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底辺からの異世界転生、その幼女無自覚に世界の理を覆す  作者: かのん


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2話

 今日は、神父様による能力鑑定の日。

 そして私の三歳の誕生日である。

 いや、私達の誕生日だ。


 私の双子の妹のミーナは、美しい金色の髪に青い瞳の少女である。


 フリルのたくさんついた白色のドレスを身に纏っており、薄っすらお化粧もしている様子だった。


 綺麗な子だ。というか、両親よ。私とお金の掛け方がだいぶ違うのではないかい?


 私は……着古した服と靴。


 ぼさぼさの髪。


 上から下まで美しく整えられたミーナと私。それはまるで天と地ほどの差を見せつけられているようだった。


 そして私の手足は、棒切れのように細く……自分の立ち位置というものをまざまざと感じさせられた。


 今世も両親には恵まれなかったようだ。


 一度くらい、普通の両親の元に生まれて見たかったなと思うが、どうにも私には普通というものに縁がないらしい。


 “普通”というものは、なんと手に入れるのが難しいものなのだろうかと肩をすくめる。


 その時、私には能力鑑定をする神父様の後ろにも幾人もの悪霊が見えた。


 どいつもこいつも背負いすぎではなかろうか。


 私よりよっぽど、背負っている。私の背中も見える人に見てほしい。


 綺麗に何も背負っていないから軽い軽い。


 あははは。君たちは重いだろうね? そりゃあそうだよ。憑いているんだから。


 ミーナは両親に神父様の前へと促される。


 その頬は緊張と期待を胸に紅葉しており、瞳は希望の色を宿している。


 きっとミーナは私が得られない普通を全て体験して育っているのだろうな。


 愛してくれる両親。


 ちゃんと三食出される食事。


 暖かなベッド。


 贅沢だな。


 だけどまぁ、あの両親というのは……あまり羨ましくない。


 呪い子だか何だか知らないが、それが判明する前から妹と育て方に差がありすぎる。


「……神父様、よろしくお願いいたします」


 三歳児で受け答えもしっかりと出来るミーナは神童ともてはやされているらしい。


 そして私はといえば、少し前まで発語もなく、やっと舌足らずで喋れるようになった程度。


 おそらくだけれど、それが私とミーナとの待遇の差の理由。


 優秀なミーナは可愛がられ、劣等な私は冷遇された。


 これが貴族は普通なのか、それとも我が家の両親がクソなのかは、今のところは分からない。


 ただ、まぁどちらにしても私の感覚で言えばクソだと思う。


「……あたち、かわいちょうすぎるぜ」


 小さくそう呟き、私はミーナを見守った。


 緊張した面持ちで、ミーナが能力鑑定の魔道具に触れた。


 魔道具はきゅるきゅると音を立てながら輝き、そして美しく瞬いた。


「なんと美しい光! そして能力は……なんと! 祝福の能力です。さすが公爵家のご令嬢ですな。人に授けることで、本来の力以上の力を引き出すことが出来るのです」


 両親は嬉しそうにミーナのことを抱きしめた。


「あぁ、ミーナ。さすがね」

「なんと素晴らしい!」


 お父様もお母様も嬉しそうだった。


 ミーナもほっとしたように微笑んでいる。


 三人で家族が完成されていている状況に、もう不要なら不要で、好き勝手やるので、部屋に帰ってもいいですか? という気持ちが沸いてくる。


 元々の幼い思考は、両親の愛に飢えていたけれど、今の私からしてみれば、あのように醜悪な両親の愛など不必要である。


 くれると言われても、いらないと答える。


 ただまぁ、血のつながった妹の幸せ自体はおめでたいことである。


「……おめれとぅ。ミーナ」


 祝いの言葉を告げると、ミーナはこちらを見て、眉間にしわを寄せた。


「……呪い子が、私に話しかけるなんて無礼よ。喋りかけないでくださる?」


 おっとぉ。同じ三歳児ですよね!? 遺伝強すぎませんか? あの親にしてこの子ありすぎる。


 こちらを睨みつけてくるその仕草は子どもらしさはなかった。


 神童ともてはやされ天才児とされているが、この子、本当に三歳児なのだろうか。


 私のように転生者の可能性もあるなと、頭の隅に入れておく。


 今世も家族らしい存在はゼロ。


 まぁ、下手にこの私を虐げる人と、家族だなんだのと縁が繋がれるよりはいい気がした。


 ミーナの態度を見て、嬉しそうに父は微笑む。


「ミーナの言う通りだな」


 お父様はミーナを抱き上げると、私の方を見て言った。


「さぁ、お前は離れの屋敷へ戻りなさい。許可を出すまでは外へ出ることは許さない。いいな」


 そう告げられ、やっと自分の部屋へ戻れるとほっとする。


 この人達は、血は繋がっているけれど私の家族ではない。


 他人だ。


 自分に対して悪意をもつ他人と一緒にいるのは苦痛である。


「はい」


 そう返事を返すと、三人とも私の存在などもう忘れてしまったかのように家族団らんの会話を始めた。


「ミーナ。これからお誕生日会だ。行こうか」

「盛大に準備をしているのよ」

「わぁぁぁ! 楽しみだわ。お父様、お母様」


 その言葉に、私は少しだけむっとする。


 イベントごとというのは、一人の存在を惨めにさせる。


 なんでこんな人たちの為に私が惨めな気持ちを味わう必要があるのか。


 私は三人の背中に向かって、思いっきり舌を突き出した。


「べぇぇぇぇ!」


 こちらの様子には気づかない三人。


 気づかないでくれてありがたい。


 私は両親の背中についた生霊と悪霊とにエールを送ることに決めた。


 生霊と悪霊にこぶしを突き上げて、頑張れよっと見送ると、驚いた顔で生霊と悪霊は目を丸くした後に、こぶしを突き上げ、頑張る! と答えてくれた。


 しっかりと頑張っていただきたい。私はそう思った。


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