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ニ女もかわいい



 次女のけんなぎの娘は薄紫の細かい花柄模様のリバティー柄の薄手のワンピースで丈が短いのか白い太腿がかなり大胆に見えていた。あぐらをかいて奥まで見えそうたが長い髪が不遜な視線から守っている。彼の存在には気付いているはずだが知らん顔で遠くを見ていた。ユキは躊躇うことなく彼女に近づくと膝を折り目線の高さを合わせると。突然の接近に彼女はビクッと体を震わせ睨み付けてくる。


「俺の名は原野聴雪、光刹先生の息子の一人で今はあちらこちらを飛び回っている。昨日は地球の裏側から飛んで帰ってきたのでさすがに疲れていた、挨拶も出来ずに済まなかった。これは土産だ受け取ってくれ。」


 ユキはそういうと荷物から出してきた包みを彼女に差し出す。


「しばらくここに滞在することになるのでよろしく頼むよ。」


 少女はあっけにとられていたが差し出された包みを奪い取るように受け取ると中を覗いてみる。


「かっ、かわいい。」


 中から出てきたのは不気味な呪いのかかっていそうな人形だが彼女は嬉しそうに抱きしめる。結界師の喜びそうな見かけは不吉だが魔除けの人形でハイチのブードゥー教のシャーマンから特別に譲り受けたものだった。貴重なものだが彼女の見事な結界術に敬意を表してユキはプレゼントすることにした。少女は立ち上がると鍛冶場の入り口を開放してくれる。だが、どこか釈然としない様子で。 


「"たらしの聴雪"噂通り。」




 彼女の中では、ちょっとした問題が生じているようがユキは何とか鍛冶場に入り中の素材を吟味を始めた。想像以上だった、良質な玉鋼、そしてやはりあった異世界の鉱物であるオールテッド鋼のインゴット。ユキは夢見心地に指でなぞりながらため息をつく。それを見て、覗いていた巫の娘が顔をしかめる。


「俺に関する噂は極端なものは別だが、だいたい事実だ、受け入れてくれ。」


「無理、受け入れ難いものばかり。」


 顔をしかめたまま彼女はそう答える。傷つくなあとユキは思いながら、とりあえず無視して言葉を続ける。


「失礼まだ名前を聞いてなかったな。」


「まだ迷っている。」


「え、そんな、教えてくれないの。」


驚くユキの姿に少しだけ親近感を抱いた彼女は。


「仕方ない、私はニコ。」


 そう言って彼女は身構える、きっと聞きたくない言葉が帰ってくるのだろうと無表情に心を守る素振りだった。


「どういう字なの、ニ胡とか?」


「そう、そうです何故ご存知なのです?」


 ユキは戸惑うニ胡と名乗った巫の娘をいやらしくならないようにギリギリの視線で全体を視界に収めスキャンする。もうそこで既にセクハラの極み、なのだが大真面目な顔でそれを覆い隠すように。


「ご両親の望むような娘に成長できて何よりだ。」


 ニ胡とは心も姿も美しく育ちますようにという願いの込められた名前でニコという名前にくだらない冗談を言われ続けて来た彼女は顔を真っ赤にして困惑する。


「ああっ、たまたまだ。」


 素っ気なく答えるユキに大人びてはいても17歳の少女は翻弄されている感が気に入らないのだろう悔しそうな顔をして。


「たらしの聴雪恐るべし。」


「それは俺の評価の中で最も的を得てないものだぞ。」


 悪びれることのないユキの返答にニ胡はさらに戸惑う。


「天然なのね!」


「ま、まあ落ち着け、ガムをやろう、ちょっと消毒みたいな味がするやつだが慣れると病みつきだぞ。」


 ニ胡は差し出されたガムの日本では見かけない分厚い束を震える手で受け取ると鍛冶場から逃げていった。


「ふん、変わった奴だな長女といい二女といい、さすが師匠、退屈することはないな嫌われないようにしよう。」


 どちらかと言うと、いらんことを一人喋りながら、ユキは収められている素材をさらに吟味していく。三女の名前はまだ聞き出せていないが15才の高1の少女が刀を望んでいる。ならば、ユキには記憶がないが昔一度作ったたと言われている、昨晩夢に浮かべたあれがいいだろう。そう再び確認するとまだ新しい素材に出会えるかもしれない、街に行ってみるかと鍛冶場を後にする。

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