11 試験場
小春さんは悩んでいた。
何をかって?
それはいつ最後のF試験場での最終学科試験を受けに行くか?ってことにね。
そんなことを悩んでいた時だった。
小春さんのLINEが鳴ったんだ。
LINEを見てみると森山先生からだった。
「最終試験受けに行ったの?」
そう書かれてあったんだ。
このころになると、小春さんは森山先生とLINEの交換なんかもしてたんだ。
「まだ、行ってないんですけど」
「学科の内容忘れないうちに行った方がいいよ」
「やっぱりそうですよね~」
そんなやり取りをしていた小春さんだった。
「やはり忘れないうちに受けに行った方がいいよね~」
って、小春さんも思っていたようだった。
そして小春さんは決心したんだ。
最終試験を受けに行こうと!!
翌日…。
小春さんはF試験場にいた。
さすが最終試験を受けるF試験場はとても大きかった。
最終試験を受ける人や講習を受けに来る人でごった返していたんだ。
小春さんは受付で受付を済ませた。
そして、かなり大きな広い部屋に行ったんだ。
そこにはずらーっと机が並んでいた。
自分の番号が書いてある席に座る小春さん。
小春さんの番号は358番だった。
「どんな内容の試験問題が出るんだろう?」
小春さんはそう思っていたんだ。
「きっと、効果測定よりも難しいんだろうな?」
そうも思っていた小春さんだった。
「合格できるだろうか?」
小春さんの不安は続いたんだ。
そんなこんなを考えていた頃だった。
試験官が来て試験が始まったんだ。
試験問題を見て記入していく小春さん。
その時…。
ん?って思ったんだ。
効果測定の時よりも問題がやさしい。
あれ?どうなってるんだろ?
そう、思いながらも解答用紙に記入していく小春さん。
あっという間に答えを記入できたんだ。
「でも、これで本当に合っているんだろうか?」
とも、考えていたんだ。
試験終了の時間が来て試験は終わった。
後は数十分後に電光掲示板に発表されるのを待つだけだった。
小春さんは森山先生にLINEを送った。
「試験終わりました。後は結果を待つだけです」
「それは良かったね。結果が出て合格してたら今日お祝いに飲みに連れてってあげるよ」
「マジですかー?」
「本当だよ。飲みに行こう~」
そうLINEには書かれていたんだ。
小春さんは内心喜んだ。
森山先生と飲めるなんて!
後は、合格発表を待つだけだった小春さん。
ドキドキしながら電光掲示板を見ていたんだ。
暫くすると、アナウンスがあって電光掲示板に番号が表示されたんだ。
小春さんの番号は358だった。
小春さんは自分の番号を探したんだ。
すると…。
小春さんの番号358が光って表示されてたんだ!!
「やった~!!」
と、小春さんは歓喜の声をあげていた。
お隣で同じく見ていた女性は不合格だったらしく、ひどく落ち込んでいた。
小春さんはとてもホッとしていたんだ。
それにとても嬉しかったんだ。
免許証が発行されるまで1時間以上もあったので、小春さんはジュースを買って飲んで待っていた。
かれこれ1時間も経った頃…。
免許証受け取りの場所まで小春さんは行ったんだ。
そして、新しい免許証が渡されたんだ。
小春さんは初めからゴールド免許だった。
なぜか?って?
小春さんは昔、原付のバイクの免許を持っていたからだった。
バイクには乗っていなかったんだよ。
だからゴールド免許で当然だったんだ。
小春さんは森山先生にLINEをしたんだ。
「先生、無事に合格しました」
「良かった!良かった!じゃ、今夜飲みに行こう」
そう書かれてあったんだ。
小春さんは優斗にもLINEをしたんだ。
「試験受かったよ。今日教習所の先生と飲みに行くから」
「良かったじゃん!飲みに行っておいでよ~」
そう優斗からも返事が来たんだ。
小春さんはとても喜んでいた。
僕も同じように嬉しかったし喜んだんだ。
その日の夕方…。
小春さんはS駅のホームで森山先生を待っていたんだ。
この日の小春さんの服装はノースリーブのカットソーにミニスカートにミュールを履いていた。
小春さんは、自動車教習の時は決してスカートを履いていかなかったんだ。
いつもジーンズで通ってたんだよ。
ミニスカートとかだと先生に気を遣わせると思ったからだった。
駅で森山先生を待っている時LINEが鳴ったんだ。
森山先生からだった。
「子供をお風呂に入れてから行くから、少し遅れるね」
そう書いてあったんだ。
森山先生はその頃まだ小さな子供が居たんだ。
「子供を風呂に入れるなんて、先生って結構マメなんだな」
って、小春さんは思ってたんだ。
暫くすると、S駅のホームに先生がやってきたんだ。
S駅からタクシーに乗って少し走った。
すると一軒の焼き鳥屋さんにたどり着いたんだ。
そこで二人は降りたんだ。
焼き鳥屋さんに入っていく小春さんと森山先生。
ここの焼き鳥屋さんは森山先生の行きつけのお店だったみたい。
小春さんはこのお店で沢山食べさせられたんだ。
焼き鳥屋さんなのに、なぜかオムライスだのロールキャベツだの洋食が沢山出てきたんだ。
小春さんは不思議に感じながらも楽しく飲んで、楽しく食べていたんだ。
飲んでる時に森山先生はこう言ってきた。
「新しい免許証見せて」
「はい」
そういうと小春さんは免許証を見せた。
「良かったね~。でも、40歳の福山さんが2か月で免許取れたなんて、学校から少しお金返してもらった方がいんじゃない?」
そう言うと森山先生は笑ったんだ。
確かに30万円一括パックコースは小春さんには必要なかったみたいだった。
こうして小春さんの教習所生活は終わったんだ。
でもね、森山先生とは今でも連絡を取り合ってる小春さんだった。