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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第一世界 第四章 大切なもの
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大切なもの




(な、なんだ一体!?何が起こってる!?)


突然の慎也の変化に驚き、困惑するグラドス。しかしここであることに気付く。


(・・・待てよ?今奴はあんなにも苦しそうにしている。殺すなら今しかないんじゃないか?)


そう思いグラドスは再び剣に魔力を込め始める。


『死ね!『ヘルブレ・・』

「『ドラゴントラスト』!」


グラドスが攻撃しようとした瞬間、横から竜となった矢がグラドスを襲う。


『チッ!『デビルトラスト』!』


グラドスはすぐさま使うスキルを切り替え、竜の矢を貫き消滅させる。


『まだ邪魔をすると言うのか!貴様は!』

「ああそうだ!慎也は殺させない!」


グラドスに攻撃したのはもちろんハーツであった。


『・・いいだろう。貴様をさっさと殺して慎也も殺してやるよ!』

「絶対やらせるもんか!」


こうして慎也をかけた2人の戦いが始まった。









・・・慎也視点・・・


「ぐあアアあああアあ!!!」


一方慎也は、頭を押さえて何かに耐えるかのように苦しんでいた。


(あ・・いつ・を・・ころ・・)


必死に耐えながらも、慎也は常にハーツと戦っているグラドスのことを睨んでいた。


(あい・・つ・・は・・・イムを・・!)

「があアアあアあアああ!!」


慎也がグラドスがイムを殺したことを考えるたびに、慎也の中にある"何か"が増幅していき、それに伴って黒いオーラも大きくなっていく。


(あいつ・・を・・・殺す殺す殺す殺す殺す!)


そしてついに、その"何か"は慎也の全てを飲み込もうとしていた。









『慎也、負けちゃダメだよ!』


しかしその瞬間、慎也の頭の中に謎の声が響くと共に黒いオーラの中に微かな光が現れる。


(誰だ・・・お前・・)

『あはは、やっぱわからないか。君の前で喋ったことなかったもんね』

(喋ったことが、ない?)

『うん。だって僕、スライムだったもん』

(スライム・・・まさか!)

『・・そうだよ、君の友達のイムだよ』

(っ!)


謎の声の正体がわかった瞬間、慎也は目を見開いて驚くのと同時に涙が溢れてくる。


(でもお前は、あの時死んだはずじゃ!)

『うん、死んだよ。でもこうして魂だけは残ってたみたい。正直なんで?って思ったけど、たぶん今のためだったんじゃないかと思ってる』

(今のため?)

『慎也、僕を殺したグラドスを恨んでくれるのは僕的にはとっても嬉しい。でもその悪意に負けて暴れる慎也は見たくない!』

(!・・そうか、だからお前さっき負けるなって)

『うん』

(ありがとな。俺もあのままじゃ何かダメだって思ってたんだ。でも俺の中の"何か"が自分でも止められなくって)

『そうなんだ・・・それで、これからどうするの?』

(もちろん、あいつを倒してエリシアさんを助ける。だが今の俺とあいつの実力は天と地ほどの差がある。『ブーストアイ』を使っても勝てるかどうか・・)









『・・勝てるよ』

(え?何を根拠に・・)

『だって戦うのは慎也だけじゃない。僕も戦うんだから!』

(イムも?でもお前には体が!)

『たしかに僕には体がない。でも、慎也の力になることはできる!』

(俺の、力に?)

『僕の力を慎也に貸すの!そしたらグラドスとの実力の差も多少は縮めれるだろうし』

(・・わかった。イム頼りにしてるぜ)

『!・・うん!』

(あとは『ブーストアイ』か。あの謎のやつが呼んで出てきたらいいんだけど・・)

『あ、それなんだけど・・』

(イム?)

『聞いてるんでしょ?早く出てきたら?』

(え?)


イムがそう言うと、2人の前に赤い光の球が現れる。


『やはりバレていたか』

(聞いてたんならさっさと出て来いよ!)

『それで、スライムが俺に何の用だ?』

(無視かよ)

『聞いてたんだからわかるでしょ?慎也に『ブーストアイ』を貸してほしいの』

『・・いいだろう』

(え!?そんな簡単に貸してくれるんだ!?)

『ただし!使わせるには条件がある!』

(『条件?』)

『まあなに、別にステータスとかそういうのではないから安心しろ』

(そうか・・)

『それで条件って何なの?』

『簡単なことだ。今からこいつに、なぜ『ブーストアイ』を使いたいのか聞いて、俺の納得いく回答だったら貸す。逆にダメだったら貸さないって感じだ』

(わーおシンプル)

『だろ?さて、それじゃあ聞くぞ。お前はなぜ『ブーストアイ』を使いたいんだ?』

(んなもん決まってる・・・









 エリシアさんを助けるために、仲間を守るために使いたいんだ!)

『・・・』

『今の答えはどうだったの?』

『・・・文句なしの満点だ。『ブーストアイ』を貸してやる』

(ありがとな)

『それでは俺はここで失礼するよ。健闘を祈る』


そう言うと謎の声は消えて、それと同時に赤い光の球が消える。


『それじゃあ行こうか!慎也!』

(ああ。やろう!イム!)

(『俺(僕)たちの力を思い知らせてやろう!』)









「くっ!」

『これで終わりだああ!』


慎也を守るために戦っていたハーツもとうとう追い詰められ、その場に膝をつき、そこにグラドスの剣が放たれた。


「もう、ダメか」

「いいえ!まだダメじゃありませんよ!」

「!・・遅いぜ、慎也!」


黒いオーラがすっかり消えた慎也が、ハーツを守るように前に立ち、飛んできた剣を弾き飛ばす。


『てめえいつの間に・・・ふ、まあいい!そこの男はもう虫の息だ!あとはてめえを殺すだけ!あの妙なオーラを纏っていないてめえなんか俺の敵じゃねえ!』

「はたしてそうかな?」

『なに?』

「見せてやる、俺の全力を!『ブーストアイ』!」


そう唱えると慎也の右目だけが紅く染まる。


『『ブーストアイ』だと!?』

「慎也、お前使えるようになったのか?」

「いえ、まだ借り物ですよ」

『ふ、だがその程度じゃまだ俺には勝てねえよ』

「んなもん俺が1番わかってる。だからこそ!俺はさらに強くなる!」









(力を貸してくれ!イム!)

『うん!』


その瞬間、慎也の左目が青く染まるのであった。




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