プロローグ
ほんとすいません…。
防御シテクダサイ。
狙いがつけられないんで…。
もう…ほんとすいません。
転移特典として、簡単に敵を倒せるようにして下さい、って言ったけど…。
転移初日。
装備は転生前に、女神に説明してもらった通りの物が一通り揃っている。
スキルの確認を…と思ったら、何か角の生えたウサギっぽいモンスターに、ロックオンされていた。
「ちったぁ、ゆっくり確認させてくれ!」
ナイフを構える、走り込んで振るう。
さっと避けられる。
「ちょ…速すぎて当たら…?」
右3m程外したのに、ウサギは悶絶している、血だらけだ。
「あれ?」
試しに、全然違う方を向いてナイフを降ってみる。
「……当たった…な」
初のモンスターを倒した。
「これは…イージーモード過ぎないか?」
って、考えてた時期もあります…はい。
適当にぶんぶんナイフを、振り回してモンスターを倒しまくって、確認した結果。
「うん、自分を中心に、直径20mの円型が、当たり判定の範囲…と、言う事か」
なんて思っていた時期もありました…。
適当にぶんぶんしてたら、結構レベルが上がった。
Level20が、高いのかどうか?比べようがなく、分からないのだが…何やらステータスは、全て3桁にのってきたので、携帯食を食べもう少し移動しようとしたとき。
遠くで悲鳴が聞こえた…間違いない、人間だ。
「ナイフじゃ心許ないか…」
と思い、空間収納に入れてあった、転移特典でもらった剣に装備しなおして、声がした方向へ走って行った。
「いた!」
視線の先に、たぶんゴブリン?な奴に、尻もちをついた少女が襲われている。
既にゴブリンは、持っているボロボロの剣を、振り上げていた。
間に合わない!普通なら。
「伏せろぉ!」
自分でもビックリするくらい、大きな声が出た。
僕は思いっきり、持っている剣をゴブリンに向かい左から右に振り抜く。
絶対に当たらない距離なのだが、20m以内には入っている。
ドゴォおおおおお!
「???」
ゴブリンには、当たった…当たったんだけど…何これ?
ゴブリンごと周りの木やら草やら、幅1m程で直線100m程、剣を振った場所から、吹き飛んでいた。
「え?」
これ、武器の種類によって、当たり判定違うの?何て思っていた時期もありました…。
助けた少女は、想像してたより遥かに低い声で叫びながら、走り去っていった。
ピロン!ゴブリン1体を倒しました。
僕の頭の中に、虚しく音が響く。