暗号
俺はZ。現在高校一年生で、家族と一緒に小さな一軒家で暮らす、ごくごく普通の男子生徒ってとこだ。
そんな俺のところに、ある日一通の手紙が届いた。
「お?」中を見てみると、どうやら小五のときの同級生だった奴の母親からだった。
内容はこうだ。
『Z君へ
私の娘――ランカが死んでから、もう五年。
はなたばを添えるのは、娘が死んだ踏切。
お母さんに相談してくれればよかったのに、あなたは自殺してしまった。
前はあんなに笑顔だったのに、どうして?
ランカ。あなたは確か、クラスメイト三人にいじめられたのよね。どうして私
を頼らなかったの?
許して。あなたの苦しさに気づけなかったお母さんを許して。
さあて、Z君。
なぜ私がこんな手紙を送ったと思いますか?
いいのです、わからなくても。明日になればわかります。
殺害現場に、花を手向ける私から、
すすり泣く私から、あなたへの手紙でした』
「なんだろこれ。気持ち悪い」
そう呟いて、俺は手紙を破り捨てた。
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――翌日。
「……次のニュースです。K県H市で、連続殺人事件が発生しました。被害者はZさん(17)、Yさん(17)、Xさん(16)で、被害者三人はいずれも同じ小学校の卒業生だということで、警察が事件を詳しく捜査しています……」
あとがき・解説
主人公の元へ届けられた手紙は、暗号です。
一文字めを縦に読むと、「私はお前らを許さない殺す」になります。
主人公など被害者三人は、五年前、手紙の送り主の娘ランカをいじめており、そのせいでランカは自殺しました。
それを恨んだ送り主は、主人公へ憎悪の手紙を送ります。そしてその後すぐに殺害し、五年越しの復讐を果たしたのでした。
この暗号は縦読みと呼ばれるオーソドックスなものです。
みなさん、楽しんで頂けましたか?
次は『ぎなた読み』です。お楽しみに!