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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第一世界 第五章 帰らぬ平穏
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急な話




「お、やっと起きたね」

(・・・なんでレイルさんがいるんだ?)


朝目覚めるとなぜかベッドの横の椅子にレイルが座っていたため困惑する慎也。


「何の用ですか?こんな早朝から」

「昨夜言ったばかりだろう。また明日会おうって」

「話の続きですか?それなら昨日も言いましたけど、僕はあなたと・・」

「いや、今日はまた別の話だ」

「別の?」

(他になんかあんのかよ)

「話をしたいのだが、その前に・・」

「慎也さん、朝食をお待ちしました」


朝食をトレイに乗せてギルド職員が救護室に入ってくる。それを慎也に渡すと職員はそそくさと救護室を出て行った。


「朝食をとりたまえ。話はその後にしよう」

「言われなくても食べますよ。はむ・・」

(やっぱり美味しいな。毎日食べてもいいくらいだな)

「ちなみにその朝食は私が作ったのだよ」

「え?マジですか?」

「冗談だ」

「蹴り飛ばしますよ」

「いや〜すまない。1日1回は誰かをからかわないと私の気が済まなくてな」

「なんですかそれ」


レイルと軽い談笑をしながら慎也は朝食を食べ終えて、さっそく話を切り出す。


「それで、話って何なんですか?」

「ああ、実はな。君の怪我が治り次第、私とハーツ君と君とである場所に向かう予定なんだ」

「え、何で俺も?」

「君の実力が今どのくらいなのかを見たくてね」

「えぇ・・・ちなみにどこに行くんですか?」

「この街の正門を出て南東にある山に行くよ」

「そこに何か用が?」

「ああ。その山を巣にしている竜がいてな、その竜が守っているある植物が必要なんだ」

「植物ですか。どんな植物なんですか?」

「名前は"覚輪花"。通称目覚め花とも呼ばれている花だ」

「名前からして凄そうな花ですね」

「その花から取れる花粉で作った薬がほしいんだ」

「へぇ、その薬は誰に使うんですか?」

「ディード君だ」

「ディードさんにですか・・・ってディードさんに!?」


まさかの相手に驚きの声を上げる慎也。


「でもあの人死んだんじゃ・・」

「いや死んではいないよ。むしろ今はピンピンしている」

「え、じゃあ薬とか使う必要ないんじゃ・・」

「話は最後まで聞きたまえ君。たしかに体に異常はないんだが・・」









「え?ここ数日1度も目覚めてない?」

「ああ。外傷は無し。中の方も損傷は無いんだ」

「それじゃあ原因はわからないってことですか?」

「いや、原因はわかってる。というか口で説明するよりも実際に見せた方が早いな。少し移動しよう」

「え、あ、はい」


慎也はベッドを降りてレイルと共に救護室を出る。


「どこに行くんですか?」

「着いてからのお楽しみだ」

「へーい」


それから少し歩いていくと、レイルがある部屋の前で止まりそれに合わせて慎也も止まり部屋の扉を見る。そこには"特別救護室"と書かれていた。


「入るよ」


そう言うとレイルは扉を開けて中に入っていく。それに慎也もついていく。中には慎也のいた救護室と同じようにベッドや机がたくさんあり、そのうちの1番扉に近いベッドの横に1人の男が座っていた。2人が入ってくるとその男は2人の方に振り返る。


「ハーツ君おはよう!」

「なんだレイルか。入る時はノックくらいしろ」

「いや〜ごめんごめん。ついつい忘れちゃうんだよな」

「あ、ハーツさんおはようございます」

「慎也も一緒か」

「それで、ディード君の容態はどうだい?」

「内も外もとくに問題無し。やはり起きないのは魔力の流れが問題だろう」

「やっぱりかー」

「え?魔力の流れ?何言ってるんですか?」

「安心したまえ、ちゃんと1から説明するよ・・・ハーツ君が」

「俺がかい!たく仕方ねえな」


ここからハーツによる解説が始まった。


「まず体の中を魔力が流れている、それは知ってるだろ?」

「はい。現にその魔力で魔法を使ってるわけですから」

「その魔力の流れってのは、体で言う血管と同じなんだ」

「それって結構大事じゃありません?」

「ああ。ただ魔力が全部無くなったら死ぬというわけではない。だが体に異常をきたすのには変わりないな」

「あ、補足しておくと、魔力は血と違って傷口から出ることはないよ」

「なんでですか?」

「魔力の流れ、通称魔力管は血管の内側にあるからだよ。だから魔力は魔法か自分の意志で出すしか体から出すことは出来ないんだ」

「へぇ〜」

「問題はここからだ。その魔力管は血管と同じなんだが、もし血管に何か異変があった場合、それは体にも影響を及ぼすんだ。魔力管も同様、もし魔力管に異変が起きた場合は体にも影響を及ぼす」

「でもその魔力管に影響を及ぼすことなんてなか・・・あ!もしかしてあれが!?」

「お前の思ってる通り、グラドスが放ったあの一撃が原因だろうな。あの量の魔力はエリシアとレイルぐらいしか絶対に受けきれない」

「それでまあディード君はそのグラドスの攻撃で生き延びれたはいいものの、その時に流れ込んできた魔力がディード君の魔力管になんらかの悪影響を及ぼす。その結果、ディード君の体にも異変が起こり、今に至るわけだ」

「そんなのを・・・えーっと目覚め花?の薬で治せるんですか?」

「ああ治せるさ。目覚め花の花粉は全てを癒す効果がある。どんな傷や病気もその薬を飲めば一瞬で治る、いわば最強の薬だ!」

「チートですかその薬?・・・あれ、でもそんな薬なら量産とかされてないんですか?」

「さっき言っただろう?その目覚め花は竜に守られているのだよ。そんじょそこらの兵士や冒険者が勝てる相手じゃないよ」

「なるほど、だからハーツさんとレイルさんで行くわけですか」

「何言ってるんだ。君も行くんだぞ」

「あ、さっきの冗談じゃなかったんですね」

「おいちょっと待て!慎也も連れて行くのか!?」

(ハーツさんに言ってないのかよこの人!)

「あれ、言ってなかったっけ?」

「言われてねえよ!」

「あっはっはっは!いやぁすまないすまない!」

「大事なことは先に言えよ!」

「それじゃあ2人とも!私はまだ片付けてない依頼とかがあるからこれで失礼するよ!また後日会おう!」


そう言うとレイルは部屋を出て行った。それを見た2人は深いため息をつくのであった。




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