんですよ」


「なるほど。口調からして情よりも理を重んじる方のように思いましたけど、意外と面倒見が良い方なんですね」


「ええ、誤解されることが多いんですけどね。

 ――っと、いけないいけない。カードのお渡しがまだでした」


 少し慌てた様子で、女性は鋼色のカードを手渡してくれた。

 ――昨日見たときと同じく、なんの記載も無い。


「お持ちになったまま、カードに魔力を流して頂けますか?」


 言われたとおりにしようとして、ふと思い立ち、集中するフリをして、カードを手元に引き寄せる。

 むむむ、なんて唸りながら魔力を流すと、カードが淡く輝き、表面に文字が浮き上がってきた。


 カードの表面には、以下の項目が記されている。



名前 :タクミ・サイジョー

年齢 :15才

出身 :ヤーマン王国

ランク:G

GP :0/100

LV :15

クラス:初級魔術師 Lv.9、剣術家 Lv.1、初級剣士 Lv.7

信仰 :×××の加護 Lv.1、××の加護 Lv.1、知識神の加護 Lv.2、戦女神の加護 Lv.2、鋼精霊の祝福 Lv.1

称号 :知識神の寵児

HP :269/269

MP :253/254

SP :263/263

ATK:189

DEF:56.5



 ……これ、マズくないか? 特にクラス、信仰、称号。

 どう考えても、駆け出しが取得してるようなもんじゃないよな。

 なんとかこう、一部分だけ表示できるように出来ないものか……。


 と思っていると、再びカードに魔力が流れる感覚が起こり、表記内容がぼやけ、書き換わる。


「どうされました? カードに問題がありましたか?」


「あ、いえ、これで俺も冒険者になったんだなって、ちょっと感慨に浸ってました」


「なるほど、そうでしたか。カードの機能に問題が無いか確認いたしますので、拝見させて頂いてもよろしいでしょうか?」


「え、ええ。どうぞ」


 ちょっとびくつきながらも、カードを見せる。


 ちなみに、書き換わった部分には、こう記載されている。



クラス:剣術家 Lv.1

信仰 :戦女神の加護 Lv.2

称号 :



 どうやら、流す魔力を調整することで、ある程度表示される内容を制限できるようだ。

 ただ、称号は……


 半ば予想していたが、女性は不思議そうに首を傾げる。


「あら? 称号欄が空欄ですね。未セット状態であれば、『無し』と記載されるはずなのですが……。

 ……カードの不具合でしょうか?」


「ま、まあ、その、他には問題なさそうですし。称号を取得したときに変わらなかったら、そのときはご相談しますよ」


「うーん……そうだ、せっかくですから、今ここで称号をセットして頂けますか?

 講習が修了したので、『初級冒険者』の称号を獲得されているはずです」


「あ、はい。そうします」


 言われたとおりにステータスを開き、『称号』欄をタップすると、確かに『初級冒険者』の称号を取得していた。

 効果は……

『獲得経験値、クラス熟練度が10%増加。ただし、LVが10になると、増加の効果は無くなる』

 ……すでにレベル15の俺には効果無し、と。


 まあ、とりあえずこの場はこの称号をセットして、と。


 改めてカードに魔力を流し、『称号』も表示するように念じてみると、たしかに『称号』は『初級冒険者』に変わっていた。


「今度は問題ないようですね。……さっきのはなんだったのかしら?」


「ま、まあ、問題ないようなら良かったです」


 女性は未だに不思議そうな顔をしていたが、やがて気を取り直したのか、カードについての説明を続ける。


「講習で説明済みとは思いますが、紛失された場合、再発行に銀貨10枚掛かりますので、無くさないようお持ち下さい。

 表面は、魔力を流せば、いつでも最新の状態を確認できます。

 裏面の依頼の条項に関しましては、ギルドで手続きされた場合のみ更新されます」


「なるほど。――いろいろとありがとうございます」


「いえ、こちらこそ。――あ、そう言えば、まだ名乗っていませんでしたね。

 私の名前はシルファ、と申します。何かありましたら、気軽にお呼び下さい」


「ええ、ありがとうございます、シルファさん」


 そう呼ぶと、シルファさんはにっこりと微笑んだ。到底仕事の義務感からとは思えない、魅力的な笑みだった。




 

 受付嬢のシルファさんと別れ、俺は早速依頼を見るため、掲示板の群れに向かう。


 掲示板は、受付のカウンターから見て通路を挟み、垂直に並んでいる。

 それぞれ、GからBまでのプレートが取り付けられており、依頼の難易度を示しているんだろう。

 駆け出しである俺はG、そしてFランクの依頼を受注出来る。

 宿代が1泊につき大銅貨1枚だから、それ以上の報酬が見込める依頼を探すべきだろう。


 まずはGランクの依頼を見てみる。

 薬草の採取、隣町への荷物の配達、はてはペットの散歩や庭いじりなど、それほど危険度が高くない依頼が並ぶ。

 だがやはり報酬は高くて銅貨30枚程度。

 まあ、薬草の採取は1本辺り銅貨5枚だから、運良く群生地を見つけられれば、それなりの報酬になるかも知れない。


 続いてFランク。

 近くの町へ移動する商隊の護衛、西の森のゴブリン討伐、東の森のフォレストウルフ討伐など、難度は低いが、戦闘を前提とした依頼が多い。

 報酬は、大雑把に計算して大銅貨1枚以上。

 特に討伐依頼は、報酬の他に、ドロップ品の買い取りによる収入増も見込める。


 比較的安全なGランクの依頼でGPを稼ぐか、危険度が高いが報酬が魅力的なFランクの依頼で日銭を稼ぐか。


 少し迷ったが、せっかくだし、討伐依頼を受けてみよう。

 ここに記載されている魔物は、すべて討伐の経験があるし。

 となると、多数の群れで出現することの多い、ゴブリン討伐がいいだろう。


 掲示板から依頼書を剥がし、『依頼受注所』のカウンターへと持っていく。

 こちらの受付嬢は、人族の少女だった。おそらくは十代後半。未だうっすらと残るそばかすの痕が印象的だ。

 近づく俺に気付き、少女はにこりと微笑む。


「いらっしゃいませ。依頼の受注でよろしかったですか?」


「はい。こちらをお願いします」


 依頼書と一緒に冒険者カードを手渡すと、少女は両者を見比べ、やがて困ったような笑みを浮かべる。


「……あの。能力値的には問題ないと思うのですが……失礼ですけど、お一人様で?」


「ええ、そうですけど。――ああ、これでもいちおうゴブリンの討伐経験はありますよ」


「はあ。でも、冒険者カードにはそのような記載はありませんが……」


「ええ、冒険者になったのは今日でして。でも、師匠の卒業試験として、何種類かの魔物と戦いましたからね。

 10匹くらいならどうとでもなりますよ」


「……なるほど。では、それを証明するものは何かお持ちでしょうか?」


「証明、ですか」


「はい。――確かに、ランクが適正であれば、どのような依頼でも受注可能です。

 ですが、これまで一度も討伐依頼を受注されていない方は、それを為すだけの実力があると証明して頂く必要があります。

 依頼の失敗は、あなた自身の命の危険はもちろん、我がギルドの信頼の低下へと繋がりますから。

 大抵の方は、大規模パーティへの応援などで討伐を経験され、そのパーティーの方の証明によって受注が可能となります」


 申し訳なさそうな表情ながら、少女はきっぱりとそう告げた。

 おそらく、こうしたやりとりにも慣れているんだろう。


 困ったな。確かにゴブリンを倒したことはあるんだけど、それはあくまでも俺の主張。

 つまり、客観的に証明するものが必要だ、ってことか。


 ……ああ! そういえばゴブリンの角はかなりの数持ってたはず!


 機会があれば換金しようと思ってたんだ。

 依頼を受ける証明にもなるし、丁度良い――とリュックに手を伸ばしかけ、はたと気がつく。


 ――待てよ。それはさすがに目立ちすぎじゃないか?


 俺が冒険者になったばかりだってことは、カードを見れば一目瞭然。

 その駆け出しが、いきなりゴブリンの討伐依頼を受けようとして、その証明にと何十本――正確に数えてはいないが、少なくとも十本以上はあるはずだ――ものゴブリンの角を提示したら、間違いなく目立つ。


 目立つことそのものは、仕方が無いとも言える。

 自分ではごく普通に行動したつもりでも、世間一般的には普通ではなく、注目を浴びることもある。

 特に、俺の場合は、『エルガイアの常識』が未だによく分からない。

 無意識の内に常識外の行動を取ってしまい、注目を浴びることはあり得ることだ。

 だが、その場合は、『常識知らず』、『奇人』、『変人』の枠内で収まる。


 対して、『冒険者として特異である』と認識され、注目を浴びることは、できる限り避けたい。

 今日冒険者になったばかりの新人にもかかわらず、レベルは15、クラスは3つもあるし、複数の神から加護を得ている。

 実力以上に評価され、厄介事の種となることはほぼ間違いないだろう。


 だからこそ、降るかかる厄介事に対応できそうな実力を身に付けるまで、可能な限り目立つのは避けたい。


 なら、いきなり討伐依頼を受けようと焦るよりは、しばらく採取依頼でも受けておくべきだろう。

 出来るのに出来ないってのも、何とももどかしい話ではあるけれど。



 そう結論づけた俺は、ぺこりと頭を下げた。


「……分かりました。そういう規則なら仕方が無いですね」


「はい、申し訳ありません」


 心の裡はともかく、少女は頭を下げた。



 ギルドカードと依頼書を返してもらい、依頼書を元の場所に貼りつけ直す。

 Gランクの掲示板から、再び『薬草採取』の依頼を探しだし、今度はじっくりと内容を読んでみる。



『依頼名:ラーナ草の採取

 依頼者:冒険者ギルド

 ランク:G

 目的 :下級ポーションの原料の一つ、ラーナ草を採取し、提出する。

     最低数量は5本。(報酬:一本につき銅貨10枚)

     5本以上の提出で、依頼達成。(獲得GP:10)

 補足 :ラーナ草は、主に近隣の森での分布が確認されている。』


 

 ……へえ。『森』での分布ね。


 思わず浮かびそうになった笑みを抑えつつ、依頼書を掲示板から剥がし、先ほどの受付嬢のところへと持ち込む。


「すみません、こちらの依頼を受注します」


 さっきの今だ、俺の顔も覚えていたんだろう。

 受付の少女は「あっ」と声を漏らしたが、咳払いでごまかし、渡された依頼書をまじまじと見つめる。


「……『ラーナ草の採取』、ですか。

 そうですね、これこそまさに初心者向けの依頼ですね」


 どこかほっとしたような声だ。


「ええ。まずは地道にこつこつとやることにしましたよ」


「それは良かった。冒険者にとって重要なのは、決して自分の力を過信しないことです。

 死んでしまったら、どうしようもないですからね」


「そのとおりですね。

 ――ところで、後学のために教えて欲しいんですけど、討伐依頼の証明って、ドロップ品の提示でも可能なんですか?」


「はい。ただし、1つや2つでは偶然手に入れることも有り得ますから、最低でも5つ提示して頂く必要があります」


「なるほど。勉強になりました」


「いえいえ。

 ――では、これより手続きして参りますので、カードをお預かりしますね」


 少女は頭を下げると、俺のカードを持ち、奥へと下がっていった。

 どれだけ時間が掛かるのかは分からないが、長く掛かるようなら「掲示板でも見ていて下さい」的なことを言うだろう。


 案の定、1、2分程待っていると、少女が戻ってきた。

 手には俺のギルドカードと依頼書を持っている。


「お待たせいたしました。カードをお返しいたします。

 お手数ですが、依頼書は掲示板に貼り戻して頂けますか?」


「ありがとうございます。

 ……あれ? 俺が受けた依頼なのに、掲示板に戻すんですか?」


「ええ。薬草の採取依頼は常時受け付けておりますので。

 下級とは言え、ポーションの原料の一つですからね。……まあ、場所柄、需要は常にある、というわけで」


「ああ……なるほど」


 納得し、頷いた。

 つまり、冒険者に採取させた薬草をポーションに加工し、ギルド内で販売しているのだろう。


 ……あっ、そうそう、販売で思い出した。


「そういえば、ここの販売所では、時計も売っているそうですね?」


「え? あ、はい。確かに取り扱いがありますね。

 ……ただ、すごく高いですよ?」


「最低でも大銀貨1枚、でしたか。……まあ、ちょっと冷やかすくらいならタダでしょう?」


「ぷっ……し、失礼しました。

 ええ、確かにそうですね」


 笑いそうになっている少女に別れを告げ、販売所に行ってみる。



 わりと盛況なようで、少しばかり待たされたが、やがて俺の番が回ってきた。

 受付の女性は、少々恰幅の良いおばさん、もとい、お姉さんだった。


「すみません。ここで、時計を扱ってると聞いたんですけど」


「時計……ですか。はい、ございますが……どういったタイプの物をお求めでしょう?」


「設定した時間になるとベルなどで教えてくれるような簡易的な置き時計と、常に持ち歩けるような携帯型の時計なんですが……」


 お姉さんは少し考え、「少々お待ち下さい」と言い残し、席を立つ。

 おそらく、商品が置かれている倉庫にでも向かったんだろう。

 ……前に並んでた冒険者は、カウンターの下からすぐに商品を取り出してたから、あまり時計を買うような人はいないのかな?

 あるいは、高級品だから、防犯のしっかりした場所に保管しているとか。



 ややあって、お姉さんは二つの時計を持ってきた。

 一つは木枠の立方体の時計。大きさは一辺が25㎝くらい。こっちが目覚ましタイプかな。

 もう一つは真鍮とおぼしき金属製の懐中時計だ。細い鎖が取り付けられており、おそらく、首から下げて携帯するんだろう。


「おそらく、この二つであればご要望にお応えできるかと」


 その後、それぞれの簡単な使い方を教えてもらう。

 どちらも動力源は魔力で、定期的に補充してやる必要がある。

 また、長針を動かすことで時間を調整する。

 目覚ましタイプの方は、その他にベルを鳴らす時刻を設定する短針があり、上部のスイッチでオン・オフを切り替えられる。


「……なるほど。ちなみに、お値段は?」


「こちらの置き時計の方は大銀貨1枚、懐中時計は金貨1枚です」


「高っ!」


 思わず叫んでしまった。

 最低大銀貨1枚ってのは聞いてたけど、懐中時計は金貨1枚か!

 元の世界なら、100万円もあればかなり高級な時計が買えるぞ。


 予算的には……両方とも買えないことはないけど……。


 どうしよう。

 時計は欲しいんだけど、どっちか一つにしておくべきか?


 今回の講習の時みたいに、寝過ごしたら困るようなときのために、目覚まし時計は必要だ。

 かといって、それだけだと冒険時に時間を確認するのが面倒だから、ポーチに入るサイズの時計も欲しい。


 ええい、思い切って両方とも買ってしまえ!

 どうせ資金源は盗賊倒したときの報奨金だし、これを買ってもお金は残るし!

 宿代は前払い済みだから、あと9日間で依頼をこなせば、生活には困らない、はず!


 決断し、ポーチから財布を取り出し、ふと思いついて訊ねる。


「――ところで、入れた硬貨の中身がすぐに分かるような財布って無いんですか?」


「ございますよ。ただ、そちらは銀貨20枚ですが」


「高っ!」


 これまた驚き、叫んでしまう。

 財布一つで20万かよ! 朝に買った普通の財布は大銅貨1枚だったのに!

 っていうか、ここで望みどおりの品が買えると分かってれば、普通の財布は買わなかったのに!


 ……まあ、妥協の末に買った直後に、望みどおりの物が見つかるのは、良くあることと言えば良くあることだ。


 と、とりあえず、資金にはまだ……余裕が……いくらか……。


 再びお姉さんは席を立ち、財布を持ってきてくれた。

 ……見た目は、今朝買った財布とほとんど同じだな。


「……あの。時計2つとその財布を全部買いますので、いくらか割引になりませんか?」


「……え? え、ええ、それはもちろん、これだけ買って頂けるのなら……」


 お姉さんは目を丸くしながらも、カウンターの下からソロバンらしき物を取り出し、パチパチし始めた。


「ええと、総額が金貨1枚に銀貨70枚ですので、銀貨17枚分お値引きいたします」


 ……10%引きか。

 もう一声、と言いたいところだけど、それだけ引いてもらえれば十分だろう。


「……あの。失礼ですが、本当に時計を2つもご購入頂けるのですか?」


「え? ええ。用途ごとに使い分けた方が便利でしょう?」


「そ、それはもちろんそうなのですが……」


 お姉さんは目を白黒させていたが、やがて「今まで見たことは無いから、新人なのよねぇ。どこかのお坊ちゃんかしら?」なんてことを小声で呟き始めた。


 ……とりあえず、聞こえなかったフリをしよう。


 今までの財布から金貨1枚、大銀貨1枚、銀貨3枚を取り出し、カウンターにそっと並べる。


 硬貨の音で我に返ったお姉さんは、慌てて並べられた硬貨を数え、「はい、ちょうどですね」と告げる。


 これで残金は――っと、そうだそうだ。早速だから試してみよう。

 もとの財布から、新しく買った財布にお金を入れ替える。

 見た目はほとんど同じで、硬貨ごとに入れる場所が異なる。

 教えられたとおりに、中身を知りたいと思うと、少量の魔力が流れ、俺の頭に数字が浮かんできた。



 合計金額:378,392RG

 内訳  :銀貨37枚、大銅貨1枚、銅貨33枚、大鉄貨1枚、鉄貨42枚



 おお……。ちょっと感動。

 魔力を流す必要があるのが難点と言えば難点だけど、合計金額と内訳が分かるのはありがたい。

 RGは『ラフィール・ゴールド』の略なんだろう。いわゆる大陸共通貨幣の名称だな。


 礼を言って立ち去ると、お姉さんはやや引きつった笑顔で見送ってくれた。

 その後、席を立ち、近くの同僚に何事か話し始めたが……もしかして、目立っちゃったか?


 ……ま、まあいい。とにかく欲しかった物は手に入ったんだ。

 いよいよ、依頼に行ってみますか。


 西の森のゴブ――おっとっと、森に生える薬草を採取にね。



というわけで、ようやくギルドカードが発行され、次回より冒険者として活動し始めます。


タクミ君が何やら企んでいますが……まあ、おそらくは皆さんの予想されたとおりの展開になるかと。


前回の後書きで予告した重要人物は、討伐依頼の受注を拒否った人族の受付嬢――でないことだけは確かです。

今後もいろいろと暗躍していく予定ですので、頭の片隅にでも置いて頂ければ、と思います。


ちなみに、本文中で出てきた『ギルドカードの情報一部消去』は、職員は知識としては持っていますが、実際に行う冒険者はほとんどいない上、駆け出しにそんな応用力があるとは夢にも思っていませんので、なんの疑いもなく、記載された事項が真実だと認識しています。

(実力を高く見せるメリットはあっても、低く見せるメリットがほとんど無いため)


次回投稿は、9/18の予定です。


※(9/23)販売所でのシーンを修正

※(10/6)誤字訂正

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