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底辺からの異世界転生、その幼女無自覚に世界の理を覆す  作者: かのん


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16話

「私の連れてきたもの達に、この屋敷の清掃をさせてもらえませんか?」


 突然の申し出に、戸惑うと同時に、やはり汚すぎたかと恥ずかしくなる。


「ふぇ? そ、それは申し訳なくて、えっと」


 荒れ放題な埃だらけを見かねて声をかけてくれたのだろう。


 けれど申し訳なさすぎる。


「頼みます」


 美しい瞳でじっと見つめられ、私はうううと、戸惑う。


 すると、メアリー様も言った。


「綺麗に掃除してもらいましょう。これじゃ病気になるわよ」


 二人にそう言われ、私は、申し訳なさを感じつつうなずいた。


 するとエトワール殿下はほっとしたように微笑み、侍従に指示を出す。


 本当にいいのだろうかと思った時であった。


 部屋をノックする音が響き、誰だろうかと思いながら返事をする。


「あい」


「お茶をお持ちしました。入ってもよろしいでしょうか」


 リヤンの声である。


 ぎょっとし、私は一体どういうつもりだと思いながらも、二人に怪しく思われないように返事をした。


「ど、どどどどど、どうじょ」


 自分の大根役者ぶりが憎い。

 

 大丈夫。たぶん、怪しまれていないはず!


 ただ、カートを押しながら部屋へと入ってきたリヤンを、私は見て固まった。


 うおおおおおおお。


 オールバックだ! かっこよ! うへぇ! イケメンがさらにイケメンになっている! 


 心の中の雄叫びが口からこぼれ落ちそうになり、私は手で口を押さえた。


「お出迎え出来ず申し訳ございませんでした。お茶をお持ちいたしました」


 私はあわてて、誤魔化すように言った。


「あ、あの、先ほどお風呂にいれてもらっていて、それで、お客様がいらっしゃったので! あたちのことはいいからお茶の準備を頼んだのれしゅ!!」


 すると、二人は少し安堵したようにうなずいた。


「よかった……一人は世話係がついていたのですね。ゆっくり入浴されてる最中に本当にすみません」


「それにしても綺麗な方ね」


「リヤンといいましゅ。とてもよくしてもらってましゅ」


 リヤンはどこから持ってきたのか、侍従用の立派な服を着ており、お茶をいれる所作も美しい。


 そんなこともできたの!? と内心思っていると、リヤンが二人に気付かれないようにウィンクをした。


 キザな男である。というか、顔面が良すぎて胸がキュンとしてしまった。


 三歳児を惑わせるとは! 悪い男だ。


 だがすでにリヤンは私にとってオカン枠。


 悲しき運命である。


 リヤンの淹れてくれたお茶を飲み、少ししたところでエトワール殿下が、話を切り出してきた。


「今日はちゃんとお礼が伝えたくて来たんだ。あれは、私にとってとても、とても大事なものだったのです……だから、本当にありがとう」


 メアリー様はエトワール殿下の肩に手を置き、私に告げた。


「私からも、感謝を伝えさせて。ありがとう」


 私は首を横に降る。


 あれはプリシラのお願いを叶えただけだ。


 プリシラも天へ召されたし、エトワール殿下の大切なものが戻ってよかった。


「そのお礼がしたくて……ココレット嬢は何か困っていることはありませんか? 私にできることならば、手を貸せると思います」


「ほらほら! なんでもよ!」


 二人に期待の込められた視線で見つめられ、私は考える。


 困っていること。


 最初は一人でこの屋敷に閉じ込められてどうしようかなぁと思っていたが、今、私にはリヤンがいる。


 チラリとリヤンを見る。


 なんだか、リヤンが側にいてくれるから前ほど寂しくも空しくもなくなった。


 ごはんはリヤンと食べに行けるし、散歩だって自由に行ける。


 そうなってくると、そんなに何かほしいとかいうものもなくなる。


「えーーーっと、あまり、なくて」


 その言葉に二人とも納得行かないというように訪ねてきた。


「では欲しい物などはありませんか?」


「おしゃれな洋服がほしいとか」


「侍女をつけてほしいとか」


「贅沢をしたいとか」


「「なんでも!!!」」


 声が重なり、私は笑ってしまった。


「すみましぇん。なんか、あんまり物欲なくて」


 こんな風に賑やかなのは楽しいな。


 そこで私はハッとした。


 そうだ。物欲はないけれど、こうやって、人とお喋り出来るというのは楽しい。


「なら、お友達になってくだしゃいませんか?」


「「え?」」


 私は二人にお願いをした。


「お友達になったら、あたちが遊びに行ったり、こちらにきてもらったり、きっと楽しいと思うんれしゅ」


 これはナイスアイディアではなかろうか。


 だって、エトワール殿下は大量に悪霊を背負っている。


 その原因を突き止めて祓うことが出来たら、エトワール殿下だけでなく王家の方々皆にとって体調改善の機会になるだろう。


 七歳にして満身創痍はあまりにも可哀そうすぎるし……。


 エトワール殿下は優しく微笑むと、私の手を取り握った。


「それはとてもいい考えですね。ぜひ、お友達になってください」


「ありがとうございましゅ」


 握手をしてくれるとはナイスタイミングである。


 祓い師というものは、何も印を結んで祓うだけが方法ではない。


 握手して手が触れたところから、悪霊の霊力の尻尾をつかみ取る。そしてそこからこちら側の霊力を、流し込んでいく。


 私は笑顔で言った。


「仲良くしてくだちゃい滅」


 “ね”の発音を滅にしてみる。


 舌足らずなところこが思いがけず役に立つ。


『うわぁぁぁぁぁ』

『なんだこの力は!?』

『こ、こんな子どもに!? こいつはなにものだぁぁぁぁ……あ……』


 悪霊達が私の霊力によって、光に包まれ、一瞬で天に召されていく。


 これでエトワール殿下の肩はまた軽くなったことだろう。


 今日も良いことをしてしまったなと自画自賛しつつ手を離そうとした。


「うむ?」


 すると、手が離れない。


 顔を上げてエトワール殿下を見つめると、微笑んでいたエトワール殿下が、静かに言った。


「なんだか、君と会うと、一気に体調が良くなるんです」


「ふぇ?」


「何故なのでしょうか」


「ふぇ???」


 鋭すぎやしないか?


 私はそう思った。


今年もよろしくお願いいたします。


作家として活動しております、かのんと申します。

名前だけでも覚えていただけますと嬉しいです。


今年も連載に書籍にコミカライズと頑張って参ります。

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