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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第一世界 第四章 大切なもの
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異世界戦争.5




・・・ハーツ視点・・・


「・・・CBグループは全員帰ってきたか?」

「最初より3人ほど減っていました」

「そうか・・」


エリシアの報告で死者が出たことを知り表情を曇らせるハーツ。


「はぁ・・・ハーツさん」

「な、なんだ?」

「あなたは私たちを率いるいわばリーダーなんですよ?リーダーがそんな調子じゃ他の人に不安を与えますよ?」

「・・・」

(たしかに、エリシアの言う通りだ。俺がこれじゃダメだよな)

「・・よし!そいつらの死を無駄にしないためにも、さっさと魔物ども倒して墓を立ててやるか!」

「元気そんなこと言ったら死んでいった人たちに失礼な気もしますが・・・まあいいでしょう。それで、私は戦いが始まったらどうすればいいでしょうか?」

「エリシアは最初は基本的に俺たちの後ろにいてくれ。ここにはお前しか四天王とやりあえる奴はいないからな。戦う時までは魔力を無駄に消費したくない」

「わかりました」

「それじゃあエリシアは先に行っていてくれ。俺も少ししたら行くから」

「了解です」


そう言うとエリシアは拠点を出てASグループの集まっているところに向かった。


「さてと・・・おい!CBグループのリーダーはいるか!」

「は、はい!」


ハーツはミリユを拠点に呼ぶ。


「悪いが俺たちが戦ってる間だけお前にここを任せてもいいか?」

「私に、ですか?」

「ああ。もし魔物たちが拠点を直接狙ってきたりしたらやばいからな。念のために指揮官を置いておきたいんだよ」

「なるほど、そういうことなら任せてください」

「ありがとな。それじゃああとは任せた」

「頑張ってきてください!」

「ああ」


そういうとハーツも拠点を出て、ASグループの集まる場所に向かった。









「ハーツさん、心の準備は出来てますか?」

「もちろんだ」


魔物たちはもうすぐそこまで迫ってきており、冒険者たちはすでに武器を構え迎え撃つ準備が出来ている。


「それじゃあハーツさん、リーダーらしくかっこよく決めてください」

「そんなハードル上げんなよ・・」


そう言いながらハーツは冒険者たちの前に立ち、冒険者たちの視線がハーツに集まる。


「えーごほん!お前ら、俺たちの勝利はもう目前だ!あとはここにいるみんなで魔物たちを殲滅し、奥にいるグラドスをぶっ飛ばすだけだ!戦う覚悟は出来てるか!?」

「あったりめーだろ!」

「さっさとあんな奴ら倒して宴だ!」

「ふっ・・・それじゃあみんな!行くぞーー!!!」

『おおおおおおおお!!!!』


ハーツがそう言うと冒険者たちは一斉に声を上げながら魔物たちへと向かって行った。それと同時に魔物たちも冒険者たちに向かって走り出し、すぐさま戦いは始まった。


「ハーツさんは行かないんですか?」

「俺の武器は弓だからな。基本はピンチな味方を援護するだけだ。それにあいつらが取りこぼした魔物がお前に襲いかかってきても大丈夫なようにな」

「なるほど。私はてっきりハーツさんが魔物と戦うのがめんどくさいからと思ってましたが、誤解でしたね」

「そんなわけあるかよ・・」

(・・まあ実はちょっとそれもあるんだけど)

「あ、ほら来ましたよハーツさん」

「結構早かったな」


エリシアの言う通り上空から3匹の鳥の魔物が飛んでくる。


「やっぱり来たか"ヘルバード"」


鳥とは思えないほどのおぞましい翼、木をも削り取るほどの強靭な足、そして何より目立つのが後ろへと伸びた黒色のトサカ、それがヘルバードである。


(あいつはBランクの魔物だが油断は出来ねえな)

「『ホーミングアロー』!」


ハーツは3本の矢を放ち2匹は撃ち落とすが、1匹のヘルバードには避けられてしまう。


「やべ!エリシア避けろ!」

「わかってますよ」


攻撃を避けた直後にヘルバードは自慢の足を2人に向けながら突進してくる。2人はそれぞれ左右に転がりヘルバードの攻撃を避ける。


「これでどうだ!」


そして背を向けたヘルバードにすかさずハーツは矢を放つ。その矢はヘルバードの体を貫き、ヘルバードはそのまま地に落ちていった。


「さすがギルドマスター」

「いや、『アロードール』を使っていたら最初の一手でやれてた。判断見誤ったわ」

「結構自分に厳しいんですね」

「状況が状況だからな。1つの失敗でたくさんの敗北を生むかもしれんしな」

「ぐあああああ!」

「「!」」


2人揃って声がした方に目を向ける。そこには1人の男性冒険者が犬のような魔物に腕を噛みつかれていた。


「今助けるからそっから動くんじゃねえぞ!『フレイムアロー』!」


ハーツは犬の魔物の頭部目掛けて火を帯びた矢を放つが、犬の魔物はそれに気づきすぐさま男性の腕から口を離し、男性の体を蹴って後ろに飛んで避ける。


(あれはポイズンドッグか!今毒を治療できる奴は・・・エリシアくらいしかいねえか)

「エリシア、悪いがあいつの治療頼めるか?」

「任せてください」

(あいつのことはエリシアに任せるとして、俺はこいつの相手だな)


紫色の体毛、そして口から剥き出しになっている毒の成分を含んでいる牙。そして先程から攻撃してきたハーツを睨む鋭い目つき。


「『ホーミングアロー』!」


ハーツは3本の矢を放つが、それをポイズンドッグは華麗に避け、ハーツに爪で攻撃を仕掛ける。


(結構至近距離だったんだけどな、避けられるか)


ポイズンドッグの攻撃を避けてハーツは矢を2本取り出す。


「『アロードール』!『ツインアロー』!」


ハーツはまずチャントスキルである『アロードール』を発動させ、右腕に紫色のオーラを纏わせる。そしてすぐさま取り出した2本の放つ。2本の矢は『アロードール』の効果によってハーツの右腕同様の紫色のオーラを纏い、さらにスキルで強化されているため青色の光を纏う。ハーツは2本の矢を同時に操り、まず1本の矢をポイズンドッグに飛ばす。しかしポイズンドッグはそれを軽々と上に飛んで避ける。


(かかったな!)


ハーツはもう1本の矢をポイズンドッグの頭上に動かしており、空中で身動きが出来ないポイズンドッグに容赦なく矢を降下させポイズンドッグの頭部を貫く。


「エリシア、そっちは終わったか?」

「はい。ちょうど終わりましたよ」

「悪い助かった」

「お礼言ってる場合があったらこっからお前がどう動けばいいのか考えろ。今は一瞬の油断も許されないんだからな」

「あ、ああわかった」

「そんじゃさっさと行け!」

「次はこんなことにならようにやるわ」


そう言うと男性は自身の武器を手にして再び魔物たちと戦いに行った。


「お礼くらい素直に受け取りましょうよ」

「お礼ならこれが終わった後にいくらでも聞いてやるつもりだが」

「それまでハーツさんが生きてたらの話ですけどね」

「不吉なこと言うなよ」

「ふふ、冗談ですよ」

「はぁ・・」

(いつどこから魔物が来るかわかんねえって状況なのに冗談とか言ってる場合かよ)

「・・・そんなことよりハーツさん、どうやらこっちが少し押されてるようですよ」

「!・・マジかよ」


エリシアの言う通り魔物たちが徐々に拠点の方に押し寄せて行っている。


「あ!ハーツさんヘルバードが!」

「行かせるか!『トラストレイン』!」


上空から拠点に向かおうとしていた数十体のヘルバードたちを、ハーツは矢の雨を放ちその矢を1本1本操りヘルバードたちを全て撃ち落とす。


「あぶないところでしたね」

「危うく拠点にいる奴らがやられるところだったぜ」

「ハーツさん!あっちから魔物たちが来ます!」

「!」


エリシアが指した方向から複数のゴブリンウォーリアーとポイズンドッグが向かって来る。


(エリシアに出来るだけ魔力は消費させたくはねえし、俺がやるしかないか!)

「かかってこいやー!」


そう言うのと同時にハーツは矢を放った。




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