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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第一世界 第五章 帰らぬ平穏
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リアの気持ち




・・・リア視点・・・


あの王様ゲームが終わった翌日。リアはあることを確かめるために、軽い変装をして買い物をしてるエリシアと慎也を尾行していた。


(・・うん。やっぱりなんか慎也さんが女性と一緒にいるところを見てると胸が締め付けられるな。なんなんだろうこれ)


リアは胸の苦しみの正体を探るために原因である慎也を尾行している。


(あ、2人が服屋に!)


リアは路地裏に身を隠して店の窓を通して店内の2人の様子を伺う。その間もリアの胸は締め続けられていた。


(なんでこんなにも苦しいの?昨日のあれを見てからなんか体がおかしいよ)


あれとは、王様ゲームでエテラの命令によって慎也がエテラに抱きついたことである。


(・・・慎也さんとエリシアさん、なんか楽しそう。私と一緒にいる時はあんな感じは・・・って、そもそも私と慎也さんが2人っきりになることってあんまりなかったな。今度買い物にでも誘ってみよ)


そんなこんなでリアがしばらく2人の様子を見ていると、2人が服屋から出てきて次の場所に向かったため、それに合わせてリアも2人の後をつけて行く。


(それにしても慎也さんのあの服、いつの間に買ったんだろう?)


今の慎也は前にエリシアと街をまわった時に買った服を着ているのだが、もちろんそのことをリアは知る由もない。そして2人は少し歩くと今度は雑貨屋に入っていった。


(あの店外からじゃ中の様子見れないじゃん!・・・仕方ない、私も入ろう!)


雑貨屋には窓が付いていなかったため、リアは意を決して中に入る。幸い変装はしていたため慎也とエリシアにはバレていない。


(慎也さんは・・・あ、今は1人かな)


1人で商品を見て回ってる慎也を見つけて、リアはすぐさま棚に身を隠してこっそりと様子を伺う。すると慎也は1つのポーションを手に取る。


(慎也さん何見てるんだろ)

「何これ?惚れ薬?ほんと存在したんだこの薬」

(惚れ薬!?あれを慎也さんに飲ませれば・・・って、何考えてんの私!)

「しかも色がピンクとかそういう雰囲気出してんじゃん。これ買うやつなんていんのか?」

(・・・)


慎也が独り言を喋ってると商品の入った袋を持ったエリシアが慎也の元にやってくる。


「何見てるんですか慎也さん?」

「これですよ」

「惚れ薬?・・・あ、まさか慎也さん!私に飲ませてあんなことやこんなことを!」

「するわけないでしょ!エリシアさんのこと好きでもなんでもないのに」

「いや普通に今のは傷つきますよ」

「恋愛的な意味で好きじゃないという話で、仲間とかそういうのとはまた別です」

「そうですか・・」

「それより買うもの買ったなら次行きましょ」

「それもそうですね」


そう言うとエリシアは慎也を連れて店を出て行った。一方リアは2人が去ったのを確認するとすぐさま惚れ薬が置いてあるテーブルに行く。


(・・・1個くらい使ってもバチは当たらないよね)


リアは惚れ薬を手に取って店員に渡して会計を済ませる。


(よし。あとは慎也さんとクエストに行った時にこれを混ぜた飲み物を渡せば・・)


そんなことを考えていると、なにやら店の外が騒がしくなっている。


(な、なんだろう。喧嘩かな?)


リアは気になり店の扉を少し開けて隙間から外の様子を覗いた。









・・・慎也視点・・・


(なんか変なのに絡まれたな)

「おい聞いてんのかてめえ!お前はエリシアさんのなんなんだ!」


2人は謎の大男に行手を阻まれてその場に停滞していた。


「誰なんですかあれ?エリシアさんの知り合いですか?」

「出来れば知り合いたくなかった人です」

「というと?」

「ただのストーカーですね」

「ほへぇ、ほんとにいるんですねそういうの。で、エリシアの方からは迷惑とかそういうことは言ったんですか?」

「どうやら彼、私が照れて本心とは真反対のことを言ってると勘違いしているようで、何を言っても聞かないんですよ」

「そうなんですか・・」

「おい聞いてんのかガキ!いい加減に答えないとぶっ飛ばすぞ!」


慎也が無視し続けるためそろそろ我慢の限界がきたのか大男は今にも殴りかかってきそうな様子だ。


(・・仕方ない、ここは人肌脱ぐか)


ため息をついて慎也は前に出て大男と向き合う。


「俺がエリシアのなんなのかって質問だったよな?」

「ああそうだ!てめえはエリシアの・・」

「んなもん、彼氏に決まってんだろ!」


その瞬間、その場にいた大男とエリシア、そして大男の声を聞きつけて様子を見にきた人たちが驚きのあまり凍りついたように固まった。


(・・・今のなんかまずかったか?)

「・・・・!ちょっと慎也さん何言ってるんですか!」

(あ、復活した)

「いや、ストーカーにはこういうのしか効かないと思いまして」

「それでもか、彼氏なんて・・!」

「・・嘘だろ・・エリシアに彼氏が・・」

「それにあっちはかなりのショックという名のダメージを受けてるみたいですよ」

「あー・・・・仕方ありませんね」


落胆してる大男に追い打ちをかけるようにエリシアは慎也と腕を組む。


「そ、そうですよ!私は慎也さんと付き合ってるんです!」

「なっ!?」

(あ、今大男の心に1億くらいダメージ入ったな)

「う、嘘だぁ!」

「嘘じゃないぜ。俺とエリシアはそれはもう毎日ラブラブだぜ。なあエリシア?」

「は、はい!他の方が羨ましがるくらいラブラブですよ!」

「あ・・







     あああああああああああああああ!!!!!!」


エリシアの言葉をトドメに大男は悲痛の叫びを上げながら何処かへと走り去って行った。


「・・・やりすぎましたかね?」

「そうですね。けどまあこれでしばらく大丈夫でしょう」









・・・リア視点・・・


(慎也さんとエリシアさんが、付き合ってる?)


今のを見ていたリアは心が締め潰されると錯覚するほどの痛みを感じていた。


(慎也さんが!慎也さんが!)

「はぁ、はぁ、はぁ・・」


苦しさのあまりリアはその場に座り込んで胸を抑える。


「ちょ、嬢ちゃん大丈夫かい!?」

「は、はい・・大丈夫、です」

(どこか落ち着ける場所に・・)


リアは他人に迷惑をかけまいと立ち上がって店を後にした。









日が暮れていろんな人が帰路につく頃。リアは街の中心にある噴水に数時間座り込んで生気が抜けたかのように空を眺めていた。


(・・・)


何も考えずにただただ空を眺める空虚な時間。そんなリアの頭の中ではあの光景がずっと繰り返されていた。


『んなもん、彼氏に決まってんだろ!』

『そ、そうですよ!私は慎也さんと付き合ってるんです!』

『嘘じゃないぜ。俺とエリシアはそれはもう毎日ラブラブだぜ。なあエリシア?』

『は、はい!他の方が羨ましがるくらいラブラブですよ!』


そしてこれが繰り返される度にリアの心は締め付けられていた。


「・・・」

(・・私、どうしちゃったんだろう)


自身の変化に困惑するリア。すると1人の女性がそんなリアに声をかけた。


「リアさんじゃないですか。どうしたんですかこんなところで空を眺めて」

「・・・エリシアさん」


その人は今味わっている苦しみの原因と言っても過言じゃないエリシアであった。もちろん本人にその自覚はないが。


「何かあったんですか?私でよければ聞きますが」

「・・・1つ聞いていいですか?」

「いいですよ」

「エリシアさんって慎也さんと付き合ってるんですか?」

「あーあれですか。付き合ってませんよもちろん」

「そうですか」


エリシアの否定を聞けたことで少し楽になったリア。しかし本人たちの口から付き合ってると聞いたため、まだ嘘の可能性を疑ってしまう。


「誰が広めたのかわかりませんが、かなり迷惑してますよ」

「でもあの時、慎也さんとエリシアさんが口を揃えて付き合ってるって」

「・・・やはり後をつけてたのはリアさんでしたか」

「え?」


尾行がバレていたのに驚くリアだったがエリシアはお構い無しに話し続ける。


「あれを見てたのなら説明が楽です。あれはストーカーを欺くためのその場凌ぎの嘘ですよ」

「そうでしたか」

「それじゃあ私からも質問しますね。なぜ今日私たちを尾行してたんですか?」

(・・・ここまできたら話してもいいよね)

「実は・・」


リアは今回の尾行の目的を包み隠さずエリシアに話した。


「なるほど、昨日から自分の胸がおかしいから原因を探るためと」

「はい」

「ちなみにそれは昨日が初めてですか?」

「・・・今思い返せば、昨日じゃないですね」

「いつ頃から?」

「たしか・・・あのオークキングの一件からですね」

「そうですか・・」


エリシアは少し考える仕草をした後、リアを見て笑みをこぼす。


「な、なんですか?」

「いや、リアさんもそういうお年頃でしたか」

「ど、どういうことですか?」

「リアさん、あなたは慎也さんに恋をしてますよ」


ここで初めてリアは自分の気持ちに気づくのであった。


(私が、慎也さんのことを・・)

「おそらくリアさんの言う胸の苦しみはやきもちでしょう」

「・・・そうだったんだ」

「まあできればそれは自分で気づいてほしかったんですが、このままだと何も知らずにリアさんが苦しんでいそうだったので、今回は話しました」

「教えていただきありがとうございます」

「それじゃあ私はそろそろ行きますが、リアさんはどうします?」

「・・ここで気持ちの整理をしてから帰ります」

「それじゃあ遅くないうちに帰ってくださいね」


そう言うとエリシアは宿に行くためにこの場を後にした。


(慎也さんのこと、好きだったんだ私)


自身の気持ちを自覚した瞬間、心がスッキリしたのと同時に次第にさっきまでの自分を思い返して恥ずかしくなり顔を覆ってその場にうずくまるのであった。









「頑張ってくださいねリアさん。エテラさんはかなりの強敵ですよ」




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