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白夜の森を歩く




 二人の少女がおしゃべりをしながら森を歩いていた。森は森でもラコーヤの秘境白夜の森だ、女の子がおしゃべりしながら歩く場所ではない。


 見かけだけで言えば一人は武装コスプレ一人は王道ゴズロリ違和感しかない二人だった。


 「それで何で話しかけないのよ?」


 「だって、バスの中では爆睡してるし、始乃姉や二胡姉とイチャイチャしてるし。」


 何時もの、面倒くさいやつねと彼女は思ったが口には出さない。


 「面倒くさいやつだって思ったんでしょ?」


 「そうね。」


 「おまけにお姉たちには、願を掛けてるから、私からは喋りかけないなんて言っちゃったもんだから。」


 「筋金入りね。」


 「他の女の人の匂いまでするのよ。」


 「シューレル様ね私も早くお会いしたいわ。」

 

 「お願いしている刀だって私が最後だし。」


 「貴女のことをもっとよく知りたいのじゃないかしら。」


 「千年も待ってんのよ。」


 「それはあなたの都合よ。一度振られてるんだからいいところ見せないと。」


 「、、、、、。」


 「泣かないでよ。」


 「だって、なぜ捨てられたのか解らないんだもん。」


 「大丈夫よ。貴女た可愛らしいし、、、私より劣るけど。」


 「私もさらさらプラチナブロンドヘアと紫色の瞳が良かった。」


 「あ、貴女のつやつやの黒髪と切れ長の瞳も魅力的よ。」


 「ホント?」


 「102%」


 マルファ、ヴァンパイアの真祖、見かけゴズロリ少女はこのアシュールの少女が大好きだった。何世代も前からの付き合いだ。未熟なアシュールと呼ばれ揶揄され迫害された時代も彼女を守護し闇の中から支えてきた。


 彼女以前の真祖が滅び去り、新たな真祖に押し上げられた時、呪縛から闇から解き放たれサテライトになった。


 だが、一族を捨てられなかった。科学の進歩について行けず衰退する仲間達を切り捨てられなかった。


 大きな代償を払い膨大な魔力を使い光に怯える者達をこの地に導いた。


 嘗ては大魔導師シューレルやダートーサ達と並び称されていた美貌の魔女は削られ、やせっぽちな中学生にしか見えない。


 にもかかわらず、恩を忘れ長老や貴族クラスの一族の者達は彼女の言うことを聞こうとしない。彼女が滅すれば、その特権を自分達のものに出来るのではないかと考えている節すらある。


 始乃の件もそうだ。旅の途中、行きずり女性を身の回りの世話をさせるため、渇きを癒すため、身重の彼女の母を噛んだ。厳しく禁止されていたことにもかかわらず。


 生まれながらに強力な魔力を保ち闇の呪縛から解放された娘を母はその能力を隠匿し育てた。


 貴族の怠惰で傲慢な好奇心が娘の人生を破壊することなど分かりきっていたからだ。


 山田光刹、マルファ、恩ある者達の戒めにも耳を貸さない傍若無人ぶりが続いている。


 拘束しようとしたら襲いかかってきたという話だが。今回の暴挙も異世界人の血を味わいたいという好奇心に勝てなかった。そういうことなのだろう。


 だが、彼らは一線を越えた。なんだかのペナルティが課せられるだろう。


 山田光刹にとってラコーヤの人々にとって闇の一族は更に不必要な負担になってしまった。


 「もう一族も終わりね。」


 「どうしたの?」


 「大切な亡命者を暗殺者に変えてしまったからよ。」


 「そんなことは気にしなくて良いわ。」


 「なぜ、わからない説明してちょうだい。」


 「不愉快な目にあったのは間違いないでしょうけど。今行方不明になっているのは亡命希望者で暗殺者ではないわ。」


 「死んだ。二人は何なの?」


 「おそらく亡命希望者を始末するための追っ手ね。」


 「意識のない3人の女たちは何なの?」


 「一番厄介なのがおそらくあいつらかな。」


 「どういう意味かしら?」


 「パパ(山田光刹)ユキ、私に送られてきたサテライト系の殺し屋ね。」


 「それでは早急に、」


 「パパの結界術で暫く大丈夫よ、シンクロさせなければただのお人形だし。それにユキが許してくれるわけないじゃない。」


 彼女達は洗脳、魔改造されている兵器だが元々は連れ去られた人間だ。原野聴雪が見殺しにするわけがない。


 「彼女達の話は、まあ、とりあえずいいとして、多分この辺ね。」


 絡まるように密生する木々に降り積もる苔、行く手を阻む白夜の森の最深部で彼女は周りを見回した。


 すると背後から一人前方より二人の人間が現れた。三人は深くフードをかぶっているが長身で背中に剣と槍を背負っている。


 「パオアのキュレルでよかったかしら。」


 そう言われた女はフードを降ろし顔を晒すと跪く。


 「アシュール、再びお会いできる日が来るとは夢にも思いませんでした。」


 そう言って力なく微笑んだ。


 

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