14話
その日の夜中、ゴードン公爵は妻と向き合い酒を煽る。
大きくため息をつくと、ソファへと深く座り、酒を煽った。
「はぁ。王子が無事で何よりだった。それにしても、王子はココレットになんの用があったのだ……ミーナが言うには、王子から誘ったとのことだったが……」
「呪い子なことが王家に気付かれたのでは?」
「いや、神父と神殿にも金を渡して黙らせた。そこは大丈夫なはずだが……可愛いミーナが怒っていたな」
「えぇ。ミーナは王子様を取られたと。はぁぁ。ねぇ、あの子、修道院に送るのはどうかしら」
「修道院か……体裁があるしな……」
「そうですか……」
「君は心配するな。大丈夫だ。私がすべてうまくやるさ。さぁ、もう寝よう」
「はい……」
「……早めに始末するか……」
小さくゴードン公爵は呟いた。
二人はベッドに入り、眠りにつく。
時計の鐘がゴーンと音を立てる。静かな空間に、響き渡ったその時、リヤンは、ゴードン公爵の枕元に立った。
じっと赤い瞳でゴードンを見つめ、そして、にやりと笑みを浮かべた。
「おい。お前、あれは俺のモノだ。勝手に手を出すな……」
眠るゴードンの額に汗がにじみ始め、うなされ始める。
恍惚とした表情でリヤンの唇が弧を描く。
「これは、警告だ。そうだ、あと一つ……お前は体裁の為に一人、執事を雇い、ココレットの傍に置かせた。いいな。ちゃんと脳みそに入れておけよ」
「うううう」
「ココレットが優しくてよかったなぁ……喰ってやっても良かったんだぞ」
「ぐぅぅぅぅぅぅぅ」
ゴードンは呼吸が苦しいように、首元をひっかく。
「……ふっ……俺ってなんて優しいんだろうな」
「うぅぅぅぅ」
そのうめき声に控えていた執事が駆け付けた。
「どうなさいましたか!? ご主人様! すぐに医者を!」
バタバタと人の出入りが多くなり、リヤンは肩をすくめるとその場を後にした。
その瞬間に、ゴードンはハッと目を覚まし、嗚咽をこぼしながら、荒々しく呼吸を繰り返す。
「はぁはぁはぁ……」
未だに言いようのない恐怖がゴードンの心を占めた。
「……くそ、くそくそくそ……」
恐ろしい夢であった。そしてそれと同時に、呪い子のせいなのではないかと、身震いするのであった。
翌朝、ミーナがココレットのせいで王子と過ごせなかったと文句を言ってきたが、ココレットを罰するのはやめておいた。
嫌な予感が、頭を過って言ったからだ。
ミーナはぷりぷりと怒っていたが、ゴードンは心に張り付いた恐怖を、なかなかに拭いきれなかったのだった。
短い話だったので、投稿しました(●´ω`●)
明日はいつもの12時です。




