第43話「真面目に練習」
5月の終わり、風邪もすっかり治って、空気が気持ちいい。
しおりんは最近サークルで忙しそう。私も座道部がんばってる。でも最近、座道部、ちょっと遊びすぎちゃったかも。
桜ヶ丘ランドの計画とか、遊園地だの水族館だので盛り上がって、座禅の練習、めっちゃサボってた。今日、久々に真面目に練習することにした。奈々りんとゆはりんと3人で、部室に集まって、畳の上で正座する。いつもならすぐバカ話始まるけど、今日は「座道モード」で、ちゃんと心を整えるぞ!
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部室には、静かな空気が漂ってる。窓から入る風が、畳の匂いと混じって、なんか落ち着く。奈々りん、いつもは「ジェットコースター!」とか騒ぐのに、今日は珍しく正座して、目を閉じてる。ゆはりんは、いつもの穏やかな顔で、背筋ピンって伸ばして、まるで菩薩様みたい。私も、膝揃えて、深呼吸する。そろそろ、ちゃんとやらなきゃって思うから。
「よし、みんな、10分間、座禅! 雑念、追い出して、心、ピカピカにするよ!」
奈々りんが、リーダーっぽく宣言。ゆはりんが、クスクス笑いながら
「奈々りん、いつも雑念の塊なのに、今日は本気ですか?」
奈々りん、ムッて顔して
「ゆはりん、失礼! 今日はナース奈々りんじゃなくて、座道奈々りんだから!」
私も笑っちゃうけど、すぐに「しーっ、集中!」って自分に言い聞かせる。
目を閉じて、呼吸に意識を向ける。お腹が膨らんで、縮んで。しおりんの笑顔、風邪の時のスープの味、桜ヶ丘ランドの話、色々浮かんでくるけど、そっと流す。静かな時間、なんか、気持ちいい。そしたら、突然、奈々りんのスカートの裾がズルッて動いて、太ももがチラッ。え、奈々りん、動きすぎ! 正座崩れてる!
「奈々りん、動かないで! 雑念、増えるじゃん!」
小声でツッコむと、奈々りん、目開けてニヤッ。
「う、暑くてさ! スカート、ちょっと緩めただけ!」
ゆはりん、目閉じたまま「奈々りん、座道は我慢も修行ですよ」って、めっちゃ冷静だ。奈々りん、すぐに座禅に戻るけど、なんか、部室の空気、ちょっと緩んじゃったね。
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10分経って、座禅終了。奈々りんが、伸びしながら
「ふぁー、心、ピカピカになった!」
するとゆはりんがツッコむ。
「奈々りん、途中で太もも出してた時点で、ピカピカじゃないよ」
奈々りん、顔赤くして。
「ゆはりん、見たの!? エッチ!」
ゆはりん、クスクス笑いながら
「奈々りんが動かなければ、見なかったのに」
なんか、このやり取り、座道部っぽいな。
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次は、座道部のもう一つの練習、瞑想ストレッチをする。畳の上で、ゆはりんがリード役。
「背筋伸ばして、肩の力抜いて、ゆっくり腕を上げるよ」
ゆはりんの声、めっちゃ落ち着く。奈々りんと私、ゆはりんの動き真似して、腕上げたり、腰ひねったり。そしたら、奈々りん、ストレッチのポーズでバランス崩して、私にドーン! 二人で畳にゴロン!
「うわ、奈々りん、重い! 何!?」
「ご、ごめん! ゆはりんのポーズ、難しすぎ!」
奈々りん、私の上に倒れたまま、ニヤニヤ。なんか、奈々りんのTシャツ、ズレて、鎖骨とか、ちょっとブラの肩紐、チラッ。え、奈々りん、近い! 顔、熱くなっちゃうよ。
「奈々りん、どいて! エッチなドジっ子、座道失格!」
「えー、かおりん、冷たい! これも座道の試練じゃん!」
ゆはりん、クスクス笑いながら
「奈々りん、かおりん、畳でイチャイチャしないで。ストレッチ、続けるよ」
奈々りん、慌てて立ち上がる。
「イチャイチャじゃない! 事故!」
私、顔赤いままツッコむ。
「ゆはりん、奈々りん、絶対わざと!」
部室、静かな座道モードから、急にドタバタモード。しおりんが見たら、「かおりん、座道部、こんななの!?」って笑いそう。
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ストレッチ終わって、畳に座って一休み。ゆはりんが、 給湯器からお茶入れてくれる。奈々りん、畳に寝転がる。
「座道、奥深いね。心ピカピカ、身体もほぐれた!」
「奈々りん、寝転がるの、座道じゃないよ。ちゃんと正座して」
奈々りん、ムクッと起き上がって
「ゆはりん、厳しい! でも、好き!」
って、ゆはりんに抱きつく。ゆはりん、ビックリして お茶が畳にポタポタ!
「奈々りん! お茶、こぼれた!」
「うわ、ごめん、ゆはりん! でも、ゆはりんの匂い、いい感じだったから!」
「奈々りん、エッチ! 畳、拭いて!」
ゆはりん、顔赤くしてタオル持ってくる。私、笑いながら
「奈々りん、座道部のエッチ担当、決定!」
奈々りん、タオルで畳拭きながら反撃。
「かおりん、ゆはりんもエッチな目で私の太もも見てたよね!」
「見てない! 奈々りんが勝手にチラ見せしただけ!」
なんなの、このドタバタ。
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お茶片付けて、桜ヶ丘ランドの話になる。奈々りん、スマホ出して
「ジェットコースター、絶対乗る! かおりん、ゆはりんと手繋いで叫ぶの、楽しみ!」
「奈々りん、ジェットコースター、座道じゃないよね? でも、ちょっとドキドキするかも……」
私、風邪の時の奈々りんのドジっ子ハプニング思い出しながら
「奈々りん、遊園地でもバナナ落とさないでね」
ってツッコむ。
「バナナはもう卒業! 次は、かおりんの心、落とすよ!」
って、奈々りんがウインクする。ゆはりん、クスクス笑いながら
「奈々りん、かおりん、しおりんさんに怒られるよ」
しおりんの名前出て、なんか、胸がドキッとする。
「しおりん、桜ヶ丘ランド、誘ったら来るかな?」
「絶対来るよ! しおりんさん、かおりんのこと、めっちゃ大事にしてるもん!」
奈々りん、ニヤニヤ。ゆはりんもニヤニヤしながら、
「しおりんさん、遊園地で奈々りんのドジ見たら、笑いそう」
なんか、しおりんと一緒にジェットコースター乗るの、想像したら、めっちゃ楽しみになってきた。
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練習終わって、部室の窓から夕陽が差し込む。奈々りん、畳に寝転がって言う。
「座道、いいね。心、ピカピカ、身体もちょっとエッチにほぐれた!」
「奈々りん、エッチは座道じゃないよ!」
「奈々りんのドジとゆはりんの冷静さ、座道部の宝だね」
って私も、畳に座ってって言うと、奈々りん、ムクッと起き上がって
「かおりんのキラキラ笑顔も、座道部の宝!」
「うん、かおりん、しおりんさんに似てるよね。笑顔、キラキラ」
5月の終わり、久々の真面目な練習だったけど、奈々りんのエッチなドジとゆはりんの優しさで、いい一日になった。桜ヶ丘ランド、しおりん誘って、絶対みんなで叫ぶぞ。約束ね。




