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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第一世界 最終章 本当の敵
97/211

唯一の仲間

本来なら一昨日で投稿できるレベルで進んでた。ではなぜ今日なのか?普通にゲームしてて遅れた!




・・・バルシム視点・・・


これは数時間前に遡る。エリシアを逃してしまったバルシムは手の剣を消し、その場に座り先程の自信とエリシアの戦いを思い返す。


(あの女、中々の強さだったな。魔力も魔法も並みの人間じゃねえ。そしてさらにあの『マジックグロウ』とかいうスキルはおそらくSランクのスキルだろうな。使った瞬間魔力が爆発的に上がりやがったし。それに、この世界に来てからあの女以外の5つの強い魔力を感じる。1人は魔王だろうが、残り4つは四天王か?だがそのうちの1つがあの女の近くから感じられるのを考えると、あの女の仲間か?まあどちらにせよ、3日後が楽しみなのは変わらないがな)


3日後の決戦に期待を膨らませるバルシム。すると、はっ!と何かを思い出したかのように立ち上がる。


(おっと、あの女との戦いが楽しすぎてすっかり忘れてたぜ。あいつらのところに行かねえとな)


その瞬間、バルシムは足に魔力を込めて平原を猛スピードで駆けて行く。


(待ってろよてめえら!俺を"道具"にしたこと後悔させてやるよ!)


周りにいる魔物たちを震え上がらせるほどの殺意を放ちながら、バルシムはかつての仲間たちや家族の元へと向かった。









それからバルシムは、自分を利用して他人を陥れた妹、自分を金稼ぎの道具として使っていた2人の仲間、そして自分が覚えている範囲で生きている人々を次々に殺し回った。そして・・


(・・"神"が言うにはここにいんのか)


バルシムがやって来たのは、慎也たちがいる街とはまた別の街の最奥にある豪華な屋敷である。


(門番は2人・・・どっちも大したことねえな)


門番がいるにも関わらずバルシムは何食わぬ顔で屋敷に向かって行く。もちろんそんなこと許されるはずもなく、門番に止められる。


「そこの男止まれ!」

「俺はここの主人に用があるんだ。さっさと通せ」

「お前、今日客人が来るなんて聞いたか?」

「いや聞いてないな」

「怪しい奴だな。今すぐ帰らないと言うのなら今ここで叩き斬るぞ」


そう言うと門番の2人は腰の剣に手をかける。


(やっぱ簡単には行かねえか)


門番の脅しを意に介さず、そのまま門を通ろうと門番に近づいて行く。


「っ!よーし、お前がその気な・・・っ!?」

「てめえらに用はねえんだ。少し眠ってろ」


門番たちが剣を抜く前にバルシムは瞬時に後ろに移動し、手刀で門番を気絶させる。さしてバルシムは門を開けて庭へと入って行く。


(これが俺を使って稼いだ金で買ったもんか。きっと裕福な生活を送ってるんだろうな。なんで40年前の俺はあんな奴らを信じちまったかなぁ)

「誰かー!侵入者よー!」

「あ?」


バルシムを見た使用人の女性がそう叫んだ瞬間、屋敷の中から20人ほどの騎士が出てきて、バルシムを囲んだ。


「ここまでだ侵入者!牢屋にぶち込んでやる!」

(警備はちゃんとしてるってことか。だが量は多いが質が悪いな。どれも雑魚ばかり)

『うおおお!!』

「はぁあ!」


向かってくる騎士たちを、バルシムは魔力の波動を放ち吹っ飛ばす。


「な、なんだこの魔力!?」

「化け物かよ!?」

(この程度の魔力で倒れるとはな。40年前の騎士たちはこの程度意に介さず向かった来たんだが、騎士も堕ちたもんだ)


怯えて動かない騎士たちを無視してバルシムは屋敷の中へと入って行った。









「・・・外が騒がしいようだけど、何かあったの?」

「ただ今侵入者がいるようです。しかし、私の部下たちがすぐにその愚か者を捕らえましょう」

「任せるわよ」


屋敷の最奥にある少々大きな食堂。その真ん中に置かれた横長のテーブルの1番端に座り、食事を取る女性。その側に立つ鎧を身につけた大男。


「・・・いや、やっぱりグリシ、少し様子を見て来てくれないかしら?」

「しかし、私めが行くと"エル様"を守る者が・・」

「構わないわ。それに、私が元々なんだったのか知っているでしょう?」

「・・・わかりました」


グリシと呼ばれた男はエルという女性を心配そうに見ながら部屋を出ようと扉の方に振り返る。するとその瞬間、突然扉が勢いよく開き、バルシムが入ってくる。


「・・お、やっと見つけたぜエル」

「すみませんが、あなたのような人とは面識がないのですが」

「まあ40年も経ってれば忘れるわな」

「40年前・・?」

「貴様!エル様のお屋敷に許可なく立ち入るだけでなく、エル様に対するその口の聞き方!無礼にも程があるぞ!」

「てめえはさっきの雑魚どもとは違うようだな」

「雑魚、だと?俺の部下を侮辱するなああ!!」

「40年前・・・あ!待ってグリシ!あなたじゃ・・!」

「『岩壊斬』!」


自身の部下を侮辱されたことによる怒りに身を任せグリシはバルシムに剣を振る。しかしそれをバルシムは瞬時に魔法陣から取り出した剣で容易に防ぎ、グリシの腹部を蹴り、鎧ごとグリシを蹴り飛ばす。


「ぐはっ!」

「・・・やっぱりその強さ、バルシムなのね」

「!・・・へぇ、あいつらは俺が名乗るまで気づかなかったんだがな」

「貴様ぁ!」

「グリシ!手を出さないで!」

「し、しかしエル様!こいつはきっとエル様を狙って・・!」

「いいから!あなたは外で待ってなさい!」

「っ!・・・わかり、ました」


グリシはエルの命令に従わないわけにもいかず、バルシムのことを睨みながら部屋を出て行った。


「なんのつもりだ?」

「久しぶりに会ったんだから、少し話さないかしら?」

「俺は話すことないんだが」

「あの2人や家族に会って来たんでしょう?その時のこと話してくれない?」

(・・・まあ冥土の土産に話してやるか)


バルシムは近くの椅子に座り込み、エルに今日のことを話し始めた。


「まずはカリンからだな。あいつは俺で稼いだ金で何人も男を作っててな。ちょうどその男どもとイチャついてるところに俺が入ったらな、それはもうすごい罵詈雑言の嵐だ。それで俺がバルシムって言ったらなんて言ってたと思う?「あ、金づるバルシムね」ってな」

「っ!?それは・・」

「ひどいってか?俺からしたらてめえも大した変わんねえけどな」

「・・・」

「そんでまあ、カリンが「また私のために金を稼いでくれるの?」って言うから、とりあえず周りの男全員殺して今の自分の状況を教えてやったんだ。そしたらカリンの野郎、命乞いし始めたんだぜ?呆れ通り越して笑えたぜ」

「・・それでカリンは?」

「体に剣を数本ぶっ刺して苦しめながら殺してやったよ」

「っ!そうですか。もしかしてもう1人も?」

「ああ。あいつはパーティーを組んでた時に俺と前線で戦ってただけあって、さっきのグリシとかいう騎士よりは強かったがな。俺が少し本気出したらすぐに倒れちまって、その後はカリンと同じで命乞いをしてきたんだが、もちろん殺したぜ」

「・・・」

「さてと、話は終わりだ」


そう言うとバルシムは立ち上がり剣を持ってエルの前まで歩み寄る。


「どうだエル?お前も命乞いをしてみるか?もしかしたら俺が許すかもしんねえぞ?」

「いや、いいよ」

「潔いな」

「だって、やっと罰が受けれるんだから」

「罰?なんのだ?」

「それはね・・・









    仲間を、好きな人を裏切ったことへの罰だよ」

「!?」


エルの突然の告白に、バルシムは動揺するが、すぐさま冷静になり剣をエルの首に突き付ける。


「どういうつもりだ?もしかして俺に情を湧かせて死を回避する気か?それなら・・」

「違うよ。そもそもバルシム、この世界を壊す気なんでしょ?なら今ここで生きれたとしても、少ししたら世界と一緒に死ぬ。そんなの意味ないじゃん?」

「なら何を企んだやがる?」

「何も企んでないよ。本心を言っただけ」

(っ!こいつ・・!)

「ならそれが本心だったとして!なぜお前はあの時、魔王の呪いだとか言って俺と共に来なかった!?」

「その時さ、カリンたちに脅されててね。協力しなかったら家族を殺すって言われちゃって」

「っ!ならなぜそれを話さなかった!貴様はあの時の俺がどういう人間だったか覚えてるだろ!」

「うん、覚えてる。困ってる人を見過ごさない、魔物嫌いな、正義感の強い人。それがあなただった。でも私は、そんなあなたを信じて話せなかった」

「くそが・・」

「だからバルシム・・」


そう言ってエルは立ち上がり、バルシムの方に向けてエルの瞳からは、涙が溢れていた。


「私を・・・裁いて!」

「っ!今更なんだよ・・・エル!」


バルシムは力一杯握りしめた剣を、エルの胸に突き刺した。


「ありがとう、バルシム。そして・・・ごめ・・なさい」


そう言い残し、エルは倒れた。









(・・・)


エルを殺し、そして怒りで襲ってきたグリシを殺し、バルシムのローブは血塗られていた。そんなバルシムは屋敷から出て庭をゆっくり歩く。


「・・・あ?」


バルシムは足を止めて庭のある場所を見る。そこには誰かの墓が建てられていた。


(・・・あいつの家族のか?ならついでに壊してやるか)


そう思い、バルシムは墓の前まで歩き、剣を振りかぶる。


「っ!」


そしていざ振ろうとしたところで、墓石に書かれたものを見てバルシムの動き止まる。そこには・・




     私の愛する人 バルシム ここに眠る




「チッ!くそが!」


バルシムは容赦なく墓を真っ二つにし、剣を投げ捨てる。


(・・・余計な感情が湧いちまったな)


バルシムは無表情のままその場に佇む。すると、その直後にバルシムは不敵な笑みを浮かべた。


(・・・上等だ)

「このいらねえ感情も!いらねえ感情を生む俺の心も!全部この世界ごと、憎しみに塗り潰してやるよ!









         この"剣の王"がな!!!




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