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掌編集1 幻の都市とスーツ人  作者: 阿久沢牟礼
5/10

雨と傘と意志の関係

 雨が降っていたと思ったら止んで、止んでいたと思ったらまた降るような天気だったのだが、そんな日に限って無性に外に出たくなる。


 傘を持って出たほうがいいと家の者は言うのだが、傘を持つと決まって雨は止むのだから癪である。雨が止んだら、傘を持って出た意味がないと後悔するに違いない。


 だからといって傘を持たずに出れば、今度は決まって雨が降るのだからこれも癪である。雨が降ったら、傘を持って出ればよかったとこれもまた後悔するに違いない。


 少々迷った後、迷っていても仕方がないと、傘を持たずに家を出る。


 案の定、おもてに出ると小雨がぱらつき、次第に雨脚が強まってくる。


 しばらく行ってから、ふと我に返って思ったのだが、雨が降るにせよ降らないにせよ、傘を持てば少なくとも雨に濡れることはないのだから、どちらかというと傘を持って出たほうがよかったのではないか。


 と、考え直してみたあとでまた、ふと我に返って思う。


 そもそも自分は、雨に降られたくて外に出たのかもしれない、と。

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