仲間との生活
「「先程は本当にありがとうございました!」」
そう言って、慎也が助けた男女2人組の冒険者はギルドを出て行った。
(ふぅ、今日も働いた働いた!)
「また人助けですか?」
慎也が達成感に浸っていると、近くを通りかかったのであろうエリシアが慎也に話しかける。
「そうですよ。目の前に救える命があるのにそれを見て見ぬふりなんて出来ませんから」
「慎也さんのそういうところ、私好きですよ」
「・・・今俺の好感度上げてパーティーを組みたくならせようとしました?」
「あ、慎也さんも人の心が読めるようになってきましたね」
「それぐらいじゃ俺は落とせませんよ」
(不覚にもちょっとドキッとしたのは秘密な)
「それはそれとして、このあとって空いてますか?」
「空いてますよ」
「なら少し付き合っていただけますか?最近できたカフェに行きたいのですが、カップルで入ると全メニューが2割引きになるんですよ」
(へぇ〜、この世界にもそういうのあんだ)
「いいですよ全然」
「それじゃあよろしくお願いします」
(・・・なんかさっきから視線感じるな)
先程から謎の視線を感じている慎也。さすがに気になり慎也は視線を感じる受付の方に目を向ける。
(・・・なんかめっちゃエテラさんがこっち見てる)
頬を膨らませて慎也たちを凝視するエテラ。何か用があるのかと思い慎也はエテラに駆け寄り、それにエリシアも続く。
「どうかしましたか?さっきからずっと俺たちのこと見てますが・・」
「別になんでもないですよ〜だ」
(頬膨らせてるエテラさん可愛いな)
「頬膨らせてるエテラさん可愛いですって」
「え!?」
「なんで今俺の心読んだんですか」
「顔に出ていたのでつい」
(うっそーん。俺そんなに顔に出やすい?)
「お!慎也じゃん!それにエテラさんにエリシアさんも!3人で何話してんだ?」
3人が集まっているところにクエストから帰ってきたであろうライルとリアが来る。
「エリシアさんに心読まれてエテラさんを可愛いって思ってたのバレたって話」
「・・いいなぁ」
「エリシアさんに心読まれるのが?」
「なんでそっちだと思ったのライル」
「リアも十分可愛いから安心しろ」
(美人というより可愛いだからなリアは)
「そ、それなら良かったです」
「うわぁ慎也がリアを口説いたー」
「ふ、精々ライルも俺のような女をすぐに口説ける男になれるよう努力することだな」
(まあそれで落ちてるかどうかは知らんけど)
「まだそんな歳じゃないんで断る」
「・・なんかため口と敬語とじゃ距離感じますねエテラさん」
「いっそのこと今からため口にしてもらいます?」
「いいですね」
そう言いエリシアはライルたちの方を見ていた慎也の肩を掴んで体の向きを自分たちに向けさせる。
「ど、どうかしましたか?」
「慎也さん、そろそろ仲も良くなってきたのでため口で話してくれませんか?」
「全然いいですけど、どうしたんですか急に?」
「ライルさんたちはため口なのに、私たちだけ敬語だと距離を感じる・・・とエテラさんが」
「先に言ったのエリシアさんなのに!?」
「あれ、そうでしたっけ?」
「で、結局俺はこれからため口で話した方がいいですか?」
「出来れば」
「それじゃあ、えーっと・・・エリシアに、エテラ」
「おお!慎也が2人のこと呼び捨てにするの新鮮でいいな!」
「私もライルみたいにため口でいこうかな」
(なんか今までさん付けだったから抵抗あんな)
「それで呼び捨てで呼ばれた感想はどうです・・・どうだ?」
「ライルさんの言う通り、新鮮味があって良いですね」
「そうで・・そうか。エテラはどうだ?」
(やべぇ全然慣れねぇ)
「慎也さんが、慎也さんが!」
(あーダメだこの人、自分の世界に入っちまってる)
「すみませんやっぱりこれまで通り敬語じゃダメですか?」
「えー!もっと慎也のため口聞きたいなぁ!」
「お前とリアにはいっつもため口だろうが」
「あ、そうだった」
(なんだこいつ)
「まあ強要もいけませんし、これまで通り敬語でいいですよ」
「おいてめえら。受付の前で何やってんだ」
4人で話していると、今度はハーツが2階から降りてきて慎也たちのところに来る。
「話すのはいいが、場所を移せ」
「それじゃあ食堂の方にでも行きますか」
「いいですね。ちょうどお腹も空いてきましたし」
「それじゃあ私も・・」
「待てエテラ。お前は仕事があるだろ」
「お、お昼休憩ということで」
「エテラさんさっきお昼休憩取ってましたよー!」
「・・っと、お前の同僚が言ってるが」
「なーんで言うんですかー!」
「俺たちもクエストの報告したら食堂行くか。ということでエテラさんお仕事の方を」
「お願いしまーす」
「わかりましたよー」
そう言いエテラは作業に取り掛かる。それを見た慎也とエリシアは先に食堂へと向かおうと歩き出した。すると・・
「あれは私の勝ちだろう!?」
「いーや俺の勝ちだ!」
(なになになに?)
なにやら言い争いをしているレイルとハーツ、そしてその後ろにミリユとアイクの計4人がギルドに入ってくる。
「どうしたんですか2人とも?」
「おおエリシア!実はディード君が全く自分の負けを認めなくて困ってるんだよ!」
「ああ!?負けを認めるのはそっちだろ!」
「アイクさんかミリユさん。説明を」
「了解。あれは少し前の出来・・」
「あ、回想とかいいんで。喧嘩の原因だけ教えてください」
「そう?原因は、どっちが先に目的の魔物を狩ってこれるかっていう勝負をしたんだけど、2人とも同じタイミングで狩っちゃってね」
「なーる」
(・・・いやくだらな)
「それがそうでもないんですよ」
「とうとうミリユさんまで俺の心を・・」
「実は敗者は4人分の昼食を全額払うっていう罰ゲームでね」
「最近クエストが上手くいってなくてお金がないディードさんと、珍しい武器に目がなくてついつい買ってしまってお金がないレイルさん。あとはわかりますね?」
「あー・・」
(そりゃあ俺も必死になるわ)
「平和的な解決法は・・」
「誰かが2人の代わりに払うとか?」
「まあそうなりますか。仕方ない」
未だに言い争っている2人に呆れつつ、慎也は2人に近づく。
「ちょっと2人とも、そのへんでやめてください」
「お、慎也君もいたのか!」
「ずっといましたよ。それより、今回は4人分俺が払うんで喧嘩なんてやめてください」
「・・・まじか?」
「まじですよ」
「慎也君、君は神か何かかい?」
「そのかわり!今度2人とも俺に飯奢ってくださいね?」
「それぐらいお安い御用だ!」
「私が本気を出せば1日で金貨30枚は余裕だね」
(それならなんで今日払えねえんだよ)
「なんだなんだ!?今日は慎也の奢りなのか!?」
おそらく全く事情を知らないであろうライルとリアが報告を終えてみんなの元にやってくる。
「いや奢るのはレイルさんたちだけで・・」
「そうだぞライル君!今日の昼食は慎也の奢りだ!」
「ちょ!やめてくださいレイルさん!」
「慎也さんもたまには太っ腹なところあるじゃないですか」
「だから違うってば・・・ちょっとエリシアさんもなんとか言って・・」
「大丈夫ですよ慎也さん」
(エリシアさん!少しあなたのこと見直し・・)
「半分は請け負います」
「案の定裏切られたわ」
(いやまあ半分払ってくれるんだったら俺も助かるがな)
「てことでみんなで昼食をとろう!」
「なんか悪いね、慎也君」
「いえ、俺から言ったことですから気にしないでくださいアイクさん」
「ごちです慎也さん!」
「お酒はダメですよミリユさん」
「うっしゃレイル!今度はどっちが多く食えるか勝負だ!」
「ディードさんやめてください俺の金が吹っ飛びます」
「ふ、望むところさ!」
「いや望まないでくださいレイルさん」
「今日は賑やかになりそうですね」
「いつもよりもね、エリシアさん」
「俺も一緒にいいか?仕事しっぱなしで腹減っちまった」
「全然いいですよハーツさん」
「よーし!午後のクエストに備えていっぱい食うぞー!」
「ライルお前奢られる気満々かよ」
「私はそんなにお腹空いてないし少なめにしようかな」
(小食系の女子って可愛いと思うの俺だけかな?リア可愛い)
「わ、私もご一緒させてくださ〜い!」
「仕事お疲れ様です、エテラさん。いいですよ」
こうして慎也たち計10人は昼食を共にした。
(・・・気づけば俺の周り、結構賑やかになったな。この世界に来た時はこんなの想像出来なかったな。まあこの人たちのおかげで毎日退屈せずに過ごせてるからいいか。そう考えると、もうしばらくこの平穏を楽しみてえな)
そう思う慎也なのであった。




