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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第一世界 第五章 帰らぬ平穏
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新たな剣




あの王様ゲームから数日後。


「体の方はもう大丈夫ですか?」

「はい。もうすっかり元通りです」


慎也の体は完全に回復し、今すぐにでも魔物と戦える状態であった。


「それではあちらの利用者名簿にご自身のお名前と冒険者ランクの記載をお願いします」

「了解です」

(これでもう4回目だなここ利用したの)

「それでは私はこれで失礼します」


そう言うと職員は救護室を出て行った。慎也もベッドから出て私服に着替え、名簿に名前とランクを記載して救護室を出た。


(とりあえずはオークキングの一件で大量に手に入った金で道具の調達だな。やっとポーションが買えるぜ!ゴブリンの森でゴブリンコマンダーと対峙して以来買う余裕がなかったしな。あとは・・・奮発して新しい剣でも買おうかな?)


慎也がこの後の予定を考えていると、1階に続く階段までたどり着く。そこを下りるとレイルとハーツが待っていた。


「お、やっと来たね」

「体は大丈夫そうだな」

「はい、おかげさまで」

「それはよかった。それでは行こうか」

「え、行くってどこへ?」

「忘れたとは言わせないよ。ディード君を助けるためにこの3人で目覚め花を取りに行くと話しただろう」

「そういえばそんな話・・・って今すぐですか!?」

「言っただろう。君の怪我が治り次第出発だって」

「えぇ・・・俺これからポーションとか買いに行こうと思ったんですが」

「・・・なるほど」

「別に1日くらい遅れても問題ないんじゃないか?明日花が消滅するわけでもないんだし」

「・・それもそうだな。それでは出発は明日の早朝にしようか」

(早朝か。早起きは苦手だけど今日出発よりかはマシか)

「それじゃあ僕は買い物行ってくるんで」


そう言い慎也はギルドを後にした。









「バルグさーん。愛しの慎也が来ましたよー」

「うちの店を2、3回しか利用してない奴を俺は愛さん」

「ですよねー」


慎也は今の剣より高性能の剣を買うためにバルグの店へとやってきた。


「てかお前、変装とかしなくていいのか?」

「え、なんでですか?俺なんかやりましたっけ?」

「"四天王である肢裂のグラドスを倒した新米冒険者"ってのでかなり有名になってるぞ」

「あ、マジですか」

(まあ予想できなかったって言えば嘘になるが、まさか本当に有名になってるとは)

「それで今日は何の用だ?」

「俺の来る理由って1つしかないでしょう」

「新しい剣か」

「とりあえずこれくらいで買える1番の剣を」


そう言うと慎也はバルグの前に金貨を20枚ほど出す。


「前までは金貨1枚の剣を勝ってた奴が今は20枚か。わかった、ちょっと待ってろ」

「へーい」


バルグは店の奥へと向かって行った。


「まさか金貨1枚の剣でグラドスに勝ったとはね。君才能あるんじゃない?」

「いやあれはスキルのおかげで・・・ん?」


突然話しかけられて無意識に返そうとする慎也だったが、一旦冷静になって後ろに振り返る。するとそこにはなぜかレイルがいた。


「なんでレイルさんいるんですか」

「いやぁ今日出発じゃなくなったからやることがなくてね。それで慎也君がどこに行くのか少し気になってついてきてしまったというわけだよ!」

(目立つからついてきてほしくないんだけど)

「君はもう十分有名人だから私がいなくても目立つと思うんだが」

「なんであなたもさらっと俺の心の中読むんですか」

「おや、店主が戻ってきたよ」


レイルの言う通りバルグが1本の剣を持って店の奥から帰ってくる。


「とりあえず20枚ならこれだな」


そう言いバルグは持っていた剣を机の上に置いて慎也に見せる。その剣の鍔の中心には赤色の宝石が埋め込まれていた。


「なんですかこの宝石?」

「それは魔石だ。効果としては戦闘前にそれに魔力を込めておけば、戦闘が始まって武技が使いたいって時にわざわざ武器に魔力を込めなくても武技が使えるって感じだ」

「へぇ〜。でもそれって無限ではないんでしょ?」

「ああ、魔力満タンでもレベル3の武技を2回くらい使ったらすぐに切れる」

「逆を言えば2レベ以下の武技ならある程度使えると」

「そうなるな」

「わかりました。それじゃあこれお願いします」

「まいどー。この剣は金貨19枚だから1枚返すわ」


バルグは机の上に置かれていた金貨19枚を取って残り1枚を慎也に渡し、剣の鞘を腰につけるためのベルトと剣を鞘付きで渡す。慎也は金貨を受け取り、ベルトで腰に鞘をつけて剣を鞘に納める。


「ちなみにそこの嬢ちゃんは何か欲しい物はあるかい?」

(あ、レイルさんに気づいてはいたんだ)

「そうだねぇ・・・この店で1番の剣を見せてほしいかな」

「・・・わかった、今持ってくる」


そう言うとバルグは再び店の奥へと向かった。そして少しするとバルグはショーケースに入れられた黒色の刃をした剣を持ってきた。そしてその剣の鍔には黄色の魔石が埋め込まれていた。


「これはまた大事にされてるね」

「まあな。なんたって1番の剣なんだ、汚れが1つでもついたら価値が下がる」

「でも見た感じ他の剣と変わらないと思いますが」

「まあ見ただけじゃわからないだろうな。では嬢ちゃん、今からこの剣に魔力を込めてみてくれ」

「うむ、わかった」


ショーケースから剣を取り出し、バルグはレイルに渡す。受け取ったレイルは剣に魔力を込め始める。するとそれに反応して黄色の魔石が光り始め、剣が雷を纏った。


「おお!」

(すごいなこれ)

「その剣は魔力を込めることで埋め込まれた魔石が雷を剣内部に放出、その結果剣が雷を纏うというわけだ。そしてその状態になったら全ての攻撃に雷属性がのり、威力が上がるんだ」

「だが込めるのをやめたら雷も無くなるんじゃないか?」

「それに関しては心配無用。魔力を一定量込めたら使用者の手から離れない限りはずっと雷を纏っている」

「へぇ、それはすごいね。だが肝心なのは使われている材料だ。これは何を使っているのかね?」

「材料は黒曜石だ」

「黒曜石だと!?」

(黒曜石ってたしかかなり硬いって言われてなかったっけ?それを剣に加工したのか)

「黒曜石はドワーフにしか加工できないと聞いているが、まさか君・・」

「俺は人間とドワーフのハーフだ」

「・・なるほど。これはいい店に出会った。慎也君に感謝しないとな」

「は、はあ・・」

(なんか感謝されたわ)

「それでこの剣、値段はいくらかな?」

「まあ、白金貨5に金貨40枚だな。いけるか嬢ちゃん?」

「ちょっと待ってくれ」


そう言うとレイルは自身の財布を確認する。しかし中身を確認したレイルの顔がどんどん青ざめていき、「あ・・」という声がしたのを慎也は聞き逃さなかった。


「レイルさん、まさか・・」

「・・・金貨があと5枚足りない」

(いやそれぐらいなら足りてろよ!)

「バルグさん、5枚くらい減らせませんかね?」

「これは俺が自分の手で打った剣だ。自分の努力の結晶を上げ下げすることは出来ん」

(まじかぁ・・)

「くそぉ、目の前に私の求めていた最高の剣があるというのにぃ・・」

(・・・はぁ、仕方ないな)

「レイルさん、借り1つですよ」

「え?」


慎也は机の上に金貨を5枚置く。


「これで足りますか?」

「慎也君!君は神か何かか!」

「そんなこと言ってる場合があったらさっさと買ってください」

「ああ!」


レイルは財布から白金貨5枚と金貨35枚を出して剣を購入した。


「一生宝にするよこれは」

「その宝はぜひ戦闘で振ってくださいね。それじゃあバルグさんまた機会があれば来ますよ」

「おーう、期待しないで待ってるよ」


慎也は大事そうに剣を抱き抱えているレイルを連れて店を後にした。




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