第7話 武具屋
外も暗くなってきたということで、慎也は宿を見つけてこの日は過ごすことにした。
受「ご飯とお風呂付きで銀貨1枚、銅貨8枚になりま
す」
慎「わかりました」
慎也は受付に言われた通りのお金を袋からカウンターに出して受付に差し出す。それを受け取った受付はカウンターの下から鍵を出して慎也に渡した。
受「あなたの部屋は二階の奥にある、204号室にな
ります。こちらはその部屋の鍵になります」
慎「ありがとうございます」
そう言い慎也は、受付の横にある階段を登り、借りた部屋に向かう。慎也は今、この国で安いと人気があるという宿に来ている。そして慎也は自分の部屋に着き、扉を開けて、内装を見た。
慎(案外普通なんだな)
部屋の広さは、人1人が使うには申し分ない広さで、その中に机と椅子、そしてベットとタンスが1つずつ
置いてあった。慎也は机の上に袋を置き、ベットに腰を掛ける。
慎(明日からは本格的に冒険者の活動開始だな。とり
あえず明日はギルドに行く前に武具屋に寄って、
武器や防具を最低限揃えるか。あーでも、RPG
定番のポーションとかも買わないといけないし)
そんなこんなで、明日の予定を考えていると扉がノックされる。
従「お風呂道具をお渡しに来ました」
慎「はーい」
慎也は扉を開け、従業員から木で出来たボウルと、その中にあるタオルと石鹸、シャンプーを受け取る。
慎「そういえばお風呂ってどこにあるんですか?」
従「お風呂でしたら、階段を降りて受付を通り過ぎた
先にあります。男性は右の扉、女性は左の扉にな
っていますのでご注意ください」
そして宿の人はその場を去った。
慎(せっかくだし行ってみるか)
そうして慎也は風呂へ向かった。
慎(いやぁ、気持ち良かった)
風呂に入り終わり、椅子に座っている慎也は今自分が着ている服を見た。
慎(それにしても服どうしようかな。俺的には毎日こ
の服でも気にしないんだけど、周りの目を気にす
るとだな・・)
その時、再びドアがノックされた。
従「ご飯をお渡しに来ました」
慎「今開けます」
慎也は扉を開け、トレーを受け取る。
従「食べ終わりましたら、扉の前にトレーなどを置い
ておいていただければ、我々の誰かが回収します
ので」
慎「わかりました」
慎(服は適当に買えばいいか。とりま飯)
慎也は扉を閉め机の上の袋をどけて、貰った食事を置く。そして慎也は食事に手をつける。
慎(まずはこの赤いスープ?いやなんか具が入ってる
しシチューか?・・・気にしてもしょうがないし
食うか)
そして慎也はスプーンでスープをすくい、口にふくむ。
慎(なにこれうま!?前の世界では味わったことのな
い不思議な味だな。これは他のやつも楽しみだ)
慎也は次々と食べ物をを食べていく。そのどれもがおいしく、慎也はいつの間にか完食していた。
慎(いやぁうまかった!さて、たしか扉の前に置いと
けば回収してくれるんだよな)
慎也は扉の前にトレーを置き、扉を閉めてベットに
寝っ転がった。
慎(明日からはいろいろと準備とかしないとだし寝る
か)
そう思い、慎也は眠りについた。
慎(次は武具屋だな)
翌日、起きた慎也は出発の準備をして宿を出て、雑貨屋でポーションやメリエヌスから貰った袋より一回り大きいリュックを買い、そのリュックの中に荷物を全部入れて朝食のおにぎりを片手に武具屋へ向かっていた。
慎(やっぱこの世界ってまんまRPGだな。なんか小
説の世界を冒険してるみたいでワクワクする。ま
あそれはさておき、なんの武器を買おうかな?や
っぱり定番の剣かなあ。あ、でもちょっと考え方
を変えて槍にするっていうのもいいかも)
そんなこんなで慎也は武具屋につき、扉を開けた。お店の内装は壁際にタルが5個置いてあり、その中には剣や槍、杖が入っていて、反対側には木製の箱がありその中には短剣と弓が入っていた。そして壁には明らかに高そうな剣などが飾らせている中、慎也より少し大きい斧があった。
店「いらっしゃい」
慎「この斧って売れるんですか?」
店「おい!店長への第一声が商品が売れるかどうかっ
て聞いてきたのお前が初めてだぞ!」
慎「じゃあ僕のような客もいると知れてよかったです
ね」
店「はぁ・・それで?あんたここ初めてだろ?何かご
希望の武器とかあんのか?」
慎「希望というよりなんの武器を使うのかで迷ってま
す・・・そうだ、俺のステータスを見せるのでそ
ちらでなにがおすすめなのか教えてください」
店「なんだ新米か。しょうがねえな」
慎也は店長に冒険者カードを渡す。
店「筋力36か、レベル1にしてはそこそこある・・
ん?なんでスキルのところに何も書いてねえんだ
よ?」
慎「いやなんかね、ステータス調べた時にスキルがわ
かんなかったんですよ。それで仕方なくそうなっ たんです」
店「うーん・・・スキルがわからないと選びずれー
な」
慎「わかる情報だけでなんとかなりませんか?」
店「そうなると剣だな」
慎「なんで剣なんですか?」
店「ちゃんと説明してやる。まず槍だが、槍は剣より
相手と距離をとって戦えるが欠点がある。それは
刃の長さだ。槍は基本、先端にしか刃が付いてい
ないから斬れる範囲が短い。オーダーメイドで刃
を長くする奴もいるが、その分金もかかるからお
すすめはしない。そもそも素人が使えるような武
器じゃないしな」
慎「なるほど・・ということは短剣もだめですか?」
店「ああそうだ。たしかに短剣の刃の長さは槍よりも
長い、だがそもそも短剣自体が小さいから相手に
接近しないと当たらないし、相手が武器を持って
いれば逆に返り討ちに遭う危険性があるからな」
慎「弓と杖は?」
店「弓は論外だ。弓は剣と違って遠距離からの攻撃が
可能だが、当たらなければ意味がない。それに矢
は有限だからな、矢がなくなるとそいつは丸腰の
状態になる。だから弓を使いたきゃ、練習するん
だな。それで杖に関してだが・・・そもそもお前
魔法使えんのか?」
慎「いいえ一つも」
店「じゃあ言わなくても理由はわかるだろ?」
慎「わかりました。じゃああのタルの中から好きなの
を持って来ますね」
店「おう」
慎也はタルの方へ行き、一つ一つ丁寧に見ていった末、持ち手の黄色い剣を選び店長の元へ戻った。
慎(剣って意外と軽いんだな。アニメとかだと主人公
とかが重そうにしてるシーンあったし、てっきり
めちゃくちゃ重いって思ってたけど・・・そこら
辺は神たちがなんかやってくれたんかな)
店「それでいいのか」
慎「直感で選んだんで」
店「その割には丁寧に見てたけどな・・・まぁいい わ、代金は金貨1枚と銀貨12枚だ」
慎「意外と高いんですね」
そう言いながら慎也は言われた通りの金額を渡す。
店「まぁここにある武器は全て"ドワーフ族"と人間族
のハーフである俺が打ったんだ、性能はバッチリ
だから金額に関しては文句を言わせねぇ」
慎「あなたって半分ドワーフだったんですね」
慎(ということはエルフとかもいるのかな。せっかく
異世界に来たんだから1回は拝みたいもんだ)
店「ああそうだ。だが人間族の血が入っているせいか
身体が小人じゃなくて人間だからな、わからなく
ても仕方ねぇ」
慎「なるほど、それでときどき客と言い合いになると」
店「ああ、昨日も客と金額のことで喧嘩になったし
な・・そうだ、お前またうちに来る予定はある
か?」
慎「ええたぶん。俺ってまだ冒険者になりたてだから
うっかり剣を折ったりするかもしれませんし」
バ「じゃあせっかくだし自己紹介しとくか。俺の名は
バルグ、よろしくな慎也」
慎「そういえばさっき冒険者カード見せませたね」
バ「おっと返し忘れるところだったぜ、ほらよ」
慎「ありがとうございます」
バ「あと、鞘だ。剣はこん中に納めとけ」
慎「わかりました」
慎也はバルグからカードと鞘をもらい、カードはポケットの中、鞘は腰につけその中に先ほど買った剣を納める。
慎「それじゃあ僕はこれで」
バ「おう、また来いよ」
慎「わかりました」
そして慎也は武具屋を出て、ギルドへ向かうのであった。