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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第一世界 第四章 大切なもの
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肢裂のグラドスVS聖女エリシア 後半戦




「『マジックグロウ』!」


そう唱えるとエリシアの瞳が黄色に染まり、それと同様に体に黄色のオーラを纏う。


『それがてめえの本気か』

「ええ。そして、今からあなたを倒す力です」

『・・なるほどな。まあまずは小手調べといこうか』

(小手調べ・・?)

『さあ行くぞ!』


そう言うとグラドスは右手の剣を飛ばす。それをエリシアは体を傾けて躱し、杖に魔力を込める。


「『アイスブレード』!」

『『ダークウォール』』


そしてエリシアはグラドスに向けて5つの氷の刃を放つ。グラドスは黒色の壁を貼って防ぐ。


『・・『アイスブレード』程度でヒビが入るか』

「まだまだいきますよ!『マルチレーザー』!」


そう唱えるとエリシアの周りに15個の黄色の魔法陣が現れる。


『おいおいマジかよ!』


さすがのグラドスでもこれには驚いていたが、それとは裏腹に表情は喜んでいた。そしてエリシアがグラドスに杖を突き出した瞬間、15個の魔法陣から一斉に無数の光線が放たれた。グラドスはなんとか光線を躱しながら確実にエリシアとの距離を詰めていく。


『・・・チッ!『ダークウォール』!』


さすがに全てを躱し切ることは無理だと思ったグラドスは黒色の壁を貼りながら光線の雨の中を駆け抜けて行く。


(あの壁が厄介ですね。全ての光線を一箇所に集中させて破壊しますか)


そう思ったエリシアは魔法陣から放たれる光線をグラドスの貼った壁に一点集中し、壁の破壊を試みる。そしてエリシアの思惑通り壁にヒビが入り、ほぼ破壊寸前になる。


『こいつはもうダメか。なら・・!』


そう言うとグラドスは光線が再び放たれたタイミングで壁を消して光線を躱すのと同時に上に飛ぶ。


『おら喰らいやがれ!』


そしてグラドスはエリシアに向けて右手の剣を飛ばす。しかしエリシアはそれを躱し、剣が地面に突き刺さるのと同時に空いている方の手で鎖を掴む。


『なに!?』

「さあ、集中砲火ですよ!」


そう言った瞬間、魔法陣が一斉にグラドスの方に向きそこから放たれる無数の光線がグラドスを襲う。グラドスは咄嗟に腕でガードしてダメージを出来るだけ軽減しようとするが、それでもダメージは相当なものである。そして光線が当たった瞬間爆発してグラドスは後方にぶっ飛ばされる。


『くっ!これならどうだ!』


少し飛ばされたところで足で踏ん張って止まり、グラドスは左の剣を飛ばす。しかしエリシアは容易に杖で剣を弾く。


『チッ!』

「さあどうしますか?このままだとあなたは何も出来ずにやられますが」

『まあたしかにそうだな。まずは鎖をなんとかしねえと』


そう言うとグラドスは両手を閉じて魔法陣を消す。するとそれと同時にエリシアが掴んでいた鎖が消えていく。そしてグラドスは再び手を開き魔法陣を出現させそこから新たに鎖で繋がれた剣を出す。


(なるほど、使い勝手の良い力ですね)

『さてと・・・聖女の力も見れたことだし、俺も本気を出すかな』

「!・・・やはりまだ本気ではなかったのですね」

『当たり前だ。あの程度の力で四天王なんて名乗れねえわ』

(まあ言わば魔王軍のトップ4。さすがにそう安易と勝たせてはくれないでしょうからね)

『それじゃあやるか・・・『リムマーダー』』


そう唱えるとグラドスの周りに黒みがかった紫色のオーラが現れ、さらにグラドスの背中に魔法陣が2つ現れて、そこから手から出ている物と同様の剣が出てくる。そして新たに出てきた剣と手から出ている剣が体を纏っているオーラと同様のオーラを纏う。


『これが俺のチャントスキルだ』

(先程より大幅に魔力が上昇してますね。さらに剣が増えたことによって攻撃の手数も増えるはず)

『さあこっから本気同士のぶつかり合いだ!』


そう言うとグラドスは背中の剣2本を同時にエリシアに飛ばす。しかしエリシアは軽く体を傾けて躱す。


(大したことないですね。まあ増えたからといって攻撃方法が変わるというわけではないですよね)

「『アイスブレ・・」

「エリシア後ろ!」

「!」


魔法で反撃しようとしたエリシアだったがハーツの声で後ろに振り向く。


(なるほど、追尾機能付きですか)


先程エリシアが躱した2本の剣がUターン再びエリシアに襲い掛かる。


「『マイグレーション』!」


エリシアは魔法でその場から移動して剣を躱すが、剣は休みなくエリシアに何度も襲い掛かる。


『さて、俺も行くかな』


そう言うとグラドスもエリシアに斬りかかる。終わらない連続攻撃にグラドスの攻撃も加わり、エリシアは小さな切り傷だがそれを体中に負う。


(さすがにキツイですね。そろそろ反撃しないと)

『おらおらどうした!もう終わりなのか!』

「調子に乗らないでください!『ライトニングスピア』!」


そう唱えたエリシアの周りに黄色の魔法陣が5つ現れ、5本の雷の槍を放つ。それを見たグラドスは一旦攻撃を止めて雷の槍を躱す。


『おいおい!その程度の魔法だとじゃ俺にはダメージを与えられねえぞ!』


そう言うとグラドスは右手の鎖を伸ばして薙ぎ払うように横に振り、先端の剣をエリシアに飛ばす。エリシアは咄嗟にしゃがんで躱す。


(『ライトニングスピア』程度じゃ当たりませんか。やはり広範囲の魔法じゃないとダメですね)

『・・・『ソイルボム』』

(!?こんな時に『ソイルボム』?どういうつもりかわかりませんが一応壁を貼りますか)

「『ウィングウォール』」


エリシアは風の壁を貼って土の球を防ぐ。そして『ソイルボム』の効果でエリシアの視界が土煙で埋まる。


(煙が邪魔ですね)

「『ウィングショット』」


エリシアは風の壁を消し、5つの風の球で土煙を吹き飛ばす。するとその瞬間・・!


『引っ掛かったな馬鹿が!』

「っ!?」


グラドスがエリシアに向けて勢いよく剣を飛ばしてきたのだ。突然のことで反応が遅れ、エリシアはなんとか躱そうとするが間に合わず右腕に剣が突き刺さってしまう。


「ぐっ!」

(これは私のミスですね。こんな戦いに意味もなくレベル1の魔法なんて使うはずないのに)

『さあ空に送ってやるよ!』

「しまっ・・!」


グラドスは鎖を操りエリシアごと剣を空中に飛ばす。それと同時に腕から剣を抜き、そして空中で身動きが取れないエリシアにグラドスは容赦なく剣で攻撃を仕掛ける。


「『ライトウォール』!」


エリシアは光の壁で自信を守るが全ての攻撃を防ぎ切れず、体の傷がさらに増える。しかしなんとか致命傷は避けていた。


(このままではいずれやられて・・)

『おら1発目!』

「!」


グラドスは狙ってエリシアと壁の間に剣を入れてそのままエリシアの腹部を斬りつつ地面に叩き落とす。


「ぐぅ!」

『もういっちょ!』

(まず・・!)


落とされたエリシアにグラドスはさらに横から剣を薙ぎ払うように飛ばして追撃する。エリシアはなんとか杖でガードするが横へとぶっ飛ばされてしまう。


「はぁ・・はぁ・・」

『おいおいまさかこれで終わりとか言わねえよな?』

「もちろん、ですよ!」

(こっからは魔力とかは気にせずに常に最高火力で攻めましょう!)

「『グランドルート』!」

(さあ反撃開始です!)

『っ!』


エリシアが魔法を唱えると、エリシアの周りから3本の大きな木の根っこがグラドス目掛けて飛び出してくる。それをグラドスは1本目を躱して2本目を腕でガード。


『『ダークフレイム』!』


そして3本目を黒色の炎で焼き尽くす。しかしそこでエリシアの攻撃は止まらない。


『っ!下からか!』


そう言いグラドスは後ろに飛ぶと、グラドスがいた場所から根っこが飛び出てくる。


(『グランドルート』は4本の根っこで攻撃する魔法。そして『マジックグロウ』で5倍になってるので使える根っこは合計20本。そして今4本使ったので残りは16本ですね)

「まだまだ終わりませんよ!」

『・・!後ろか!』


グラドスの後ろの地面から2本の根っこが飛び出してき、そのままグラドスへと先端を尖らせて向かって行く。


『チッ!てめえの根っこ使わせてもらうぜ!』


そう言うとグラドスは目の前の上に伸びた根っこに剣を飛ばして突き刺し、鎖を引き寄せることによって自身を空中に運び根っこを躱す。


(あの鎖が厄介ですね。私の根っこを逆に利用されてしまいます)

『おら行くぜ!』


グラドスは剣を刺した根っこの反対側に剣を刺して張り付くと、そのまま根っこを足場にエリシアへと勢いよく飛んで行き、それと同時に刺していた剣を抜く。エリシアは近づけさせまいと2本の根っこを飛ばすが、グラドスは1本目の根っこを自分に当たる前に剣で斬りつけて飛躍し、根っこの上に着地することで2本とも躱す。


(あれを躱しますか。やはり運動神経が異常ですね)

『もう2発行くぞ!』


そう思いつつエリシアはグラドスが根っこの上を走りながら飛ばした背中の2本の剣を根っこで向かい撃つ。


(これで残り10本・・)

「そろそろフィニッシュといきましょうか」


そう言うとエリシアは2本の根っこをグラドスに飛ばすが背中の剣で防がれてしまう。さらにそこに2本の根っこを飛ばすが、それも手の剣で防がれる。しかしこれは全てエリシアの思惑通り。


「さっきのお返しですよ!」

『なに!?』


4本の根っこに気を向けさせ、気づかれぬように1本の根っこをグラドスに飛ばす。そして根っこをグラドスの腹部に潜り込ませ、そのままムチのように叩き飛ばす。


『ぐっ!』

(ここで終わりませんよ!)


飛ばされたグラドスに向かって地面から3本の根っこが飛び出してくる。


『大人しく喰らうかよ!』


そう言いグラドスは適当な根っこに剣を飛ばして突き刺し、そこに自身の体を引き寄せて躱す。


「もう使わせませんよ」


そう言うとエリシアは今まで使った根っこを消してグラドスを落とす。


『なっ!?』

「残り2本の根っこもしっかり味わってくださいよ」


落ちるグラドスに合わせて地面から1本の根っこが飛び出して来る。グラドスは咄嗟に腕をクロスさせてガードするが、体が空中へとぶっ飛ばされる。するとその直後にエリシアが杖を上に突き上げ、そして下へと勢いよく振り下ろした。


『・・!マジか!』


その行動の意図を察したグラドスは後ろに振り返るが時すでに遅し。いつのまにか出ていた最後の根っこがグラドスを勢いよく叩き落とし、グラドスの体に激痛が走る。


『ぐはっ!』

「『ドラゴンフレイム』!」

『くっ!』


エリシアの放った5体の炎の竜を躱そうとグラドスはすぐさま体勢を立て直して横に飛ぶ。しかし躱せたのは1体だけで残りの4体はグラドスへと向かって行く。


『チッ!『デビルトラスト』!』


グラドスは4本の剣全てにスキルを使い4体の炎の竜にぶつけて見事相殺する。


『はぁ・・はぁ・・・ふっふっふ、さすがは聖女だ』

「そちらこそ。スキルを使った私をここまで消耗させたのはあなたが初めてです。さすが四天王を名乗るだけはあります」

『そりゃあ光栄だな。だが・・・そろそろ終わらせよう』


そう言った瞬間、グラドスの体内の膨大な魔力が4本の剣に集中し、そこからグラドスの前に魔力が紫色の光となって一箇所に集まり、1つの光の球となる。


(!これはさすがにまずいですね。すぐに躱す準備を・・)

『おいおい!まさかこれを躱すとか言うんじゃないよな?後ろをよく見てみろ!』

「っ!」


エリシアの後ろには数人の冒険者たち、そしてさらにその先には慎也たちがいる拠点、そしてそれをさらに越えた先には街があった。


『てめえが躱すってことは後ろの奴らを犠牲にするってことになるぜ!聖女がそんなこと出来んのかよ!』

(・・なるほど、考えましたね)

「・・いいでしょう、躱しはしません。ただ・・」


そう言うとエリシアは杖に大量の魔力を注ぎ込む。


「向かい打たせてもらいます」

『!・・いいねえそうこなきゃな!』


両者の魔力がさらに増加し、周囲にそれが漏れ出して風が吹き荒れる。周りの人、そして拠点にいる人にもその膨大さが伝わり、皆息を呑んでこの戦いの成り行きを見守る。


『・・・!行くぞ聖女!『ヘルブレイク』!』

「『エクスプロージョン』!」


エリシアの周りに橙色の魔法陣が5つ現れ、そこから炎を纏った橙色の球が放たれ、その球たちはしだいに複合して1つの巨大な橙色の球となる。

一方グラドスは自身の前にある紫色に光る球を両手で押し出す。すると光の球は光線となって、エリシアの放った魔法と勢いよくぶつかり合う。


「くっ!」

(なんという威力!まさか『エクスプロージョン』でも押されるだなんて!)

『おらおらどんどん押されて行くぞ!』


エリシアは杖から魔力を放って魔法を押して踏ん張るが、それでもグラドスの光線が徐々に押していた。


(うっ!ここまでなのでしょうか・・)

『終わりだぁぁぁ!』


とうとう光線がエリシアの魔法を押して、エリシアの目の前まで来る。


(皆さん・・・すみません・・)


エリシアはこの状況を見て勝つことを諦めてゆっくりと目を閉じた。














その瞬間、走馬灯のようにエリシアが今まで交流してきた人たち、仲間、そして家族の顔がフラッシュバックする。


(!・・・そうでした。今ここで私が負けてしまったら、知人や仲間、そして家族がいつか殺されてしまいます。それなのに私が諦めてどうするんですか!)


エリシアは意を決して再び目を開ける。唖然とグラドスのスキルがエリシアの魔法を徐々に押して行ってエリシアに迫ってきている。


(諦めるのは、私がこの戦いに負けた時だけで十分です!)

『!?なんだ急に威力が・・!』


エリシアは放つ魔力の量を増やし、自身の魔法を押す。すると先程まで押されていたエリシアの魔法が今度はグラドスの魔法を押し返して行く。


『なん・・だと!?この俺が・・押されているのか!?』

(聖女エリシア!この戦いに全てを賭けます!)

「はあああああああああ!!!!」


エリシアは自身の魔力を全て使い切る勢いで魔力を放つ。そしてグラドスのスキルの威力を大幅に上回り、勢いよくグラドスの光線を押し返していく。


「私の・・・勝ちです!!」

『くそぉぉぉぉぉ!!!』


グラドスの光線を押し切り、魔法はグラドスに激突した。その瞬間、辺り一帯に響き渡るほどの轟音が鳴り、それと同時に大規模な大爆発がグラドスを襲った。




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