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底辺からの異世界転生、その幼女無自覚に世界の理を覆す  作者: かのん


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15話

 王城の一件からしばらく経つ。


 あれ以来、屋敷にはまた静けさが戻った。


 屋敷に訪れるのは食事を届ける侍女だけで、中にまでは入ってこない。


 あの人達は、三歳児の私が身の回りのことを全部自分で出来るとでも思っているのだろうかと疑問に思ったが、疑問に思うほど興味がないのだろうなと思った。


 悲しい現実である。


 風呂場いっぱいに湯気が広がる中、私は叫んだ。


「へぶっ! リヤンー! 目に石鹸がはいっらぁぁぁ」


「はい、はい。今流してやるからじっとしとけ」


 体にはバスタオルを巻いており、シャワーで問答無用で頭から泡を流される。


「あぶぶぶぶ」


「息止めておけよ……」


 泡を全部流し終わったら、リヤンは私の脇に手をいれてひょいと湯船の中へと入れた。


 バスタオル撒いたままお風呂は罪だと思ったけれど、さすがに全裸をリヤンに晒すわけにもいかない。


 一応乙女である。


「ふぁわ。極楽極楽」


「極楽ってなんだ?」


「え? 極楽は……すごい幸せな場所……?」


「トトは変な言葉知ってるよな。しばらくあったまっておけよ」


「ふぁーい!」


 リヤンは手際よく私の世話を焼いてくれる。


 生きていた頃のリヤンはどんな人だったのだろう。


 そしてどうしてこの世に縛られていたのだろうか。


 気になるけれど、本人が話さない以上仕方のないことだ。



 私はお湯に肩まで使って、疑問を振り払う。


 今まで臭いとかあんまり気にしなかった私だけれど、リヤンの手によって美しく磨き上げられるようになってから、自分が今までどれ程不潔だったのかを思い知る。


 最初、水が泥水みたいに黒くなった時は、悲鳴あげちゃったなぁ……。


 ちゃぷちゃぷとお湯で遊び、こっそり石鹸を手に付けてシャボン玉を飛ばして遊ぶ。


 飛んでいるシャボン玉が虹色に輝いては消えていく。


「ちゃーぼんだーま、飛んだぁ、やーねーまで、ちょーんだぁ。屋根までちょんで、こわれーてーちーえーた」


 大きな声で歌っていた、時であった。


「おい! 客がきたぞ!?」


「ふぇ!? だ、だぁれ!?」


「王子だよ! この前、王城で会った!」


「なんで!?」


「知らねぇよ! とにかく急いで着替えるぞ!」


「ふぁいっ!」


 私は、リヤンによってタオルでごしごしと拭かれると、下着を着て、急いで頭からワンピースをかぶって着た。


 頭はまだ濡れているけれど、一階の入り口の扉へと走った。


 ベルが鳴っており、この家にベルなんてあったんだぁと思いながら返事をした。


「ふぁい! ど、どなたでしゅか!?」


 エトワール殿下だとリヤンの知らせでわかっていたけれど、そう声をかけた。


「お久しぶりです。今日は突然すみません。中に入ってもかまいませんか?」


 すると、もう一人の声も聞こえてきた。


「私も遊びに来たわ! ふふ、お久しぶりー!」


「へ? あい! どうじょ!」


 そう告げると、鍵が開けられる音がして、扉がゆっくりと開いた。


 そこには、少し深刻そうな表情のエトワール殿下と、笑顔が眩しいメアリー様の姿があった。


 そして、私を見た途端、2人は目を見開く。


「びしょ濡れじゃないか……」


「いったい全体どうしたの?」


「あ、えっとお風呂に入ってて、こんな格好でしゅみましぇん」


「それは、タイミング悪く来てしまいすみません。侍女は?」


「あら、本当……侍女の姿が見えないわね」


「あー……えーっと」


 この屋敷には誰もいませんとは言いにくい。


 それにしても、この前悪霊を祓ったというのに、すでに肩に別の悪霊が乗っかっている。


 これは困った。


 憑かれやすい体質なのか、はたまた何か根源のようなものがあるのか。


「……では、私が乾かしてさしあげましょう。魔道具はありますか?」


「え? あ、だ、大丈夫です。急いで乾かしてきましゅ!」


 魔道具は風呂場の所に置いてある。


「では、ここで待っておりますので」


 いや、王子様をこんなところで待たせるわけにはいかない。


「えっと、こちらへどうぞ。少し部屋でまっていていただけましゅか?」


「もちろんです」


 綺麗に片付けたのは私の部屋と洗面所と風呂場だけなので、私の部屋へと案内した。


「ここは?」


「あたちのお部屋れしゅ。その、他の部屋までは、お片付けできてなくて、すみましぇん」


「え!? 私室……えっと、いえ、突然きたのはこちらのほうですし」


「ここは結構綺麗なのね」


 二人は部屋を見回し、私は少し恥ずかしかった。


「急いで、乾かしてきましゅ」


「あ、はい。では、お待ちしていますね」


「ゆっくりでいいわよー」


 私は急いで風呂場の脱衣所へと向かうと、猛スピードで髪の毛を乾かしていく。


 ちょっとぼさぼさだけれど、仕方がない。


 リヤンの姿が見えないけれど、どこへ行ったのだろうか。


 急いで部屋へと戻ると、エトワール殿下が侍従の方と何か相談していた。


「お待たせしてしまって、しゅみましぇん」


 そう伝えると、エトワール殿下はにこやかに首を横に振った。


「いえ、突然来てしまったのはこちらですから。今日はゴードン公爵達はお出掛けのようですね。何回手紙をだしても、ココレット嬢は療養中とのことでしたので、心配で本日は突然ではあったのですがお見舞いにきたのです」


 それは、もしやお父様がいない隙を狙って来たということだろうか……。


「そうらったのれしゅか……ご足労いただきありがとうごじゃいましゅ。ただ、おもてなしの準備がなにも、できておらず、しゅみましぇん」


「君はしっかりしていますねぇ。三歳なのに」


「本当に、三歳とは思えないわ」


「え? そうれしゅか?」


「えぇ。もてなしは結構ですよ。ただ、お願いがあるのです」


「なんでしょーか」


 願いと言われても、私に答えられることがあるだろうか……。


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