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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第一世界 第三章 仲間を想う力
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退屈な時間




「・・・なるほど」

(俺って5日も寝てたのか。それにこの骨折も治るのは早くても4日後か。まあ本来もう少しかかるはずだったらしいけど、エリシアさんが魔法で俺の体の再生能力を高めてくれたから逆にこれぐらいで済んでるんだよな、そこら辺は感謝しないと)


ハーツから聞いたことを自分の中でまとめる慎也。


「そういえばハーツさんも怪我の方は大丈夫だったんですか?」

「怪我?あんなもんエリシアが秒で治してくれたよ」

「そういえばエリシアは今どこにいるんですか?お礼が言いたいんですけど」

「エリシアか・・・エリシアは今宿で休んでもらってる」

「休んでもらってる?エリシアにもなんかあったんですか?」

「そういえばお前気を失ってたから知らないのか」


ハーツは慎也が倒れた後に起こった出来事を大まかに説明する。


「そんなことが・・」

「ああ。正直エリシアがいなかったら今俺らはここにいない、あいつには感謝しても仕切れねえよ」

「なんかお礼とかした方がいいですよね?」

「俺も考えたんだけどな、そのお礼が全然思いつかねえんだよ」

「そもそも俺あの人のこと全然知らないし、何をしたら喜ぶのかわからないんですよね」

「どうしたもんかなぁ・・」

「・・うーん」


2人が助けてもらったお礼を何にしようかと考えていると、隣のベットで寝ていたリアが目を覚ます。


「あれ、もしかして私お邪魔でしたか?それならすぐに出ますが」

「いや、別に邪魔ではないから出なくもいいぞ」

(・・・あ、そうだ)

「なあリア?」

「はい、なんですか?」

「実はさ、俺らエリシアさんに助けてもらったお礼になんか渡そうと思ってるんだけど、全く思いつかなくてな。それで同性のお前の意見も聞きたいんだが」

「お礼ですか・・」

「何ならお前が喜ぶものでもいいぞ」

「そうですねー・・」


慎也の突然の質問に考え込むリア。そしてしばらくした後、リアは無意識に呟く。


「慎也さん・・」

「「・・・あ?」」


リアの言葉に、素っ頓狂な声を出し困惑する慎也とハーツ。


「・・今、私すごい物言った気がするんですけど、なんて言いました?」

「・・・慎也の名前」

「え、何?俺をプレゼントすれば喜ぶってこと?さすがに無理があるだろ」

「い、いや今のは別にそういうことでは・・!」

「でもワンチャンあるぞ。慎也を1日好きに使っていいってならエリシアも喜ぶかもしれん」

「いやワンチャンもありませんよ!人プレゼントされて喜ぶ人なんているわけないでしょ!」

「慎也よ、世の中にはそういう輩もいるんだ。エリシアもその部類かもしれないだろ?」

「あなたいつかエリシアさんに殺されますよ」

「なんなら今から聞いてきてやろうか?あいつがいる宿知ってるから」

「え、ちょ、マジで俺にする気ですか!?」

「全然思いつかねえし、もう慎也でいいやって思っている自分がいる。まあそういうことだから、今から行ってくるわ」

「ちょ、ハーツさぁぁん!」


慎也の呼びかけを無視し、ハーツは救護室を出ていってしまった。それを見てリアは苦笑をうかべ、慎也はため息をついた。


「そういえばリアっていつの間にエテラさんたちと仲良くなったんだ?」

「慎也さんが寝てる間にいろいろとあったんですよ」

「いろいろねぇ・・・ちなみにそれを教えてくれたりは?」

「内緒ですよ」

(そう言われると気になるじゃん。しかしまあ、いつか話してくれるだろ知らんけど)

「慎也さーん!食事持って来ましたよー!」

(何そのサービス、無料で飯食えるとか最高じゃん)

「それじゃあ私もそろそろ行きますね。また明日来ます」

「おう、あんがとな」


スープらしき物が乗ったトレイを持ったギルド職員と入れ違いでリアは救護室を出る。


(たしかこういう状況のときの食事って栄養を重視してる分、味がやばいって話聞いたことあるけどこの世界だとどうなんだろ)

「それじゃあ口をお開きください」

「え、あ、はい」

(そういえば俺って両腕折れてるんだっけ。てことは数日はこれが続くのか)


慎也は軽く口を開け、そこに職員がスープの乗ったスプーンを入れる。


(・・・いや普通に美味いな)

「お口には合いましたか?」

「はい、結構美味しいですよ」

「それはよかったです」


その後は特に何事もなく、食事を食べ終わり慎也は眠りについた。









夕日も落ちかけ、外がだんだんと暗くなっていく時間帯。慎也は目を覚まし10分ほどしたくらいのとき、あることに気づく。


「・・・暇すぎる」


現在、絶対安静状態の慎也にとって、特にやることがない救護室はまさに退屈な牢屋である。まあそもそも今の慎也は両腕が折れているため、何か暇を潰せるものがあったとしても使用できないので暇なのは仕方がないことだが。


(マジで何もないんだけど。え、もしかしてあと数日こんな感じのが続くのか?普通に嫌なんだけど)


しかしどんなに慎也がごねようが、この暇な状況は変わらない。仕方なく、慎也は寝て時間を潰そうと再度ベットに寝っ転がるが、先程起きたばっかなため、一向に眠れない。


(・・・ギルドの中少し探索しようかな?)


本来救護室を出てはいけない慎也だが、この時は退屈なこの時間をなんとかしたいという気持ちが勝ってしまい、ギルド探索を決行する。


(まずはこの扉を慎重にっと)


ベットから降りて、扉の前まできた慎也は肘でドアノブを下げゆっくりと開ける。


(廊下には・・・誰もいないか、よし!)


誰もいないことを確認し、なるべく音を立てないように救護室を出る。廊下は時間帯が夕方というのもあってか、明かりが一切なく薄暗くなっている。


(結構暗いな。普段は窓から差し込んでくる陽の光を電気代わりにしてんのかな?)


慎也は自身の目の良さを頼りに、着々と廊下を進んでいく。すると少し進んだ所で奥から大人数の騷ぎ声がかすかに耳に入ってきた。


(冒険者たちのバカ騒ぎか?てことはこの先は1階か、引き返そ)


慎也は今来た通路に引き返し、救護室まで来ると今度は反対側の通路を進んでいく。


(よく呼ばれたりしてギルド内は結構歩いたことあったけど、こうしてゆっくりと中見るのは初めてだな。と言っても、職員じゃない限りそんな機会全然ないんだけどね。今だけだよこういうの楽しめるの)


若干今の状況が少し楽しくなってきた慎也は鼻歌を歌いながら進んでいった。そして気づけばギルドマスターの部屋の前まで来ていた。


(もうこんなところまで来たのか。案外あっさり終わったな、もう少しなんかあると思ったんだけど)


内心残念がりながら、慎也は再び来た道を戻り救護室へと向かった。




このあと見回りをしていたエテラに見つかり、こっぴどく怒られたのはまた別のお話。




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