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呪い子ちびっこ令嬢は王家に囲われルート驀進中!  作者: かのん


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44話

「ははは。子どもが、何を」


「冗談なんて、うふふ。やめてちょうだい」


 私はすっと顔から笑みを消すと、まずはお父様の横に言った。


 そして、お父様の服を引っ張る。


 今までは私の話なんて聞こうとしなかったお父様が、今は他者の目があるからか、しゃがみ私に耳を傾けた。


「どうした?」


 私は、そっと小さな声で内緒話をするように言った。


「キャサリン様って、どなたでしゅか?」


「え?」


 お父様の顔が引きつり小声で返してきた。


「知ら……ないな。誰だい?」


 私はにぃぃっと笑顔を向けると、お父様の肩を指さして言った。


「“会いたい、会いたい。どうして来て下さらないの”って言ってましゅよ」


「……は?」


「金色の髪の綺麗な人。……会いに行って差し上げたらどうれしゅ?」


「う……」


 お父様が一歩後ろに引き、自分の背中を見て青ざめている。


 私は今度はお母様の服を引っ張る。


「な、なぁに?」


 お母様がしゃがみ、私はその耳元で囁いた。


「エドワードおじい様」


「……え?」


「愛しい娘の裏切りが、許せないんですって」


「な……、ななな」


「だからずぅーっと、死んでも、傍にいるって」


「ひっ」


 お父様とお母様が、真っ青な表情で立っている。


 私はきゅるるんと、可愛らしくポーズをして言った。


「お二人共、肩、重くないれしゅか?」


「「ひっ」」


 その後ろで、生霊と悪霊となったキャサリン様とエドワードおじい様が、恨めしそうにその肩に乗る。


『私の愛しい人』


『愛しい娘よ』


「は、ははは。冗談を」


「そ、そうよね。冗談よね」


 お父様とお母様は、私のことを、不気味な物を見る瞳で、見下ろした。


「そ、それでは、またな」


「えぇ。お城で、お利口にしているのよ」


 そう言うと、お父様とお母様はいそいそと帰ろうとした。だが、ズンと、重たくなる肩に二人共その場で一度転ぶ。


「うわっ」

「きゃっ」


 二人共、そこからは悲鳴を上げ、走っていく様子に、私は思わず笑ってしまった。


 私はその背中で、こちらにガッツポーズを向ける生霊と悪霊の二人に、ガッツポーズを返してエールを送る。


 あの二人、命を危機に陥れるようなそんなに危険なタイプではない。


 ちょっと懲らしめる程度には頑張っていただきたいところだ。


 横に控えていたリヤンが呟いた。


「いいのかよ。甘いな」


「いいのよ。ふふふ。まぁれも、ミーナを連れてこなくてよかったわ」


「お前の妹、面白いもんなぁ」


「……面白くは……ないかなぁ」


 ミーナから定期的に、私だけお城に住んでずるいとか、代われとか、お前は頭がおかしいとか、そうした手紙がここ最近毎日届く。


 何も見えていないミーナからすれば、私がおかしく見えるのは当たり前といえば当たり前。


 ただ、今回の一件、本当に大変だった。


 ミーナは祈りの乙女に選ばれただけだから、悪くはない。


 悪くはないが、本当に、大変だった。


「ミーナ……ちょっと怖いかなぁ」


 私は、家族運はなかったようだなと改めて思った時だった。


「おい。こっちにお前の親が来たと聞いたが」


 ルディウス殿下が小走りでやってきて、そう尋ねられ、私はうなずいた。


「今、帰りまちた」


「……そうか」


「どうちたんでしゅか?」


「いや、帰ったならばいい」


 どうしたのだろうかと思っていると、反対方向からエトワール殿下が走ってくるのが見えた。


「ココレット嬢!」


「エトワール殿下」


「ご両親が来たと聞きましたが、大丈夫ですか?」


「ふぇ? 大丈夫れしゅ。今、かえりまちた」


「そうですか。よかった」


 二人共、どうしたのだろうか。


 そう思っていた時であった。


「ココレット嬢」


「ココレット様」


「ふぇー?」


 国王陛下と並んで王妃殿下がこちらへとやってくるのが見えた。


 王妃殿下は現在、王城と実家を行ったり来たりしている。赤ちゃんは実家だ。


「お二人共、どうなさいまちたか?」


「公爵が来ただろう」


「大丈夫でしたか?」


 お二人にもそう尋ねられ、私は、思わず吹き出した。


「あははは。ふふふふふふ。だ、大丈夫れしゅ」


 四人が、顔を見合わせる。


「もしかして」


「皆」


「同じ理由で」


「集まったようですね」


 国王陛下も、王妃殿下も、エトワール殿下も、ルディウス殿下も、顔を見合わせてそして笑い声を立てた。


 私は、心がぽかぽかになる。


 すごく不思議だ。


 血のつながりはないし、家族でもないし、ただの他人なはずなのに。


 どうしてこの人達はこんなにも、優しいんだろう。


「ふふふふふ」


 なんだろう。すごく、幸せな気持ちが溢れてくる。


 こんな気持ち、前世では味わったことがなかった。


「心配してくれて、ありがとうございましゅ」


 素直にそう言うと、皆が優しく私の頭を撫でてくれた。


 呪い子のことは、まだ怖くて言えない。


 けれど、もしかしたら。


 もしかしたら、正直に伝えても、嫌われないのかもしれない。


 そんな予感がした。



「はぁぁぁ。囲われているじゃねぇか」

 リヤンが小さい声でそう呟いたけれど、私は聞こえないふりをした。

 だって、すごく皆に囲まれている時間がすごく普通って感じがして、幸せなんだもの。

 私は、今世こそは普通に幸せになるぞと。

 そう意気込んだのであった。



……

 -

 ――

 ―――

 ――――

「ふぇ? あれれー」

 御神体がなくなったことで、お城の方々につく悪霊は減っていくと思っていた。

「おっかしいぞぉ」

 数日後、エトワール殿下が大量の悪霊を背中に背負っており、王城内の悪霊の数も増えていく。

「ココレット嬢、どうかしましたか?」

 真っ青な顔で、大量の悪霊を背負う七歳王子。

「かわいちょうすぎるぜ」

 これは、御神体以外の原因がありそうだ。

 私はそう。思ったのであった。



第一章完結     ―――To be continued 

                 YES or HAI

読者の皆様ここまで読んで下さりありがとうございます。

44話で一度第一章完結という形となります。

もしよろしければ、ブクマ&評価★★★★★もお願いいたします。

ブクマや評価は作者の栄養素となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


第二章が始まるまで、いましばらくお待ちください(>_<)

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