作戦会議
「さて、準備もできたということでこれから作戦会議を始める!」
各々食堂の席につき、ハーツのほうを向く。壁には出た案を書くようの大きな紙が貼られている。
「みんなに案を求める前に、まずは魔物の種類と数を言う。まず、ざっと80体のゴブリンとスウィフトボアーが軍の先頭にいる。さらにその後ろを100体ほどのオークとスカルマジシャンがついている。そして数km後ろにゴブリンウォーリアーやポイズンドッグ、ヘルバードが150体ほど来ている。そしてその先にグラドスと思わしき魔物がいた。俺たちの勝利条件はこいつを倒すことだ。では皆、今言った情報をもとに、何か案をくれ。俺も考えておくから」
その言葉を聞き、冒険者たちは話し合いを始めた。慎也も、リアとライル、それとエリシアと共に作戦について話し合う。
「聞いた限り、こちらの人数不利は明確ですね」
「どうすんだこれ?俺たちが相手できるのってゴブリンとスウィフトボアーくらいじゃないか?」
「慎也さんならオークもいけそうですが」
「いや無理無理無理!オークだけならいいけど、なんかスカルマジシャンとか知らない魔物いるし!絶対囲まれて死ぬわ!」
「まあたしかに、今の慎也のレベルでスカルマジシャンはキツいですね」
「そうなると、俺たちDランク冒険者やEランク冒険者はゴブリンたちの相手をしたほうがいいのか?」
「そうですね。そしてCランクとBランクの方にはオークとスカルマジシャンの相手を」
「それならAランクとSランクの人がなんかヤバそうな奴らの相手ですか?でもそれだと負担が多いし、グラドス戦のために魔力や体力を残しておいた方がいいんじゃないですか?」
「たしかに、このギルドにはAランク冒険者の方もあまりいないようですし」
「ほかの街から招集とかは出来ないんですか?それなら少しはこっちも戦力が増えて戦いが楽になるんですが」
「たしかにそうですね。ちょっとハーツさんに聞いてきます」
そう言うとエリシアは席を立ち、ハーツの元へと向かった。
「てか思ったんだけど、この街に兵士とかそう言うのはいないのか?」
「いるっちゃいるが、数が少ねえんだ」
「多い街でもせいぜい20人が限度ですね」
「そうなのか。兵士使えば人数問題も多少は解消できると思ったんだけどな」
「てかこのことは城の方に報告してきたのかな?」
「流石にしてる思うけど・・」
「お、エリシアさん戻ってきた」
エリシアは席に再度つき、結果を報告する。
「どうでしたか?」
「どうやら他の街にはすでに招集をかけたらしく、明日か明後日に50人ほど来るらしいです」
「そんなに?それほど今回の戦いが大変ってことか」
「それと、良いお知らせが」
「良いお知らせ?」
「なんですか?まさかSランクの冒険者たちが来るとか?」
「正解です。なんとレイルさんが来てくれるらしいです」
「あの剣姫が!?」
「それは心強いですね!」
「え?急になに?そのレイルさんって人そんなに強いの?」
「慎也、それは冗談でも許さんぞ」
(なんかマジトーンでキレられたんだけど)
「レイルさんはエリシアさんと同じSランクの冒険者ですよ!しかも慎也さんと同じ、Sランクのチャントスキルの持ち主の!」
「ふーん・・・あーそういえばエリシアともう1人いるってハーツさんが言ってたな」
「ん?てか今さりげなくすごいことカミングアウトされなかった?」
「慎也さん、リアさんに話したんですか?」
「はい、スキル自体見られちゃったので、隠しようがないなと思って」
「おい待て俺その話されてないんだけど!」
「後で話してやるから、今は作戦会議に集中しよう」
「ほかの街から冒険者が来るんだったら、さっき言った作戦でいいんじゃないですか?」
「まあAランク冒険者の数次第だな。エリシアさんとそのレイルさん?って人はグラドスと戦ってほしいですし」
「あ、そのことなんですけど。レイルさん最近ギルドからの依頼で忙しくて、こちらに来れるのは戦いの最中らしいんです」
「マジですか。そうなると実質グラドスと戦うのはエリシアさんだけか」
「慎也さんがスキルを使えれば一緒に戦ってもらおうと思ったんですけどね」
「それは・・・・すんません」
「剣姫以外には何ランクの冒険者が来るんですか?」
「CランクとBランクの冒険者の方が数十名、Aランクの冒険者の方が数人、Sランクの冒険者はレイルさんだけですね」
「となると、CとBランクの冒険者は全員突撃ではなく、何人かAランクの方たちの手伝いに回した方が良さそうですね」
「そうだな」
(まあそれぐらいがいいか)
「みんな!そろそろ各々話し合った結果を発表してくれ!」
4人の考えがまとまったところで、ハーツが皆に呼びかけて案を求める。
「言うのはさっきの作戦でいいですよね?」
「俺大人数の前でなんか言うのは緊張するから誰か代わりに頼む!」
「ライルわかる、俺も無理だ」
「私もちょっと・・」
「大丈夫ですよ、私が代表で発表しますから」
「女神はここにいたのか」
「・・・むぅ」
「どしたリア?そんなむくれて。可愛いだけだぞ」
「そうですか?えへへ・・」
「それじゃあ皆!順番に発表していこう!まずはそこの机から!」
「はい!ここで考えた作戦は・・」
その後も、各々が考えた作戦を発表していき、ついに慎也たちの番が来る。
(みんなやっぱりモンスターごとに戦う人を変える感じの考えだな。ただ俺たちと違うのは、レベルごとにやら人数を分けるところだな)
「それじゃあ最後にそこの机頼む」
「わかりました。私たちが考えた作戦は・・」
淡々と4人で話し合った作戦を話すエリシア。周りも黙ってそれを聞いている。
「・・・以上です」
その言葉で締め、エリシアは席につく。そして再びハーツが会議の進行をする。
「それじゃあ今の中から、どれが1番いいか多数決を取る!順番に言っていくから、良いと思ったやつは手を上げてくれ!それじゃあまずは・・」
今まで出た案を言っていくハーツ。しかし中々手はあがらず、最終的に慎也たちの手以外は最後まで1つも手はあがらなかった。
「それじゃあ最後にエリシアたちの作戦を・・」
良いと思った奴、と言おうとハーツが言い切る前に、慎也たち以外の手が同時にあがった。
「・・・と、ということで、俺らの作戦はエリシアたちので決定でいいな?」
『おお!!』
(え、何この人たち?もしかしてここってエリシアさんを崇める宗教かなんかなん?絶対入りたくないんだけど)
「慎也さん、今思ったことを正直に話したら許してあげますよ」
「エリシアさんはとても美しいと思ってました」
「それならいいです」
(いいんだ)
「そんじゃ、この後は各ランクの冒険者で分かれてもらう。EとDはそこの机。BとCはそこな。んでAとSは俺のところに来てくれ。はい各自動けー」
その言葉を聞いた冒険者たちは、指定された場所に各々移動し始める。
(俺はDランクだからあそこに・・)
「あ、そうだ!慎也!」
「はい?どうかしましたか?」
「お前実力はCレベルだからさ、CとBのところ行ってくんねえか?」
「・・・・・は?」
ハーツの突然に半端切れ気味で驚く慎也。そして先程の音声で出てきた名前を聞いたこともあってか、冒険者たちの視線が慎也に集中する。
(うわ視線痛い!ハーツさんみんなの前で俺の名前言わないでほしかったな・・・・っていやいやそうじゃなくて!)
「いや実力はあれでも!俺一応Dランクですからね?そこは普通にEとDのところ行かせてくださいよ!それにきっと俺足手まといになりますし!」
「いや、オークを数十体も相手して、さらにオークキングと戦って生きたお前ならいけるだろ」
「いやそう言う問題じゃ・・!」
「なんだ慎也?お前Cのところ行くのか?」
(ライル、お願いだ止めてくれ!)
「なら頑張れよ!応援してるからな!」
「お前に期待した俺が馬鹿だった!」
「慎也さん、時々様子は見に行ってあげますから!」
「そもそも期待する時間すらくれないのねリアは」
「そんじゃまあ、そういうことだから。慎也頼んだぞー!」
「えぇ・・」
(これ行かないといけないの?普通に面倒なんですけど!まあギルドではギルドマスターが絶対みたいなところがあるしな、仕方ねえか)
慎也は方向転換し、CとBの冒険者が集まる場所に向かう。
(初対面、しかも先輩だと結構緊張するなぁ。俺の存在無視してくれないかね)
「みんな集まったか?それじゃあさっそくなんだが、各々リーダーを1人決めてくれ!明日からはそいつを通して指示を出してくから!」
その言葉を聞き、各々話し合いを始める。慎也のところは慎也を入れて約20人の冒険者が集まっている。
そして慎也の場所も話し合いが始まり、初めに青年の男性が口を開く。
「それじゃあギルドマスターの言っていた通り、誰がリーダーになるか話し合いたいところだけど、みんな初対面の人がほとんどじゃないかな?僕もそうだし。てことでまずは自己紹介から始めようか」
(お、結構しっかりした人がいるな。進行どころかリーダーこの人で良くね?)
「それじゃあまず僕から。僕の名前はアイク、Bランクの冒険者でレベルは39だ、よろしく。それじゃあ次の人いこうか。そこの君、お願い」
「わ、わかりました!私の名前は・・」
その後は1人1人順番に自己紹介を終えて、最後に慎也の番へとなった。
「それじゃあ最後は・・・君だね」
(急に声のトーン変わるのね、ちょっとビクっちゃった)
「えー、さっきハーツさんが言ってた通り、俺の名前は慎也。Dランク冒険者で、レベルは28だったはずです。でまあ悪く言うと今回の戦争の原因の1つですね、はい」
「ふーん、やっぱりそうなのか・・・まあいいや。今そのことを話しても時間の無駄だしね、先にリーダーを決めちゃおうか。誰かやりたい人はいる?」
アイクの問いかけに、誰も答えない。
(ま、でしょうね!リーダーなんて誰もやりたくねえよな。もちろん俺もやりたくない)
「困ったなぁ。僕も出来たらリーダーはやりたくないんだけど・・」
「普通に1番強い奴でいいんじゃないか?その方が手っ取り早いだろ?」
(お、ナイス提案!名前忘れた人。その決め方なら俺は絶対にリーダーにならないから楽だわ)
「たしかに、それでいいかもね。単純なレベルの高さなら・・・ミリユさんかな?たしかレベルは40ちょっとだったよね?」
「え!?わ、私ですか!?あんまりみんなを引っ張るとかそういったことは自信ないんだけど・・」
「大丈夫だよ。いざとなったらみんなで助け合えばいいし、1人で全てをやれとは言わないよ」
(はい優男。こいつ学校に通ったら同学年の女子全員虜にできるんじゃない?)
「おーい!そろそろリーダーは決まったかー?決まったんなら誰になったか報告しにこーい!」
「そ、それじゃあ行ってきます!」
ミユリという女性は緊張しながらハーツのもとへと向かう。その拍子に躓いて転んだところを見て、今後のことが少し心配になった慎也であった。
「おーい?EとDのリーダーまだ決まってねえのか?次に進みたいからさっさと決めてくれよ?」
(なんだ、ライルたちの方はまだ決まってねえのか。まあどうせすぐ決ま・・)
「お前ふざけんなよ!!!」
(え!?ちょちょなになになに!?)
その瞬間、ライルの怒鳴り声がギルド内に響き渡る。突然のことでさすがに慎也は驚き、それと同時に面倒なことが起こる予感がした。




