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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第一世界 第五章 帰らぬ平穏
74/211

真面目な感じで終わるわけがないだろ




レイルの自己紹介が終わった後、呆然とする慎也。「少し話がしたいから場所を変えよう」というレイルの提案に渋々了承した慎也はレイルに誰もいない暗い部屋へと連れて行かれた。


「さて、まずは君に2つ礼を言おう」

「礼?」

「ああ。まずはエリシアを助けてくれてありがとう」


そう言うとレイルは深々と頭を下げる。


「い、いや僕はエリシアさんを助ける前に気を失ったので助けたのは僕では・・」

「いや、あの状況だとグラドスを倒さなければエリシアは永遠にあの箱に閉じ込められたままだった。そしてあの場でグラドスを倒したのは君だ。つまり君が助けたのも同然だよ」

「そ、そうですか・・」

「それともう1つの方なんだが、グラドスを倒してくれてありがとう」


一度頭を上げたレイルは再び頭を下げて慎也に礼を言う。


「それってさっきと同じじゃ・・」

「いや、これはまた別のものさ。そもそも今回、私が自分にきてた依頼より戦争を優先していたらあんなことにはならなかった」

「あんなことって?」

「君も魔道具を通して見ていたのだから知っているだろう。多くの冒険者たちが腕や脚を失ったことを」

「っ!あれですか。ですがあれはエリシアさんなら治せるんじゃ・・」

「エリシアにもできないことの1つや2つある。魔法は万能ではない。切断された腕や脚を元に戻すことはできないんだよ」

「そんな・・」

「・・ハーツ君とディード君以外の冒険者たちは四肢を何かしら失っていると思ってくれ」

「そう、ですか」

「だが君が気に病むことはない。むしろ君がグラドスを倒したからこそ、今の状態に落ち着いているんだ。もしあの場で奴を倒せてなかったら、その者たちは四肢だけでなく命も失っていただろう」

「・・・」

「・・私からの礼は以上だ。さて、ここからが本題だ」


そう言うと今までの神妙な面持ちとは変わり、笑みを浮かべるレイル。


「本題?」

「ああ。君に1つ聞きたいことがあってね」

「答えられることなら」

「それじゃあ・・・私とパーティーを組む気はないかい?」


「・・・」

(いつもならエリシアの時みたいにすぐ断るんだが・・)

「理由を聞いていいですか?あなたが僕と組みたいと思う理由を」

「いいよ、応えよう。今回の戦いで君自身、自分の実力不足を感じたんじゃないかな?」

「まあそうですね」

「たしかに手負いとはいえ四天王を倒したのは賞賛に値する。だがあの時君にもっと実力があれば失わずに済んだものもある、そうは思わないかい?」

(・・・イムのことか)

「そこで!同じSランクのチャントスキル保持者の先輩である私が、直々に指導してやろう思ったのだよ」

「なるほど、そういうわけですか」

「で、理由は話したけど、君はどうするんだい?」

「・・・」

「ここまで聞いといて1日考えさせてくださいとかは無しだよ」

「ここで答えを出せと」

(たしかにこの人と一緒にいたら目立ったりして面倒だが、その分こちらにはメリットがあるし、断る理由は・・)


少し考えた後慎也は答えを決めてレイルと目線を合わせる。


「決まったようだね」

「はい。僕はあなたと・・」









「ちょっと待ってくださーい!」


慎也が答えを言おうとした瞬間、2人のいる部屋の扉が勢いよく開き、エリシアが入ってくる。


「エリシアさん!?」

「エリシアか。よくここがわかったね」

「あなたの魔力を感じ取れば1発ですよ。それより!」


エリシアは渡さんとばかりに慎也を自分の方に抱き寄せる。


「慎也さんは渡しません!慎也さんは私とパーティーを組んで立派な魔法使いになってもらうんですから!」

(ちょ、エリシアさん、いい香りがする・・・じゃなくて!顔が胸に埋まって息が・・)

「それは分かったけど、まさかあのエリシアがそんな大胆なことをするなんてねぇ」

「え?大胆って・・・っ〜!」


自分のやってることを理解したのかエリシアは慎也を突き飛ばして顔を赤くする。


「いっつ」

「あ、すみません!つい・・」

「よかったな慎也君」

「何もよくないですよ。俺痛い思いしただけ・・」

「考えてみたまえ慎也君。君は今エリシアのような高嶺の花である女性の胸部の感触を味わえたのだよ?その代償と考えれば今の痛みは安いとは思わないか?」

「たしかにそう考えれば・・」

「え!?」

「それに私もエリシアの照れ顔が見れてよかったし」

「消し飛ばしますよ?」

「私だけ酷くないか!?」

(・・なんだこの人たち)


この状況に少々呆れを感じている慎也。すると廊下から話し声が聞こえ、それは徐々に慎也たちのいる部屋に近づいてきていた。


「ほんとに聞こえたんだってば!」

「え〜?ほんとに?」

「ほんとだってば!」

(ん?この声って・・)

「この部屋ですよね。慎也さんの声がしたのって」


そう言うと声の主は3人のいる部屋の扉を開けて中に入ってくる。声の主は慎也の予想通りエテラとリア、そしてライルであった。


「あ!やっと見つけましたよ!」

「もう逃しませんからね!」


そう言うとエテラは慎也の右腕にしがみつき逃げられないように慎也を捕まえる。


(えぇ・・)

「おや、君たちは慎也君のお友達かな?」

「はい・・・ってあんたは!」

「剣姫様がなぜここに!?」

「いやまあ彼に少し話があってね。ここで話してたんだよ」

「そうなんですか」

「エテラさんだけずるいですよ!」


そう言うとリアも慎也の左腕にしがみつく。


「なんだこの状況は・・」

「これはゆっくり話すこともできそうにないな」

「ですね。とりあえず慎也さんは救護室に戻って寝ていてください。また明日来ますので」

(えーまた明日来るのー?)

「それでは私たちはこれで。ほら行きますよレイルさん」

「そうだね。それじゃあまた明日会おう慎也君」


エリシアとレイルは慎也にそう言うと部屋を出て行った。


「それじゃあ慎也さん」

「行きましょうか?」

(ふぇぇ怖いよぉ〜!)

「ライル助け・・」

「今回は慎也が悪い。自業自得だ」

(ですよねー)


その後慎也は右腕にエテラ、左腕にリアという両手に花(本人はそうは思ってない)状態で救護室に戻ったのであった。




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