開戦
とうとう魔物たちが襲撃してくる日。魔物たちはすでに冒険者たちの視界にかすかだが入るほどの距離まできている。慎也たち冒険者は前日に城壁前に設営した拠点に集められていた。
「結構人いますね」
「そりゃあ他の街からも来てるからね、むしろこんなにいると心強いよ」
「まあたしかにそうですね」
「おーいみんな!作戦の最終確認をしたいからこっちに来てくれ!」
「行こうか慎也くん」
「へいへい」
ハーツの呼びかけに応じ、冒険者全員がハーツの元に集まる。
「それじゃあ始めるぞ。みんなにも見えている通り、最前列にはゴブリンやスウィフトボアーがいる。先日話した通り、そいつらの相手はEDグループにやってもらう。そしてそのゴブリンたちのすぐ後ろにはオークやスカルマジシャンがいる。EDグループにこいつらの相手はキツいだろうから、頃合いを見てCBグループと交代してもらう!交代の合図はエリシア大きな音がなる何かしらの魔法を打ってくれるそうだ。それと、ASグループの人数が少し乏しいからな、今からCBグループの中から名前をあげるから、そいつらはASグループに入ってくれ!では言って行くぞ・・」
それから10人ほどの名前があげられ、その中にはアイクの名前も入っていた。
「あらら、お呼ばれしちゃった」
「頑張ってくださいよ」
「うん、それじゃあ行ってくる」
そう言うとアイクはASグループのところに向かい、他に呼ばれた人たちもASグループの場所に入って行った。
「やっぱりアイクさんは呼ばれちゃいましたか」
「ミリユさんいたんですね」
「そりゃあいますよ!一応CBグループのリーダーですから」
「そういえばそうでしたね。リーダーの風格とかそういうのなかったから忘れてました」
「えー!」
「てかアイクさんが行くのがわかってたみたいな言い方してましたが、アイクさんってそんなに強いんですか?」
「レベル40は超えていませんが、それでも39っていうBランク冒険者の中ではかなりの実力者なんですよ」
「そうだったんですか、そりゃあ呼ばれるわけだ」
「それじゃあみんな!少しだけだが戦いに備えて体を休めていてくれ!」
その言葉を聞き、冒険者は皆仲間と談笑したり、武器の整備を始めた。
「それじゃあ慎也さん、また後で」
「はい」
「おーい慎也!」
その場を去って行くミリユと入れ替わるようにライルとリアが慎也の元に駆け寄ってくる。
「ついに始まりますね」
「ああ、正直冒険者になったばっかの俺がこんな大事に巻き込まれるなんてな」
「まあその大事の原因はお前なんだがな」
「い、いや!一応エリシアもこれの原因だし!俺だけじゃないし!」
「慎也さんは私を守るために『ブーストアイ』を使ったんですから、何も悪くないですよ!」
「てか慎也『ブーストアイ』使えるのにさっき名前呼ばれなかったな」
「さすがに今の俺には荷が重すぎるって思ったんだろうよ。まあこちらとしてはかなりありがたいけどな」
「まあたしかに実力はまだDランクなのに急にSとAのところ行けー!って言われても困るしな」
(CとBのところに行けって言われても困るけどね)
「おーいライル!今から気合い入れるために円陣組むからお前も来い!」
「へいへい!ちょっと呼ばれたから行ってくるわ」
「りょーかい」
同じグループの人に呼ばれたライルはそっちに向かい、この場には慎也とリアが残った。
「あいつああいうのに付き合うタイプなのか」
「慎也さんは付き合わないんですか?」
「めんどくさいから嫌」
「そうですか・・」
「・・・」
「・・・」
(いや何この時間!?くっそ気まずいんだけど!なんか話題振った方がいいかな?でもこの世界で流行ってるものとか知らないんだけど!)
慎也とリアの間に沈黙の時間が流れる。そしてしばらくすると、その沈黙を破るようにリアが口を開く。
「・・・そういえば慎也さん」
「ん?どした?」
「まだ助けてくれたことへのお礼をちゃんとしてないなと」
「お礼?・・・・あああのことか。別にそんなのいいのに」
「私がしたいんです!」
「お、おおそうか」
「すぅー・・・慎也さん、あの時は私を助けてくれてありがとうございました。慎也さんのおかげで今の私がいます」
そう言い、リアは慎也に向かって深々と頭を下げた。
「おーいみんな、そろそろだ!すぐに準備しろ!」
それと同時にハーツの招集がかかり、周りの冒険者たちが移動を始める。
「・・どういたしまして。ほらこれで済んだだろ、早くハーツさんのところに行ってこい」
「はい、行ってきます!」
そう言ってリアはEDグループのところに向かおうとしたところで、何かを思い出したのか慎也の方に振り返る。
「ん?どうかしたか?」
「1つだけ言いたいことがあって・・・慎也さん、お互い頑張って勝ちましょう!」
そう言いリアは再び皆が集まっているところに向かって行った。
(ああ、リアの言う通りだ。こんなところで負けていられない。おそらく今この世界に貼られているバリアを攻撃している奴が侵入してくるのも時間の問題だ。それまでに俺は強くなってそいつに対抗する力を手に入れないといけないんだ!)
そう慎也は固く決心して、リアとライルの健闘を祈った。
・・・ライル視点・・・
ライルたちEDグループは城壁前に設営された拠点から少し離れた場所に集まっていた。
(とうとうこの時が来たな。やっぱ意識すると緊張するなぁ)
「ライルそんな調子で大丈夫なの?」
「あ、ああ大丈夫だ・・・たぶん」
「なんか心配だなぁ」
「てかそう言うリアは緊張とかしねえのかよ?」
「しなくはないけど、それでいざ魔物と戦う時によそ見してやられたら元も子もないでしょ?」
「たしかに・・」
「だからライルも、一旦肩の力を抜いて落ち着こ?緊張なんてしてられないんだから」
「それもそうだな」
ライルは深呼吸することで自分を落ち着かせる。
「・・・よし、もう大丈夫だ」
「それじゃあライルの大活躍、期待してるよ」
「おう!」
「EDグループのリーダー!突撃のタイミングはお前に任せる!」
「は、はい!」
そうリーダーに伝えるとハーツは拠点の方へと戻っていく。
「リーダー!ここは1発かっこよく決めてくれよ!」
「ま、任せろ!」
(今更ながらあのリーダー大丈夫なのか?)
「ライル、そろそろ魔物たちとの距離が・・」
「かなり近づいてきたな。あと100mちょっとって言ったところか」
ライルの言う通り魔物たちとの距離は残りわずか。そしてとうとう魔物たちが残り100mに差し掛かったところで、EDグループの方に勢いよく走ってきた。
「みんな!あんな奴らさっさと倒して、生きて帰ろうぜ!」
『おお!』
「突撃ーーー!!」
「行くぜ行くぜー!」
「何体でもかかってこいやー!」
「リア、俺たちも行こう!」
「うん!」
こうして人類と魔物たちの戦争が幕を開けた。




