第6話 出会いとギルド
前回までのより文字数を増やしました。
慎也は街に向かいながらこれからのことを考えていた。
慎(さて、これからどうしようかな?今が何時かわか
んねえから計画の立てようがないし、そもそもこ
の世界って何時とかの概念はあんのか?夜とかの
区別はつくと思うが・・・いや、まずは今日をど
うするかだ!時間に関してはその後でも考えられ
る・・・ってなんだあれ?)
慎也は数メートル先のところに目を向ける。そこには饅頭のような形をした、全長30cmほどの青い生き物が3匹いた。
慎(あれはRPG同じみのスライムか?へぇ〜あんな
形してるんだ。たしかスライムって結構弱いんだ
よな、少し近づいてみよ)
慎也は今後のことなどすっかり忘れて、スライムに近づく。すると1匹のスライムがぴょこぴょこと跳ね出す。周りから見たらただスライムが跳ねているようにしか見えないだろうがスライムにとっては会話だったらしく、もう1匹のスライムが跳ねているスライムに対して突進する。それは見事当たり、スライムは慎也のいる方向へ飛ばされる。そして残りの2匹はそのスライムを置いていき、どこかへ行ってしまった。
慎(・・チッ。やっぱり世界が違くてもいじめはあん
のか。っと今はあいつの心配か)
慎「大丈夫かお前?」
ス「!?」
慎也はスライム対して心配そうに声を掛けるが、
スライムは慎也に気づいた瞬間身体を小刻みに振るわせる。
慎「安心しろ、俺はお前に何もしないからそんなに怯
えるな」
ス「・・・」
スライムは慎也の言葉に安心したのか、身体の震えが収まる。慎也はその様子を見て自分の持っている袋からサンドウィッチを取り出し、二等分にして片方をスライムに差し出す。
慎「俺も腹が減ってたところだから半分やるよ。ほ
れ」
ス「・・・!」
スライムは慎也の持っているサンドウィッチを取り込むと美味しかったのかその場で跳ね出す。
慎(スライムっておいしさの概念あるのか。いやまあ
スライムも生き物だしあるっちゃあるか。でもス
ライムって基本食事とかしないイメージあるんだ
よな)
そんなどうでもいいこと考えながら慎也はサンドウィッチを口に入れる。
慎「・・普通にうめーわ」
慎(これってメリエヌスさんの手作りなのかな。だっ
たらちょっと嬉しい)
それから数分後、慎也は再び街に向かって歩いていたのだが・・
慎「なんでお前ついて来てんの?」
ス「?」
慎也は足を止め、後ろにいる者にそう言う。そこには慎也が先ほど共に食事をしたスライムがいたどうやら慎也があげたサンドウィッチが気に入ったらしく、慎也に懐いてしまったらしい。
慎(このままついて来るっていうなら俺は別にいい
が、それで街に入って見回りの兵士見つかって魔
王の手先〜みたいに勘違いされて牢屋にinは嫌
だしなぁ)
ス「?」
慎(説得しよ)
そして慎也はスライムに駆け寄り、膝をついて説得を始める。
慎「なあお前さあ、このままついてくる気か?俺は別
に構わないけどお前はいいのか?お前にも友達と
かいるだろ」
ス「・・・」
しかし、慎也の言葉にスライムは一切反応を示さない。
慎(・・なるほど。こいつさてはぼっちだな?)
ス「?」
急に黙り込む慎也を不思議そうに見ていた。そして慎也は次の説得材料を使う。
慎「いいか?俺とお前は本来敵同士なんだ、だからお
前が街に入ったりすると殺されるんだ。俺はお前
が死ぬところなんて見たくないんだ。だからつい
てくるな」
ス「・・・」
慎也の言葉に納得したのか、スライムは街とは逆方向に歩き出した。
慎(やっと行ったか・・・ふっ、流石俺、迫真の演技
だったな。って言っても、少し罪悪感はあるけ
ど)
慎也はスライムの去っていく姿から目を離し、再び街に歩き出すのだった。
それから数分歩いて慎也はようやく街の門までやってきた。
慎(さて、街に入りたいけどここって門番とかいない
の?勝手に入るけどいいの?)
慎也が門の前で考え込んでいると、いつの間にかそこにいた武装をした男女の4人組のうち剣を持った男が慎也に話し掛ける。
モブ1「お前こんなところで何してんだ?」
慎「ん?あ、いやここって勝手に入っていいのかなっ
て」
モブ2「良いのよ別に。外から来た人は全員勝手に入
っているわ」
2人の会話に杖を持った女性が入ってきた。
慎「この国のセキュリティーがばがば過ぎません?」
モブ1「それは国民全員が思ってると思うぞ」
モブ2「レイ、2人が待ってるし早く行こ」
モブ1「そういえば俺たち仕事中だったな」
慎「引き止めてすいません」
モブ1「いやいや、こっちから話しかけたんだ気にす
んな」
そして2人は残った2人のところに行きその場をあとにした。
慎「良い人たちだったな。さて、俺も行くか」
そして慎也はこの世界で初めての街に入るのであった。
慎(迷ったあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!)
慎也は街の門をくぐったあと最初はギルドへ行こうと決め、街を歩いていた。しかし慎也は最初、適当にあるけば見つかるという安易な考えで歩いていたが、時期に道が分からなくなっていき今に至る。
慎(くそっ!完全に油断した!街の中心部みたいなと
ころに来て見たはいいがここからどう行けばギル
ドにつくのかわかんねえし・・・そういえば!)
慎也は肩にかけて持っていた袋から一枚の紙を出す。
それはメリエヌスからもらった地図だ。
慎(たしか場所によって書かれている内容が変わるん
だよな?)
慎也は地図を開く。すると最初見た時は草原の地図だったのが今は街の地図に変わっていた。
慎(本当だ変わってる!え、何?これめっちゃ便利じ
ゃね?しかも建物一つ一つに名前書いてあってめ
っちゃわかりやすいな。ええとギルドは・・これ
か)
そして慎也は地図を見ながら今度こそギルドへ向かう。
慎(いやぁここまで長かった!)
慎也は今ギルドの扉の前に立っている。
慎「さて、さっさと登録を済ませるか」
慎也は扉をゆっくりと開ける。中はとてもきれいで、入って右の方には二階へと続く階段と受付らしきものがあり、その奥では職員の人たちがてきぱきと働いていた。そして正面の壁には合計6つの掲示板があり、その一つ一つに紙がたくさん貼ってあった。最後に左の方には、大きい机や椅子が沢山設置されていて、さらに奥にはカウンターがあり、その奥には調理場があり、まるでレストランのようなところである。慎也がギルドの中に夢中になっていると受付の方から職員の声が掛かる。
職「どうかされましたか?」
慎「あ、すみません。冒険者登録しに来たんですけ
ど」
職「登録でしたらこちらにお座りください」
慎「はい」
慎也は受付にいる女性の指示通りに、女性の向かい側の椅子に腰をかける。
職「では最初に名前と歳を教えていただけますか?」
慎「名前は村上慎也で、歳は13です」
職「では次にこの水晶に手を近づけてください」
慎(よかったー、年齢制限とかでなれなかったらどう
しようかと思った・・・・っと、そんなことより
水晶に手を近づけるんだっけ?)
慎也は言われた通りに手のひらを近づける。
すると水晶が輝き出し、文字が浮かび上がってきた。
むらかみ しんや
レベル1
筋力 36
魔力 27
防御 11
俊敏性 18
パッシブスキル・???
慎(なんかめっちゃ出て来た)
慎「これはなんですか?」
職「こちらは慎也様のステータスです。ええと、筋
力が少し高いだけであとはほぼ平均値ですね。そ
してスキルですが、わからないというのは初めて
ですね」
慎「これって水晶と俺、どっちに問題があるんです
か?」
職「おそらく慎也様ですね。慎也様が来る少し前に慎
也様と同じで冒険者登録をしたいって言う方たち
がいまして、その時はしっかりと起動したので」
慎「そうですか」
職「では私は冒険者カードを作成いたしますので、少
しお待ちください」
慎「わかりました」
そう言い女性は受付の奥にある机まで歩いて行き、長方形のカードのようなものを置くとそこが光り出し、女性はそこに何かを書きだした。慎也はその光景を見ながら先程のことを考えていた。
慎(スキル不明かぁ〜。この世界を救う以上知ってお
きたいんだけど・・・もしかしてあれか?絶対絶
命の時に発動して俺が覚醒する系のやつか?まあ
それはそれでいいんだけど・・・いやそんなアニ
メみたいなこと起きるわけないか)
すると作業が終わったのか、女性がカードのような物を持って慎也のもとへ戻ってきた。
職「こちらがあなたの冒険者カードになります。再発
行には料金が発生しますので、紛失なさらないよ
うお気をつけください」
慎「ありがとうございます」
慎也は女性からカードをもらい、書かれている内容を見た。
「むらかみ しんや
レベル1 Eランク Eランク
・筋力 36
・魔力 27
・防御 11
・俊敏性 18
パッシブスキル・??? 」
慎(てか今更だけど、俺に魔力とかあるんだ。俺って
別の世界の人だからそういうのはないと思って
た・・ん?)
慎「あのー、この右の空白ってなんですか?」
職「これは課題の達成状況を確認するためにスタンプ
を押す場所です」
慎「課題?」
職「課題というのは、今のランクから次のランクへ行
くためにギルドから出されるやらなくてはいけな
いことです。ちなみにクエストは自分より下、も
しくは同等でないと受けれませんのでご注意を」
慎(そういえばメリエヌスさんの手紙にそんなことが
書かれていたような)
職「慎也様はEランクなので課題の内容は"Eランクの
クエストを10個達成"と"レベル10以上"になっ
ております」
慎「それを達成できれば俺は次のランクに行けるんで
すね?」
職「はいそうです。ほかに何か質問はございます
か?」
慎「いえ大丈夫です」
職「そうですか。では何か欲しい情報がありましたら
あちらに新米冒険者向けの本があるので、ご自由
に貰って構いません」
慎「ありがとうございます」
慎也は本を一冊手に取り、袋の中に入れる。すると慎也は外がいつの間にか暗くなっていることに気付く。
慎「時間も時間ですし、クエストはまた明日で」
職「ギルドはあなた様いつでもお待ちしております」
そう言って女性が手を振って見送ってくれていたので、慎也も手を振り返してギルドを出て行った。
スキルの説明は今後する。たぶん