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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第一世界 第三章 仲間を想う力
43/211

起きて早々の大騒ぎ




「・・ん・・・ん?」


窓のカーテンから漏れる日の光が目に当たり、目を覚ます慎也。


(ここは・・・前に来た救護室か)


慎也が目を覚ましたのは以前ゴブリンたちに重傷を負わされた時に運ばれたギルドの救護室であった。


(ん?なんか腕が・・)

「いたっ!」


腕に違和感を感じた慎也は腕を動かさそうとすると、腕に激痛が走る。よく見ると、慎也の両腕の前腕がギプスで固定されていた。


(なんでこんなもん・・・ってそういえば俺腕折られたんだっけ。人生で初めてこれ付けたわ、って言ってもこれつける機会なんてそうそうないんだけどな)


そんなことを思っていると、廊下から2つの足音が近づいてくる。そして近づいてくるにつれ、足音と同時に話し声も聞こえて来る。


「・・から・・3日・・」

「さ・・にもう起き・・いいと思う・・・」

(?誰かこっち来るな)


念のため静かにしておこうと、口を閉じる慎也。すると廊下から聞こえた足音は救護室の扉の前に止まり、そのまま足音の主たちは扉をゆっくり開ける。


「慎也さーん?今日もお見舞いに・・」

「おいどうしたリア?なんか変なもんでも・・」

(あれ?ライルとリアじゃん)


扉から覗き込むように入ってきたリアは慎也を見た瞬間杖を床に落とし、その場に立った状態で固まる。そのリアの様子が気になったライルも、慎也を見た瞬間にリアと同じくその場で固まってしまった。


「どした2人とも?んなとこ突っ立ってないでこっち来て座れよ」


慎也はベットの脇にある椅子に2人を座らせようと促す。するとその声でやっと状況が飲み込めた2人はハッとなる。


「慎也!お前いつの間に起きて・・!」

「慎也さぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」

(え!?何!?)


ライルの言葉を遮るようにリアは慎也の名前を大声で呼びながら号泣し、慎也の体に抱きつく。


「よかった!よかったよぉ!」

「ちょ、リア!痛い!痛いからちょっと離して!」

「嫌です!」

(まさかの拒否られたー!)


リアをなんとか離れさせようと慎也は試行錯誤する。すると救護室の外からまたもや1つの足音が、今度はものすごいスピードで向かってくる。


「どうしましたかリアさん!?慎也さんに何か・・」


最初に入ってきたのはエテラで、どうやら先程のリアの声を聞き急いで駆けつけて来たらしい。


「あ、エテラさん!すみません、ちょっとリアを離すのを手伝って・・」

「し ん や さ ん ?あなた、私がどれだけ心配したと思ってるんですか。何起きて早々リアさんに抱きついてもらって鼻の下伸ばしてるんですか」

(あれ〜?もしかしなくてもエテラさん怒ってらっしゃる?)


どうやらエテラはこの状況にかなりお怒りらしく、顔は笑っているが、目は完全に笑ってないを通り越して怒っている。


「違うんですよエテラさん!別に鼻の下なんて伸ばして・・」

「問答無用です」


そう言うとエテラはポケットからペンを取り出し、慎也の方へと歩いて行く。


(いや怖いって!もうあのただのペンがナイフに見えて来たんだけど、もしかして刺そうとしてる!?)

「おいライル!そんなところで突っ立ってないでなんとかしてくれ!なんならエテラさんだけでもいいから止めてくれ!」

「あ、ああ」


ライルは慌ててエテラの腕を掴み、なんとか止めようとする。


「止めないでくださいライルさん。これは仕方ないことなんです」

(いやなんも仕方なくないんだが!?)

「いやさすがに刺すのはだめっすよ!代わりと言っちゃなんですが・・・慎也がお詫びにエテラが仕事が休みの日にデートしてくれますって!」

「っ!?ちょライル!?俺そんなこと一言も・・」


ライルの言葉に反応を示したのか、エテラの動きが止まる。


「・・本当ですか、慎也さん?」

「え、いや、しませんけど・・」

「慎也さん?」

「いやだからしな・・」

「・・・」

「いやだ・・」

「・・・」

「・・はい」


さすがの慎也もエテラの無言の圧力には勝てず、理不尽な約束をさせられてしまう。するとエテラはペンをポケットに戻し、安心したかのように綺麗な笑顔を慎也に向ける。


「そうですか!では6日後の休みにしましょうね!」

「え、もしかして休みってその日だけですか?」

「いえ。明日と明明後日は休みなんですが、流石に今の状態の慎也さんを連れて行くのはちょっと気が引けるので」

「あ、そこら辺はちゃんと配慮するんですね・・・てかリアはいい加減離れ・・」

「スー・・スー・・」

(寝てるぅー!え、どうすんのこれ?とりあえずどっかに移動させた方がいいよね?)

「ライルとエテラさん、悪いんですがリアを隣のベットに移動させてくれません?」

「りょーかい」

「わかりました」


慎也に言われ、寝ているリアをエテラとライルは隣のベットに乗せ、布団をかける。すると救護室に騒動を聞きつけたハーツが入ってくる。


「おいお前ら、救護室では静かにしろよ」

「あ、ハーツさん」

「慎也起きたのか、案外早かったな。エリシアは起きるのは明後日くらいって言ってたんだが・・」

「俺って昔から単純な怪我に関してはすぐに治るんですよね。それでよく友達からは「お前のゾンビかよ」って言われてました」

「そ、そうか。そうだ、ちょっと慎也にはその腕やらなんやら話すことがあるから、お前ら部屋から出ろ」

「いたらダメなんですか?」

「ダメだダメだ。ていうかライルたちはまだしも、エテラ仕事中だろ?早く戻れよ」

「あ、そうでした!それじゃあ慎也さん、約束忘れないでくださいよ!」


そう言うとエテラは慌てて救護室を出て行った。


「ほら、ライルお前もだ」

「わかりましたよ。リアはどうしますか?」

「リア?」

「はい、そこで寝てるんですけど・・」

「・・・そのままにしとけ」

「わかりました」


そう言うとライルも救護室を退出した。


「ふぅ、やっと落ち着きましたよ」

「嬉しいのはわかるが、もう少し音量に気をつけてほしいわ。リアの声俺の部屋にまで聞こえてきたぞ」

「まあかなり大きかったですからね」

「それで、俺に聞きたいことあるんだろ?」

「はい」


このあと、慎也はハーツに自分がどれくらい寝ていたのか、怪我はどのくらいで治るのかなどを質問していった。




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