この平穏な日々に永遠はない
「あ〜くっそ頭痛いぃ」
「そりゃあ未成年が酒を飲めばそうなるよ」
翌日。慎也とアイクはハーツからの次の指示を聞くためにギルドに向かっていたのだが、慎也はあれからも酒を飲んでしまい人生初の2日酔いを経験してしまう。
「てかミリユさんは?あの人も相当な量飲んでたでしょう?」
「ミリユさんなら2日酔いで見事に倒れてるよ」
「あの人は休んでいいのに俺はダメなんですか?」
「慎也くんは軽度な頭痛だけでしょ?ミリユさんはそれに加えて吐き気とかもあるらしいからね。でも治り次第こっちに合流するとは言ってたよ」
ミリユは慎也と違い多量の酒を飲み、現在宿で見事に2日酔いで寝込んでしまっている。
「あの人酒いっぱい飲むくせに弱いんですね」
「今後お酒はほどほどにしてほしいよ・・・・あ、ほらついたよ」
ギルド前についた2人は入ってすでに集まっていた同じグループの冒険者たちに事情を説明する。
「まあ昨日あんだけ飲んだらそうなるわな」
「俺はもう昨日の時点でこうなるんじゃないかと思ってたわ」
「まあそういうわけだから、今日は代理で誰かリーダーをやってもらいたいんだけど、誰かやりたい人いるかな?」
アイクの問いかけにはもちろん誰も応じない。
(でしょうね。リーダーなんて誰もしたくないし)
「誰もいないか・・・・ならしょうがない、慎也くん頼めるかい?」
「は!?なんで俺が!?」
「昨日酒を飲んだ罰だよ」
(それを言われちゃあおしまいだ)
「わかりましたよ。しょうがないですね」
「ありがとう。それじゃあさっそくギルドマスターに今日の予定を聞いてきてくれるかな?」
「了解でーす」
意思関係なしにリーダーになってしまった慎也は指示を受けるためにハーツの元へと向かう。ハーツのところに行く今はEDグループのリーダーと話していたので、慎也は大人しく待つことにした。
(てか結局ライルたちのリーダーは別のやつがしてんのか。まあそりゃそうか。あんな自己中野郎にリーダーをやらせたいっていうバカはいないだろうし。あいつも少しは改心したかな・・・・お、話終わったみたいだな)
EDグループのリーダーが去ったのを確認し、慎也はハーツ向か・・・
「随分とギルドマスターっぽくなったじゃねえか」
おうとしたところでハーツに赤色の鎧を身につけた大柄の男が話しかける。
「・・・なんか用かディード?」
(うわ急にハーツさんの雰囲気が変わった!仲でも悪いのか?)
「いや別に、てめえの様子を少し見に来ただけだ」
「そうか。ならもう済んだだろ?さっさと俺の前から消えてくれ」
「言われなくてもそうするつもりさ。ただ最後に一言だけ言っとく・・・
戦場であの時みたいな弱音吐くじゃねえぞ」
そう言うとディードという男はその場から去って行った。
(結局なんだったんだあの人?なんか言うだけ言ってどっか行ったけど・・)
「・・弱音なんかじゃねえよ、あれは」
(そしてハーツさんもいつもと雰囲気違かったし、なんだよもう・・・・てか俺ハーツに今日の予定聞くんだった)
「ハーツさーん?」
「ん?ああ慎也か。どうした?」
「今日俺らのグループは何をすればいいのか聞きに来たんですけど・・」
「お前が?それはリーダーの役目だろ?」
「それが・・」
慎也は事情を説明した。
「・・バカなのかそいつは?」
「俺もそれは思いました」
「まあわかった。今日は昨日と同じくお前らのグループはゴブリンの森でゴブリンの駆除を頼みたい」
「了解でーす」
「おう。あと、ゴブリンだからって油断して怪我とかすんなよ?」
「そんなヘマかましませんよ」
そう言うと慎也は自身のグループのところに戻り、ハーツに言われたことをメンバーの皆に伝えた。
「まーたゴブリンかよ!」
「もっと手応えのあるやつをやりたいぜ!」
「まあまあ、当日になったらいくらでも暴れれるんだから、その時まで我慢しようよ」
(血の気多いなこの人ら。俺はゴブリンでよかったって思ってんだけど)
「それじゃあ時間も惜しいですし、さっさと行きましょうよ」
「そうだね、じゃあみんな行こう!」
アイクと慎也を先頭にCBグループの冒険者たちはギルドを出発し、ゴブリンの森へと向かった。
そして時は進み、ゴブリンの森から帰還したCBグループは昨夜と同じくギルドの食堂で騒いでいた。
(よくもまあ2日連続でこんなに騒げるなあ)
「慎也くん、昨日みたいに酒は飲んじゃだめだよ」
「飲むわけないでしょ。てかあれはミリユさんが強引に飲ませてきたんですから、俺悪くないでしょ」
「まあたしかにね〜」
「てか結局ミリユさん来なかったですね」
「どうやら相当キツイらしくてね、明日には治ってると思うんだけど・・」
「そんなに弱いなら飲まなきゃいいのに」
「おーいアイク!お前もこっち来て飲めよ!」
「いや僕は・・」
「行ってきていいですよ」
「・・わかった、それじゃあ行ってくる」
そう言うとアイクは席を立ち複数人で飲んでいるグループに混ざりに行く。
(さてと、俺はさっさと頼んだ飯食って宿に行くか)
「慎也さん、お隣いいですか?」
「エテラさんですか、いいですよ」
自身の食事に手をつけ出したところで、エテラが先程までアイクが座っていた慎也の隣に座る。
「同じグループの方々とはうまくやれていますか?」
「まあまあですかね?悪い印象を持たれてはないと思いますが」
「そうですか」
「というかすみませんね、お出かけの約束果たせそうにありません」
「いえいえ!状況が状況ですし、この戦いが終わった後に行っていただければいいですよ」
「それじゃあ戦いが終わったら絶対に行きましょう」
「わかりました、約束ですよ」
「はい」
「それはそうと、昨日は驚きましたよ。まさか慎也さんがお酒を飲んで酔ってるなんて」
「飲んだといっても強引に飲まされたんですよ。そういえば昨日の俺変なこととかしてませんでした?」
「・・・何もしてませんよ」
「え、何今の間?昨日の俺何やったんですか!?」
「いえ、ほんとに、何も、してなかった、ですよ」
(いや絶対なんかしたじゃん!)
こんな日々を送りながら、慎也は気付かぬうちに「こんな日々がずっと続けばいいと」心のどこかで思っていた。しかし、現実はそうはいかない。時が進み、とうとう魔物たちが攻めてくる日が来てしまった。
とうとう次回は魔物VS人間の戦争だー!勝負の行方をその目で見届けろ!




