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プリズン編第十四章 1人の決断

■ 面会室 ― 約束された沈黙


面会室は、

やけに明るかった。


ガラス越し。

受話器。


そして――

エリオット。


「兄さん」


その一言で、

胸の奥が軋んだ。


俺は、

受話器を取ったが、

言葉が出なかった。


管理者の言葉が、

頭の中で反響する。


――話すな。

――沈黙を選べ。


「……元気そうだな」


それだけを、

俺は言った。


エリオットは、

違和感を覚えた顔をする。


「兄さん?」


ファルコンも、

フォックスも、

同じだった。


誰も、

核心に触れない。


面会の時間が、

終わろうとしていた。


「じゃあ……」


俺は、

受話器を戻した。


■ 裏切り ― 立ち上がる影


その時だった。


――ガタン。


椅子の音。


シャドウが、

立ち上がった。


「……シャドウ?」


俺が言うより早く、

彼は受話器を掴んだ。


「エリオット」


その声は、

迷いがなかった。


「この刑務所は――」


「腐ってる」


看守が、

一斉に動く。


だが、

シャドウは止まらない。


「SHUで、

人が壊されてる」


「管理者が指示してる」


「監視拠点は――」


肩を掴まれる。


それでも、

シャドウは叫んだ。


「通気口の上だ!

記録は残ってる!」


■ 強制終了 ― 代償


警報。


面会室が、

一瞬で戦場になる。


シャドウは、

床に押さえつけられた。


「やめろ!」


俺が叫ぶ。


だが、

管理者は現れなかった。


代わりに、

冷たい声。


「SHU行き」


シャドウは、

こちらを見た。


その目は、

静かだった。


「……悪いな」


「でも、

俺は黙れなかった」


連行される直前、

彼は言った。


「お前らは……

外に出ろ」


■ 分断 ― 取引の成立


その日の夜。


俺たちは、

再び管理者室にいた。


「約束通りだ」


管理者は、

淡々と言う。


「ハウンド」


「ファルコン」


「フォックス」


「即時釈放」


「資金は、

すでに手配済みだ」


俺は、

歯を食いしばった。


「……シャドウは?」


管理者は、

一瞬だけ沈黙した。


「彼は、選んだ」


それだけだった。


■ 釈放 ― 空の重さ


外の空気は、

驚くほど冷たかった。


新しい服。

新しい身分証。


口座には、

あり得ない額。


ファルコンが、

震える声で言う。


「……俺たち、

勝ったのか?」


フォックスは、

答えなかった。


俺は、

空を見上げた。


自由だ。


だが――

胸の奥が、

異様に重い。


■ 残されたもの


エリオットは、

面会の直後から動いている。


シャドウの言葉は、

確かに届いた。


だが、

彼自身は――


SHUの中。


俺は、

拳を握った。


「……終わってねぇ」


ファルコンが、

俺を見る。


「ハウンド……

まだ、やるつもりか?」


俺は、

はっきりと言った。


「取り戻す」


「真実も」


「シャドウも」


自由は、

代償として奪われた。


なら――

次は、

俺たちが奪う番だ。

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