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小春さんの教習所ライフ  作者: おりさくみづき
3/12

3 実技講習

この日、小春さんは2回目の講習を受けることになってた。


初めての教習所内の実技講習だった。


今日の小春さんは、自動車学校の送迎バスの中にいたんだ。


昨日、小春さんは優斗から自動車学校から送迎バスが出ていることを知らされていた。


そこで、電車に乗って遠回りして行くよりも、自宅の近くまで送迎バスが来てくれることを知りそれを使うことにしたんだ。


本当に送迎バスは小春さんの自宅の近くのコンビニの側まで来てくれた。

そのバスに乗り込んだ小春さん。


バスに乗ると数人の若い男女がいたんだ。

小春さんはここでもまた自分の年齢を感じずにはいられなかった。


「本当にこの年齢で運転免許なんて取れるのかな?」

なんて、小春さんは思っていた。


送迎バスに揺られて15分くらいだっただろうか?

バスは自動車学校に到着した。


受付を済ますといざ、初めての実技講習へ。

内心、ドキドキだった小春さん。


小春さんはオートマの車の免許を取ろうとしていたんだ。

もう、最近はほとんどがオートマ車だったし、優斗が乗ってる車もオートマだった。


「オートマの方が楽だよ~」

と、優斗からも言われていたんだ。


自分のバッグを持って指定された教習車の方に行ってみた小春さん。

そこには、小春さんよりもずっと若い20代半ばくらいの教官が立っていたんだ。


「え?こんなに若い人が先生なの?」

と、小春さんは思っていた。


「福山さん?さ、乗って」

「は、はい」


そう言われて教習車に乗り込む小春さん。

小春さんはとても小柄な女性だったから、教習車の車は正直大きかったんだ。


座席に座ると座席が低くて前が見えなかった。

それにハンドルも遠い。


困っているとその20代半ばくらいの教官が座席を少し前にずらしてくれた。

そして、座布団も一枚敷いてくれたんだ。


これでやっと目の前が見えた小春さんだった。


「さあ、ハンドルを握って、エンジンかけて、ブレーキ踏んでギアをパーキングからドライブに入れてください」


エンジンをかけるのもドキドキだった小春さん。

鍵を差し込み回してみた。


すると、ブルンって音がしてエンジンがかかったんだ。


ギアをパーキングからドライブに入れると車が少しカクンと動いた気がした。

「ゆっくりアクセル踏んでくださいね~」


「は、はい…」

はい、と言った小春さんだったが実際にはゆっくりアクセルを踏むどころではなかった。


アクセルを踏むと、面白いほどにスピードが出るのだ。

小春さんは内心とても興奮していたんだ。


「福山さん、もう少しアクセル緩めて!!スピード落として!!」

そう、叫ぶとその教官は慌ててブレーキを踏んだんだ。


小春さんは何が起きているのかわからなかった。

だって、いきなり車のスピードが落ちるんだもの。


「は、はい。すみません…」

「今度はもっとゆっくり優しくアクセル踏んでください!!」


と、教官が言うも、小春さんは今度も思いっきりアクセルを踏んだ。

小春さんはこのアクセルを踏むと面白いほどにスピードが出ることに快感を覚えたんだ。


またしても教官にブレーキを踏まれる小春さん。

「福山さん、ちゃんとゆっくりアクセル踏んでくださいって言ってるでしょ?」


「は、はい…」

今度は小春さん、ゆっくりとアクセルを踏んでみた。


ノロノロと講習所内の道路を走っていく教習車。

小春さんは、このノロノロの運転が余り好きではなかったらしい。


でも、初めてなのだ。

好きとか嫌いとか言ってはいられなかった。


教習車はコースをゆっくりと回って走っていく。

小春さんはとてもこの乗り物が好きになったみたいだった。


「でも、初めからこんなに沢山ブレーキ踏まれたらハンコはもらえないだろうな?」

なんて小春さんは思ったんだ。


教習所内のコースを何回かグルグル回って、車の停止の仕方、発進の仕方などを教えてもらった小春さんだった。


実技講習が終わった後、小春さんは奇跡的にも、あんなにブレーキを踏まれたにも関わらず?なぜかハンコがもらえた。


小春さん自身もとても驚いていた。

こうして、小春さんの初めての実技運転教習は終わった。


でも、まだまだ問題は山積みだった。


小春さんの教習所生活はまだまだ続くんだ。

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