変わらぬ状況
「いくぞ!」
慎也は剣に魔力を込めて男に斬りかかるが、男はそれを容易に剣で受け止める。
「パワー、スピード、どちらとも格段にアップしてるな。それがお前のチャントスキルか?しかし唱えてるようには見えなかったのだが・・」
「これは俺と俺の友達の絆の力だ!」
「絆の力か。40年前までは俺も同じようなことを言ってたなぁ」
「40年前?なんの話をして・・」
「おっと、今は戦いの最中だぜ!」
「っ!」
慎也を剣で押し飛ばし、追撃を加えようと斬りかかる。
「『エアブラスト』!」
慎也も負けじと魔法を放ち、男を後ろにぶっ飛ばす。そして地面に足をつけて慎也は再び男に斬りかかる。それに対し男も剣を振り、2人の剣がぶつかり合う。
「おらおらどうした!?そんなもんか!?」
「くそ!」
互いが互いに向かって剣を振り続け、何度も剣同士がぶつかり合うが、剣を振る速度は男の方が勝っており、刃が慎也の体を何度も掠めて小さな傷がいくつもできる。
(このままだと俺が負けるのも時間の問題だ!剣でダメなら魔法で押してやる!)
「『フレイムボム』!」
「うお!?」
慎也の突然の魔法に反応できず爆発を喰らった男は後ろに少しぶっ飛び2人の間に距離が空く。そこで慎也は剣を鞘に納め、両手に魔力を込める。
「これぐらいの距離なら秒で・・」
「近づけさせると思うか?『アクアファイヤ』!」
「へぇ・・」
慎也の放った無数の水の球。それを男は全て剣で防いでいく。それを見て驚く慎也だったがすぐに次の魔法を準備する。
「次は何を見せてくれんだ?」
「『ドラゴンフレイム』!」
「その程度の炎、衝撃波でぶっ飛ばして・・」
「馬鹿じゃねえんだよ!『ライトニングドロップ』!」
「!」
真上から雷を浴びさせられ、一瞬怯んだ男に炎の竜が襲い掛かり、男は炎の竜に呑まれた。
(これでどうだ!?)
「・・・まあまあだな」
「っ!?」
その声と共に男は剣を一振りして炎を斬り払う。男の体に傷がついてないどころか、身につけている黒いローブに焦げ目すらついていなかった。
「嘘だろ・・」
「このローブは俺の鎧みたいな物だ。これに傷をつけれないならお前に勝機はない」
「っ!まだわかんねえだろ!」
「ほう、そこまで言うなら俺を倒せる技があるんだろうな?あるならさっさと出した方がいいぞ」
「・・後悔すんじゃねえぞ」
そう言い、慎也は右手に剣を持って左を前に突き出し、剣を後ろに引いて魔力を込め始める。
「!?その構えは!」
「いくぞ!『トルネードトラスト』!」
今ある自分の魔力を剣に全て注ぎ込み、慎也は剣を前に勢いよく突き出して風の纏った光線を放った。
「まさかお前がそれを使うとはな!『グランドブレイク』!」
男の放った『グランドブレイク』と慎也放った『トルネードトラスト』がぶつかり合う。
(こいつの『グランドブレイク』、オークキングのやつとは比べ物にならねえくらい強い!このままじゃ・・)
「・・・終わりだな」
そう呟いた瞬間、男は自身の放った『グランドブレイク』に衝撃波を放ち、慎也の『トルネードトラスト』を押し切った。
(ここで終わんのか俺?)
「あばよ、村上慎也!」
(いや!今までいろんな奇跡を起こしてきたんだ!これぐらい耐えてやる!)
そう思い、慎也は歯を食いしばった。
「すみませんが、慎也さんをこんなところでは終わらせませんよ」
その声と共に炎の竜が男の『グランドブレイク』とぶつかり、互いを相殺した。
「・・少しは強そうな奴が来たじゃねえか」
(今の声って!)
「遅くなって申し訳ございません。あとは任せてください」
そう言ってある人物は慎也の前に立ち、自慢の杖に魔力を込め始める。
「エリシアさん!」
「俺もいるぞ慎也!」
エリシアをこの場に連れて来たであろうライルが自身の存在を主張しつつ慎也に駆け寄る。
「大丈夫か慎也?」
「全然大丈夫じゃないな」
「ところでリアは?」
「あそこで倒れてる。たぶん気絶してるわ」
「りょーかい」
ライルがリアの方に行くのを見た慎也は男とエリシアの方に向く。
「お前すごい魔力だな?レベルどんくらいだ?」
「80は超えてますよ。そう言うあなたこそ、人のことは言えませんよ」
「ふ、流石にわかるか。村上慎也よりは期待してるぜ」
「村上は余計です。慎也さんは慎也さんですよ」
(あーやっぱりエリシア苗字のこと知らないんだ。まあこの世界に日本人いないしな)
「それではまず、準備運動といきましょうか。『グランドルート』!」
その瞬間エリシアの周りから大きな木の根っこが4本取り出しき、男に向かって行く。しかし男は容易に4本全部を剣で斬り飛ばし、エリシアに向かって行く。
「もらった!」
「『マイグレーション』」
「!」
エリシアは魔法で先ほどの根っこの上に移動して男の攻撃を躱す。
「『マルチレーザー』!」
そして魔法で3つの魔法陣を出し、そこから放たれる光線で男を攻撃する。しかし男は放たれてくる光線を全て弾き飛ばしていく。
(これ俺も行った方がいいか?魔力無いから戦力にならないと思うけど、いないよりはマシか?)
「ライル!俺たちも行くぞ!」
「おう!」
2人は男の後ろから同時に斬りかかるが、それ気づいた男が後ろに高く飛んで2人の後ろを取ると同時にエリシアの光線を2人を盾にすることで防ぐ。
「いくぞライル!」
「ああ!」
「「『ツインスラッシュ』!」」
2人は剣を強化して男に斬りかかる。1撃目を交互に放ち、2撃目を同時に放つが、それを全て男はガードし切る。
「お前らじゃ俺の相手にはなれねえよ!はぁぁ!」
「「っ!?」」
突如男が放出した魔力の波動に2人は吹っ飛ばされる。そこにエリシアはすかさず光線で攻撃し、男に何発か命中して爆発する。
「大丈夫ですか2人とも?」
「これぐらいどうってことないですよ!」
(俺はちょっとキツいのは内緒)
「この火力、80を超えているだけはあるな。だがこれでは倒せんぞ」
「「「!」」」
爆煙を斬り払い、姿を現す男。流石にエリシアの攻撃は効いたようで、ローブにところどころ傷が出来ている。
「エリシアさんどうします?このまま行けば勝てると思いますが・・」
「油断は出来ませんよ。彼、まだ本気を出していないようですし」
(エリシアさんいればいけると思うんだけどな)
「・・・まさかてめえら、その女がいれば勝てると思ってないか?」
「「なぜバレた」」
「2人とも私のこと信頼しすぎですよ」
「いいだろう。貴様らに絶望を見せてやる」
「それはどうゆう・・」
「・・・4割でいいか」
そう呟いた瞬間、男の体からとてつもない量の魔力の波動が放たれた。その放たれた波動は近くの木にヒビを入れるほどの破壊力を持ち、2人はもちろん、エリシアまで狼狽えるほどのものだった。




