7 試験結果
小春さんは、諦めながら合格発表される電光掲示板を見ていたんだ。
すると…。
小春さんの8番の番号がピカって光って映ったんだ。
思わず声を上げる小春さん。
「やった~!!」
小春さんはとても嬉しかった。
「でも、なぜ?脱輪したのに合格したの?」
って、小春さんは思ってたんだ。
一緒に受けていた隣の席にいた30歳の女性も同じく受かっていたんだ。
二人は一緒に喜んだんだ。
こうして、小春さんの仮免試験は無事に終わったんだ。
これから第二段階の一般路上での実技運転講習が始まる。
第二段階の学科の授業も小春さんは1日で全部取ってしまった。
1日で取るのはとても苦労したと思った小春さんだった。
そして、実際の路上での教習が始まったんだ。
初めて一般の路上教習で小春さんはとてもドキドキだった。
でも、とても嬉しかったんだ。
一般道路での教習は、教習所内のコースを走るのとはかなり違う。
実際の一般車に交じって走るんだ。
それなりに小春さんは緊張してた。
真剣にハンドルを握り運転していた時だった。
森山先生が話してきた。
「福山さん、仮免試験の時脱輪したんだよね?」
「はい、脱輪したんです。でも、なぜか仮免受かっちゃったんですよね。なんでだろう?」
小春さんは森山先生に聞いてみたんだ。
「それはね、脱輪した後に直ぐにバックして態勢立て直して元の位置に車を戻したからなんだよ」
「え?そーなんですか?」
「そうだよ。脱輪してそのまま走り続けてたらそこで試験は終わってたんだよ」
「そーだったんですかー?」
小春さんはなぜ自分が仮免試験に合格したのかこの時知ったんだ。
尚も森山先生は続けて話してきたんだ。
「試験官の先生も福山さんが脱輪したときは正直焦ったって言ってたよ。バックして態勢戻してくれ…って、内心思ってたらしいよ」
「そーだったんですかー?」
小春さんはその話を聞いて驚いていた。
そんな事があったのか?と小春さんは思っていた。
すると、先生は小春さんに注意するんだ。
「福山さん、目の前にゴミが落ちてるね?」
「はい」
「踏まないでよけて走るんだよ」
「え?何でですか?」
「福山さんも歩いててゴミをよけて歩くでしょう?」
「確かにそうですね」
「車も同じだよ」
小春さんは笑ってしまった。
また、ある時、森山先生はこうも話してきた。
「福山さんはどーして時速50キロで走るところを30キロで走って、時速30キロの所を50キロで走るんだい?」
「え?そーでした?」
「そーだよ~」
実際のところ、小春さんは一般の路上講習ではハンドルを握って前を向いて走ることで精一杯だったんだ。
だから、速度計なんて見てる暇なんかなかったんだよね。
そんな注意を受けていても、毎回ハンコは一発でもらってた小春さんだった。