番外編 ゴブリン処理中のハプニング
見る際の補足。
この時の慎也は魔力の込め方は知っているが武技は使えないので、まだ3章が終わった直後と状態はあんまり変わりません。
慎也とミリユ、そしてその他数名(男3人、女1人)はいつもと同じようにゴブリン処理のためにゴブリンの森の中を歩いていた。
「そういえばミリユさん」
「どうかしましたか?」
「一昨日のあれって結局どうなったんですか?」
「一昨日の・・・ああ慎也さんがお酒を飲んだってやつですか」
「あれって俺は理由とか聞かれて終わったんですが、ミリユさんはどうだったんですか?」
「私も特になかったですよ」
「へえ、決まりとかなんとか言ってたからてっきり罰金とかあると思ったんですが・・」
「なんかギルドマスター曰く、"慎也のことを思ってやったことなら今回は身を瞑ってやる"だそうです」
「ふーん。まあ特になったならよかったです」
2人がそんなたわいのない話をしてると、2人の前を歩いていたある1人の冒険者がみんなに止まるように指示する。
(言われるがまま止まったが、なんかあったのか?)
「どうかしましたか?」
「今俺の探索魔法に反応があった。かなりの数のゴブリンがこっちに来てやがる」
「え!?」
「おいそれ本当か!?」
「ああ。しかもどうやらすでに囲まれてる」
「でも俺らが毎日ゴブリンを処理してるだろ?だから数はそんなにいないはずじゃ・・」
「ここ数日のことを思い出せ。誰か1人でもゴブリンを見たか?」
「たしかに言われてみれば、見つかったとしても1体や2体くらいでしたね」
「おそらく今日のために森にいる奴らを誰かが掻き集めていたんだろう」
「何のために?」
「それは俺にも・・・おっと、お喋りタイムは終わりだ」
「っ!?こんなに!?」
(おっとエグいなこれ)
周りの茂みから次々とゴブリンたちが出てき、その数は見えているだけでも30は超えていた。まるで先日慎也とエテラがゴブリンに襲われた時のように。
(わーおこの状況まるであの時やん)
「この数、あのゴブリンが群れ同士で協力し合うとは思えねえし、誰かが操ってるとしか思えねえ」
「ゴブリンで操ると言ったらゴブリンコマンダーじゃね?リーダー!この辺りにゴブリンコマンダーがいるか確かめられるか?」
「やってみます。ですがゴブリンの数が多いので時間はかかると思いますが・・」
「そんくらい俺らが稼いでやるぜ!なあお前ら!」
「「「おう(はい)!」」」
(俺も一応頑張るかー。えいえいおー)
「おい小僧!そっちに行ったぞ!」
「え、マジ?」
向かってきたゴブリンの攻撃を躱すのと同時に、鞘から剣を抜きながらゴブリンの頭を斬り飛ばす。
(ふ、ゴブリンごときに苦戦したあの頃の俺はもういない)
「なかなかやんじゃねえか!」
「ほら小僧!次来たぞ!」
「できれば先輩方を狙ってほしいんだが・・」
次々と向かってくるゴブリンたちを慎也は、この世界に来たばかりの頃とは比べ物にならないほどの身のこなしで倒して行き、慎也も自身の成長を感じていた。
「俺たちも負けてらんねえぞ!」
「あのガキだけに戦わせるわけにはいかねえな!」
「私たちもやろう!」
そう言い、他の者たちもゴブリンたちを迎え撃とうと自身の武器に魔力を込め始める。
「『岩壊斬』!」
男は強化されて剣を振って目の前のゴブリンの胴体に当て、後ろのゴブリンたち向けてぶっ飛ばす。すると飛んできたゴブリンに当たった衝撃で他のゴブリンたちもぶっ飛ばされて宙を舞う。
「すぅー・・・『速連斬』」
短剣を持った男も、スキルを使って足と剣を強化し、向かってきた複数のゴブリンたちを一瞬で仕留める。
「『極弾発撃』」
棍を持った男がスキルを使うと、棍の左右の先端に魔法陣が現れる。その状態で男が棍を振ると、その魔法陣から1つずつ光の球がゴブリンたちに放たれ、その球がゴブリンに触れた瞬間爆発を起こし、周りにいたゴブリン共々爆発に巻き込まれる。
「『ライトニングドロップ』!」
杖を持った女がそう唱えると、ゴブリンたちの頭上に突如何もないところから雲が現れ、そこから雷が落ちる。それに当たったゴブリンたちは次々と倒れていく。
(うわぁ、みんなつっよ!ゴブリンたちを一撃であんなにやるとか、さすがは先輩だ。俺もあれくらいやれるようにならないとな)
「グギャギャ!」
(おっとっと)
慎也は向かってきたゴブリンの攻撃を躱して後ろを取って頭を斬り飛ばす。
「ゴブリン程度なら本気出さなくても楽勝だな」
「皆さん!リーダーと思われるゴブリンを見つけました!」
「お!結構速かったな!」
「それでどこにいるの?」
「あの奥にいます!」
(あの奥・・・あれは!)
ミリユが指した方向にいるゴブリンの群れの隙間から青い体のゴブリンがいた。
「やっぱりゴブリンコマンダーか!この状況作ったの!」
「これくらいの距離なら一気に詰めれる!『速連・・」
(ん?なんか地面に影がたくさん・・・っ!?まずい!)
「皆さん!魔法が降ってきます!」
「何言って・・・ってマジか!?」
慎也の言葉で皆は上を向くとすぐさまその場から離れる。するとそれぞれいた場所に火の球が雨のように降ってくる。
「魔法ってことはあいつらもいんのか!」
「ですが通常のゴブリンの数が多すぎてゴブリンマジックの姿が見えませんね」
(・・・仕方ない、ここは少し乱暴にいくか)
「『スプレッドフレイム』!」
慎也は炎を放ち、前方にいるゴブリンたちを燃やし尽くす。
「いいぞ小僧!そのままそれを続けてろ!」
「私たちもいきましょうか。『ドラゴンフレイム』!」
「『ライトニングドロップ』!」
「『極弾発撃』」
各々広範囲のスキルを放ち、一度に多くのゴブリンを仕留めていく。
「!ゴブリンマジックを見つけました!」
「俺に任せろ!『速連斬』!」
ゴブリンマジックを炙り出せた直後に短剣を持った男が、魔法を使わせる暇を与えないほどのスピードでゴブリンマジックを仕留めていく。
「グギャア!」
(お、こっちにもゴブリンマジックが・・・ってやば!)
「『ウィングウォール』!」
出てきたゴブリンマジックが炎を放ってきたので慎也は咄嗟に風の壁を貼ってガードする。
「小僧!その壁消すなよ!」
「え?」
その声と共に剣を持った男が慎也を飛び越えてゴブリンマジックに飛びかかる。
「『岩壊斬』!」
強化された剣を縦に振り、ゴブリンマジックの体が真っ二つに切断され、剣が地面に当たった衝撃で吹いた強烈な風で周りのゴブリンたちが吹き飛ばされる。
「ナイスだ小僧。今のでゴブリンマジックと通常の奴を何体かやれたぜ」
「あ、ありがとうございます」
(なんかいいとこ取りされたな)
「おらおら突っ立ってる暇なんてねえぞ!」
「はいはーい」
2人は休みなく襲ってくるゴブリンを片付けながらゴブリンコマンダーの様子を伺う。
(見たところ全く隙がないように見えんな。さて、どうしたもんかな・・)
「ぐああああ!!」
「「!?」」
2人が声がした方向を見ると、そこには棍を持った男と、その男を斬った大剣を持った大柄のゴブリンがいた。
「あれは!?」
「ここでゴブリンウォーリアーの登場かよ!悪いが小僧、ここは任せたぞ!」
「わかりました!」
(あっちは先輩たちに任せて、俺はゴブリンコマンダーをやるか!)
そう思い、慎也は再びゴブリンたちを迎え撃つ。するとふと慎也は自身を見ていたゴブリンコマンダーと目が合うと、ゴブリンコマンダーはその瞬間不敵な笑みを浮かべた。
(あいつ俺を見て笑って・・・・まさか、あいつあの時のゴブリンコマンダーか!)
あの時というのは、慎也がまだこの世界に来たばかりの頃、慎也とエテラがゴブリンに襲われた時のことである。その時にゴブリンたちを操っていたゴブリンコマンダーを、今自分達を襲っているゴブリンコマンダーと同じだと慎也は考えたのである。
(・・・待てよ。もしあいつがあの時の奴と同じなら、こんな奴らだけで俺を殺せないとはわかってるはずだ。となるとあの時より操るゴブリンを強くするはず。そうなると・・・やばいな、隙とか見つけてる暇なんてねえ!さっさと仕留めねえと!)
慎也は襲ってきたゴブリンを片付けると、ゴブリンコマンダーの方へと走り出す。それを見たゴブリンコマンダーも使役するゴブリンたちに慎也を迎え撃たせる。
「邪魔だ!」
向かってくるゴブリンたちを次々と剣で斬り捨てていき、とうとうゴブリンコマンダーの目の前にたどり着く。しかしそれでもゴブリンコマンダーは笑みを絶やさなかった。
「これで終わりだ」
慎也は足に魔力を込めてゴブリンコマンダーとの距離を一気に詰めて、すぐさまゴブリンコマンダーの頭を斬り飛ばす。
「ふぅ、これでゴブリンたちも逃げ・・」
「グギャア!」
「!?」
ゴブリンコマンダーを死んだにも関わらず襲ってくるゴブリンたちに驚きながらも冷静に対処して仕留めていく。
(こいつらこの状況でも勝てると思ってんのか!?だがゴブリンウォーリアーは先輩たちが・・・っ!?)
慎也がみんながいる方を見ると、ミリユ以外の人が倒れ、そのミリユも地面に膝をついて杖で体を支えていた。そしてその目は、目の前の複数のゴブリンウォーリアーと杖を持った大柄のゴブリンを見ていた。
(マジかよ!なんでゴブリンウォーリアーとかがあんなにいるんだよ!・・・ってまずはミリユさんに加勢しないと!)
「ミリユさん、今行きます!」
ミリユを助けようと慎也は駆け出すが、それをゴブリンたちが阻む。
「邪魔だてめえら!」
「グギャア!」
「くっそキリがねえ!」
まるで無限にいるかのようにゴブリンたちは次々と慎也に襲いかかる。そして1体のゴブリンウォーリアーがミリユにトドメを刺そうと剣を振り被った。
(やばいやばいやばい!このままだとミリユさんが!)
「やめろー!」
しかし慎也の叫び虚しく、ゴブリンウォーリアーは剣を振り下ろした。
「いや〜これは間に合ったって言っていいのかな」
その声と共に剣を振り下ろしたゴブリンウォーリアーの頭を槍が貫通し、ゴブリンウォーリアーは横に倒れた。
(あれは・・)
「やあ慎也君!君は無事そうだね、よかった!」
「アイクさん!」
「僕だけじゃないよ!」
アイクがそう言うとアイクの後ろや慎也の周りから続々と同じグループの冒険者たちが集まってくる。
(みんなミリユさんの魔法を見て来てくれたのか。よし、俺ももうひと頑張りしますか!)
その後、慎也は助けに駆けつけたアイクや他の人たちと協力し、襲ってきたゴブリンたちを討伐して街へと帰還するのであった。




