唐突なゲーム
・・・結構長くなったな。
これはアイクとミリユがお見舞いに来てから2日後の出来事である。仕事休みのエテラは慎也のお見舞いのために救護室に来ていた。
「そういえば慎也さんってどこから来たんですか?」
「ん!?」
突然の質問で少し動揺した慎也だったがすぐに平静を装い、適当に答えを返す。
「山奥の村ですよ。この街から南西に行ったところ にある山の」
「そうなんですか」
(まあもちろん嘘だけどね。そもそもこの南西に村どころか山があることすら知らないし)
「その村で何か流行ってたことってありますか?」
「え、どうしてそんなこと聞くんですか?」
「慎也さんが暇しないように何か動かなくてもできる遊びとかないかなぁと思いまして」
(そんなんあったらとっくにやっとるわ)
「流行ってたことですかぁ」
(こういうのは簡単にできるゲームとかそういうのを答えた方がいいのかな?でもゲームと言ってもなぁ・・あれでいいか)
「"王様ゲーム"ですね」
この返答がまさかあんなことになろうとは、この時の慎也は知るよしもなかった。
「王様ゲーム?なんですかそれ?」
(あれ、知らないんだ。もしかしてこの世界に王様ゲームとかない感じ?)
「簡単に説明しますと、くじで王様を引き当てた人は他の人に命令できるんです」
「なんでも?」
「基本的には」
「・・・慎也さん、そのゲームもう少し詳しく教えてくれませんか?」
「え、ええいいですけど」
(どうしたんだ急に?そんなにこのゲームが魅力的に思ったのかな)
「まずは適当に紙とかで参加者の数と同じ量のくじを作ります。そしてそのくじのうち1つに王という字を、そしてそれ以外のくじには数字を書きます。例えば参加者が5人だった場合は王と書かれたくじと1から4と書かれたくじを作ります」
「なるほど」
「そしてゲームが始まったら1人ずつくじを引いていって、王を引いた人は数字で命令するんです。例えば僕が3番、エテラさんが1番の書かれたくじを引いたとしましょう。それで王様の人が、「1番の人が3番の人の額にデコピン」って言ったらエテラさんは僕の額にデコピンをするんです」
「ルールはわかりましたが、そのゲームは何をしたら終わりなんですか?」
「一応僕の村では参加者全員が1回ずつ王様になったら終わりにしてました」
「そうですか」
そう言うとエテラは立ち上がり扉の方に向かって行く。
「あ、もしかして帰るんですか?」
「いえ、紙とペン、それと人を連れてきます!」
「え、それってもしかして・・」
「やりましょう!王様ゲーム!」
(マジかぁ・・)
「それでは行ってきます!」
「あ、ちょ・・!」
慎也が呼び止める暇もなくエテラは勢いよく救護室を出ていった。そして今になって慎也は数分前の自分を恨んだ。
※ここから大人数のため、発言者の頭文字が入ります。(エテラはエt、エリシアはエrでいきます)
そして10分後。救護室にはエテラに呼ばれた慎也の知り合いが集まっていた。
慎(かなり集まったな)
今この場にはライル、リア、ハーツ、エリシア、レイル、アイク、ミリユ、そしてエテラと慎也がいる。するとエリシアがさっそく話を切り出した。
エr「それで私たちを集めて何をするんですか?」
慎「あれ、エテラさんに聞いてません?」
リ「エテラさんには「ゲームをするのでお時間があれ
ば救護室に来てください」としか」
慎(ゲームをするとしか言ってねえのかよ。まあここ
まで集まったらやるしかねえか)
ラ「それで結局何をするんだ慎也?」
慎「えーっと、今からみんなで王様ゲームをします」
皆(エt以外)『王様ゲーム?』
慎(反応を見る限り、やっぱり王様ゲームはこの世界
にはない感じか)
慎「とりあえずエテラさん、ゲームの準備出来ます
か?その間にルール説明をするんで」
エt「任せてください!」
慎(そんな目をキラキラとさせて俺を見ないで。そん
なに王様ゲームやりたいの?)
慎「それじゃあ説明しますね。まずは・・」
慎也はエテラと同じ説明をみんなにした。
ア「なるほど、ルールは理解した。中々面白そうだ
ね」
リ「その命令ってなんでもいいんですか?」
慎「基本的にはいいぞ」
ミ「それじゃあ慎也さんにお酒を飲ませること
も・・」
慎「あ、犯罪になることをダメですよ」
ハ「そんなことしたらゲーム関係無しに俺が牢屋にぶ
ち込んでやる」
慎(まあハーツさんがいれば大丈夫そうだな)
エt「準備終わりましたよー」
慎「了解です。それじゃあさっそく始めますか」
こうして慎也の異世界での王様ゲームが始まった。
慎「それじゃあ1人ずつくじを引いていってくださ
い。まずはエリシアさんから」
エr「はい」
そこから慎也は手に乗せたくじを順番に引かせていき、最後の1枚を自身のくじにした。
慎「それじゃあ全員くじを開いて、王と書かれてたら
挙手してください。あ、あと自分の番号は言わな
いように」
リ「え、どうしてですか?」
慎「番号を言ったら特定の人を狙えちゃうでしょう。
このゲームは提示された命令を誰が受けるかのラ
ンダム性が醍醐味なんですから
エr「まあわからなくもないですね。それじゃあ番号は 伏せて、王様の人だけ挙手をということで」
各々自分の引いたくじを開いていく。するとアイクが手を上げる。
慎「お、アイクさんですか」
ア「命令かぁ・・・やっぱ最初は緩くいこうかな。5
番の人は自分のレベルを公開で」
慎(俺ではないな)
ア「5番の人は挙手を」
5番であったリアが挙手をする。
ラ「お、リアか」
ア「それじゃあ言ってもらえるかい?あ、レベルだけ
でいいからね」
リ「はい。えーっとたしかポケットに・・」
慎(そういえばライルとリアとは何回か戦ってるけど
レベルとかお互いに公開とかはしてないな)
リ「あった。えーっと、レベルは26ですね」
レ「あの戦争の後とはいえ高いね。それならすぐにC
ランクに行けそうだね」
ラ「俺も頑張んねえとな」
ハ「うちのギルドで冒険者が成長していると思うと俺
も嬉しくなるな」
エr「あ、そういうのあったんですねハーツさん」
ハ「酷くない?俺一応ギルドマスターだからな?」
慎「喧嘩無しですよー。それじゃあ次に移るんでくじ
を元の状態にして返してください」
各々くじを折って慎也の手に戻していく。そして全て戻ったのを確認した慎也は軽くまぜてから再びエリシアから順番に引かせていく。それからは順調ゲームが進んでいった。
慎「王様は挙手を」
ラ「俺だな」
ライル王様。
ラ「それじゃあ8番と2番がお互いにお互いの秘密を教える」
レ「あ、8番は私だね」
ミ「2番は私ですね」
レイル8番、ミリユ2番。
レ「それじゃあ私からいこう。私の秘密は・・」
ミ「・・・ええそうなんですか!?」
慎(めっちゃ驚くやん。何を言ったのレイルさん?)
ミ「それじゃあ私も・・」
レ「・・・へえ、やっぱり人は見かけによらないね」
慎(え、なになに?めっちゃ気になるんだけど!)
レ「それじゃあ次にいこうか」
慎(頼む教えてくれ〜!)
次のゲーム。
慎「王様は挙手を」
エr「あ、私ですね」
エリシア王様。
慎(マジか、どんな命令するんだろ)
エr「それじゃあ・・・4番の人は明日私の買い物に付
き合ってください」
慎(4番か。俺は・・・!?)
ラ「俺は違うな」
ア「僕も違うね」
レ「私もだな」
リ「私も」
ハ「俺も違うぞ」
ミ「私も違います」
エt「私も違いますね。てことは・・」
エr「・・・慎也さんですね?」
慎「・・そうです」
エr「それじゃあ明日よろしくお願いします」
慎「いや俺まだ体が・・」
エr「この前、夜に救護室を抜け出してレイルさんに勧
誘されていたのはどこの誰でしたっけ?」
慎「お供させていただきます」
エr「それでいいんです」
慎(明日の予定が決まったな)
慎「それじゃあくじを戻してください」
慎「王様は挙手を」
ミ「私ですね」
ミリユ王様。
ミ「それじゃあ6番の人は今夜下の食堂で私にお酒を
一杯奢ってください!」
慎(この人酒弱いくせにめっちゃ飲むやん)
ア「6番は僕だね」
アイク6番。
ミ「それじゃあアイクさん今夜よろしくお願いしま
す!」
ア「やれやれ、仕方ないな」
エt「優しいですね」
慎(さすが優男)
慎「それじゃあくじを戻してください」
この後も順調にゲームは進んでいき、王様になっていないのは残り慎也、エテラ、ハーツとなった。
慎(残り俺合わせて3人か。さっさとこのゲーム終わ
らせたいな。なんかこれ以上やると嫌な予感がす
るし)
慎「王様誰ですかー?」
ハ「お、やっと俺だな」
ハーツ王様。
慎(ハーツさんなら変な命令とかしなさそうだし心配
ないな。これであとはエテラさんと俺が王様にな れば・・)
ハ「・・・そろそろ終盤だし、いっとくか」
慎「え?」
ハ「1番と7番の人が恋人繋ぎだ!」
慎「え・・」
皆(レとエr以外)『えええええええええ!?』
ハーツの意外な命令にレイルとエリシア以外の人は驚きの声をあげる。
慎「ハーツさん!?マジで言ってるんですか!?」
ハ「いや〜ギルドマスターの仕事をしてると精神がゴ
リゴリ削れていくからな、適度にふざけないと生
きてけねえんだよ」
慎(なんじゃそりゃ!)
ハ「それで1番と7番は誰なんだ?」
エt「私じゃありません」
ラ「俺も違う」
ア「僕もだね」
リ「私も違います」
ミ「私も違いまーす」
慎(あれ、このパターンってまさか俺が!?・・・あ
れ?俺も2番だから違うな。てことは・・)
エr「・・まさかよりにもよってあなたが相手とは」
レ「それはこっちのセリフだ」
エリシア1番、レイル7番。
ハ「まさかの組み合わせだな。まあいい、それじゃあ
2人ともやってくれ」
エr「わかりましたよ」
レ「仕方ないな」
2人は渋々といった感じで恋人繋ぎをする。
エr「これはいつまでやってればいいんですか?」
ハ「まあ次のターンの命令が終わるまでだな」
レ「ハーツ君今度何か奢ってくれよ」
ハ「え、普通にいや」
慎「それじゃあさっさと次いきましょうか」
慎也はくじを集めて軽くまぜ、再度皆に引かせる。
慎「それじゃあ王様の人はきょ・・」
エt「私です!」
エテラ王様。
慎「エテラさんですか」
慎(これであとは俺だけか。さっさと引いて終わら
せ・・・なんか嫌な予感するな)
その予感が的中したのか、エテラはとんでもない命令した。
エt「それじゃあ・・・8番の人は私に抱きついてくだ
さい!」
その瞬間だけその場はエテラ以外の人が凍りついたように固まった。
慎(・・・この人今なんて言った?)
慎「すみませんもう1回お願いします」
エt「え?だから8番の人は私に抱きついてください」
慎「・・・すぅー」
慎(とりあえずみんなの番号を確認するか。話はそれ
からだ)
慎「えーっと8番の人は挙手を・・」
しかし誰1人手を上げない。この状況を見て慎也は嫌な予感がして自分のくじを見た。
慎「・・・うそ、だろ」
エt「あ、やっぱり慎也だったんですね!」
慎(やっぱりってなに?もしかして狙ってたの?女の
勘って怖いな)
エt「それじゃあ慎也さん!」
そう言うとエテラは両手をバッと横に広げる。
エt「来てください!心の準備は出来てます!」
慎「・・・」
慎(いや無理だろ。なんでみんなの前で抱きつかない
といけないんだよ)
ラ「し、慎也頑張れ〜」
慎(ライル応援してる暇があったら助けてくれ)
リ「・・いいなぁ」
慎(リアよ、羨ましがるほどなら代わってやろうか?
いや代わってくださいお願いします)
レ「慎也君」
慎「レイルさん・・」
慎(助けてくれるのか!?真の救世主はレイルさんだ
ったか)
レ「・・・腹を括りたまえ」
慎(前言撤回。俺の周りは全員救世主ではない)
レ「慎也さんどうしたんですか!さあ早く!」
慎「・・・わかりましたよ」
慎(俺も男だ。レイルさんの言う通り腹括ってやる
よ!)
慎也は恥ずかしがりながらもエテラとの距離を詰めていき、そして手をエテラの背中に回す。するとエテラも両手を慎也の背中に回して抱き返す。
慎(恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしいリア
の視線が痛い恥ずかしい恥ずか・・・なんか今1
つだけ変なのあったな)
エt「ああ良いです!どんどん満たされていきます!」
慎(何が良くて何が満たされるのか教えてほしいな。
いややっぱいいや)
ミ「ここまで大胆なのは初めて見ました」
ア「僕も初めてだよ」
レ「私もだな。よく路地裏でカップルがキスをすると
かは聞くが」
慎(・・・もういいよね?さすがにやりすぎだろ)
慎「あのーエテラさん。そろそろ・・」
エt「えー!まだ全然満足できてないですよ!」
慎「いや俺が恥ずかしすぎて死ぬのでお願いします」
エt「・・もう仕方ないですね」
エテラは渋々慎也から手を離して慎也を解放する。その瞬間に慎也は恥ずかしさのあまりベッドにすぐさま戻る。
ハ「・・・さすがにもうやめとくか?慎也も限界だ
ろ?」
慎「いや僕まだ王様になってないんで普通にやります
よ」
ラ「あんまり無理すんなよ?」
慎「ああ・・」
エt「・・なんか私悪者になってませんか!?」
慎「それじゃあ次いきましょうか」
エテラを無視して慎也はくじを集めて再度皆に引かせる。
慎「・・・やっときたああああ!!!」
エr「その反応的に慎也さんですか」
リ「それじゃあ最後の命令お願いします!」
慎(・・・最後の命令なんてこれに決まってるだろ!)
慎「1から8番の人全員帰ってください!!!!」




