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呪い子ちびっこ令嬢は王家に囲われルート驀進中!  作者: かのん


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40話

「ルディウス殿下! 指揮をお願いします」


「こっちに救助を!」


 魔物と戦い負傷した者もいるのだろう。騎士達は慌ただしく動き始め、ルディウス殿下は小さく息をつくとうなずいた。


「わかった。エトワール。ココレット嬢と、それとそのミーナ嬢を頼む」


「は、はい」


 ルディウス殿下は全体の指揮へと戻り、エトワール殿下が微妙な顔で言った。


「ココレット嬢は、本当に……規格外ですね」


「ふぇ?」


 そこへ、お父様が青ざめた様子で駆けてくる姿が見えた。


「お父様?」


 私がそう呟くと、お父様は私を無視してミーナを抱き上げると、声を荒げた。


「誰か! 救護班! ミーナを助けてくれ! ミーナを!」


 そう言いながら、救護の者の所へと走って行った。


 私はそれをじっと見つめながら、リヤンの服をぎゅっと掴む。


 リヤンは肩をすくめると私のことを抱き上げて言った。


「さぁ、お嬢様。ゆっくりと出来る所へ移動しましょう。エトワール殿下、どうすればよろしいですか? 公爵鄭に戻ってもよろしいのでしょうか?」


「え? あ、えっと、王城へ。色々と話を聞かないといけないので」


「わかりました。では参りましょうか。エトワール殿下は、抱っこしなくても大丈夫ですか?」


 リヤンの言葉に、エトワール殿下は自分が子ども扱いされたことに驚いた様子で、それから少し唇を尖らせて言った。


「もちろん。私は大丈夫」


「では、参りましょう」


 私は大きなあくびをひとつして、リヤンの肩に頭をもたげた。


「ちゅかれた……」


「寝ていても大丈夫ですよ」


「あい……」


 オカン。いつもありがとう。



 一緒にいてくれて、ありがとう。


 私はミーナのことを助けようと必死で叫ぶお父様のことをちらりと見て、顔をリヤンの肩口に埋めた。


 あんなクソ親父なんて、どうでもいい。


 それなのに、どうして私の心は少し痛むのだろう。


 あぁ。眠い。


 たくさん、たくさん頑張った。


 今は少しだけ眠ろう。


 おやすみなさい……。


◆◇◆◇◆


「……トト?」


 リヤンはそう声をかけ、ココレットの様子を見ると、体温がどんどんと上がっていくのを感じた。


「熱が……すみません。エトワール殿下、医者の手配をお願いします」


「わかった。急ぎ、王城へ行こう」


「はい」


 ココレットの体は震え始め、唇は紫に染まる。


「しゃむい……しゃむい」


 ガタガタと震えるココレットを、リヤンは抱きしめた。


「大丈夫だ。すぐだから」


「あい……リヤン。ありあとう」


 寝ぼけながらそう呟くココレット。


 ぎゅっと抱きしめると、少し安心したように微笑んだ。


 けれど、体温はどんどんと上がっていく。


 リヤンとエトワールは用意された馬車に乗ると王城へと向かう。


 馬車の中で、二人は無言であった。


 リヤンはずっとココレットに話しかけ、その様子をエトワールはじっと見つめていた。


 そして王城に到着するとすぐにココレットは医者に見せられ、そして薬を飲ませると、温かな部屋で寝かせることとなった。


 国王とシスティリーナも駆け付け、ココレットを見舞った。


 すやすやと眠っている様子に、国王とシスティリーナはほっと息をつく。


「大丈夫か……たくさん、怪我をしたのだな」


 システィリーナはココレットの頭を優しく撫でながら言った。


「可哀そうに。きっと痛かったでしょうに」


 国王は傍に控えていた医者に尋ねた。


「容体は?」


「怪我自体は大きなものはありません。ただ、かなりの数の切り傷がついておりま

す。発熱は疲労からのものかと思われます」


「そうか……」


「ココレット様、ゆっくり休んで」


 二人はリヤンに向き直ると言った。


「怪我をさせてしまったようで、すまない。状況は確認中だが、ココレット嬢が、頑張ってくれたようだな」


「……王家からも感謝をお伝えするわ。竜なんて……きっと、恐ろしかったでしょうね」


 心配そうなその眼差しに、リヤンはココレットの竜と対峙した瞬間を思い出す。


 いや、初対面だというのに全然怖がっていなかった。


 強い。


「……何故、心配を?」


 リヤンはふと疑問でそう尋ねると、国王がまず答えた。


「こんなに小さな体で頑張ってくれたのだ、心配は当たり前だろう」


「そうですわ。本当ならば、真っ先に逃げるべきなのに……」


 リヤンは恭しげに一礼する。


「また、目が冷めましたら褒めて差し上げてください。きっと喜ばれると思います」


 二人はうなずき、長い時間滞在はせずに、部屋を出ていった。


 きっと、ココレットの為に、長時間は避けたのだと思う。


「……もっと、嫌な王家だったらよかったのにな」


 リヤンはそう呟くと、ココレットの傍に椅子を持ってきて腰掛けた。


 その後はずっとリヤンがココレットについている。


 眠るココレットのベッドの横で、リヤンはココレットの額の汗をタオルで拭う。


「……トト」


「……ううぅぅ。いやら……さみちい」


「トト……傍にいてやる」


 リヤンはそっと、ココレットの手を握った。


「だから、眠れ」


 ココレットは、落ち着いたのか、すやすやと寝息を立て始め、リヤンはため息をつく。


「……こんな世話焼くつもりじゃなかったんだがな」


 ココレットのほっぺたを指で突きながら、リヤンは呟く。


「早く……元気になれよ」


 自分が他人に対して、こんな感情を抱くなどリヤンは思ってもみなかった。


 ……ココレットの自分は眷属だから。


 この感情はきっとそのせいだろうと、リヤンはそう勝手に思い込むことにしたのだった。



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