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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第一世界 第一章 全ての始まり
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第4話 理由




ア「あなたは自分がいる世界の他に別の世界があると

  か考えたことある?」


慎「とくにありませんね。僕は夢より現実を見る人な

  んで」


慎(まあ異世界とかにはちょっと憧れるけど)


ア「まぁ普通はそうね」


慎「てかそんな質問するってことは他に世界があるっ

  てことですか?」


ア「なかなか察しがいいのね。そうよ、あなたが家族

  や友人と過ごしていた世界をあわせると・・8個

  くらいかしら?」


慎「そんなに?」


ア「驚くのはまだ早いわ。なんと、その世界一つ一つ

  に私のような神がいるのよ」


慎「てことは計8人の神がいるってことか」


ア「そして時々、みんなで集まってお茶か・・報告会

  をしてるのよ」


慎(今あの人お茶会って言おうとしてなかった?まあ

  神も毎日世界の様子見てるだけじゃ退屈か)


ア「って話が逸れたわね。話を戻すけど、昨日までは

  それはもう平和だったわ」


慎「昨日までは?」


ア「そう、そしてここからの話はあなたをここへ呼ん

  だ理由に大きく関係しているわ。聞く?」


慎「そりゃあ聞きますよ」


ア「じゃあ話すわね」


そしてアティスは今日起こったことを話しだした。











ア(今日はメリエヌス先輩たちとお茶会かぁ、楽しみ

  だなぁ)


その日のアティスは意気揚々としていた。世界の状況報告・・・・というのは建前で、とくに世界には頻繁に変化がないことから報告会からお茶会に変わっており、アティスはそれが楽しみでしょうがなかった。そして日々の習慣である世界の様子確認をしようとした時だった。アティスはある異変に気づく。


ア(あれ?なんか世界の外側から異様な気配がする。

  あ、そういえば、こういう時は先輩たちが、確認

  より先にバリアみたいなの貼れって言ってたよ

  ね!)


アティスは少し心配になり、世界の外に結界を貼る。すると結界を貼って数秒後、驚きの事態が起こった。


ア(えぇ!?バリアが攻撃されてる!?なんで!?ど

  うして!?)


初めてのことでかなり動揺したアティスは、必死に思考をめぐらせる。しかし、その攻撃は休む暇なく続いている。


ア(どうしようどうしよう・・・そうだ!ここは安心

  安定メリエヌス先輩に連絡しよう!)


そしてアティスは普段から行っている通信で先輩であるメリエヌスという神と連絡をとる。


ア『あっ、先輩ですか?大変なんです!世界の外から

  変な気配がしたからバリアを貼ったですけど、そ

  のバリアが攻撃されてるんですよ!!』


メ『あなたの世界も!?』


ア『え・・・あなたもって、まさか!?』


メ『私だけじゃないわ!さっき他の神にも連絡をとっ

  てみたら全員同じ状況だったのよ!』


ア『えっ!?』


メ『・・まさかまた起こるなんて』


ア『また?』


メ『あ、いや、こっちの話だから。それよりも、攻撃

  が止み次第すぐに緊急会議を開くから、あなたも

  参加しなさい!』


ア『わ、わかりました!』


アティスの返事を最後に通信は切れる。それからも攻撃は続き、その攻撃は1時間にも及んだ。











攻撃が一時止んだため、メリエヌスの言葉通り開かれた会議にアティスも出席していた。


メ『率直に言うわ。今回の件は私たちにはどうしよう

  もないわ』


会議の開始と同時に放たれたメリエヌスの言葉に、ある神は驚き、ある神は眉を顰めた。


?『それはどういうことだ?』


メリエヌスの発言に、紫色の髪をした気難しそうな女性が追求する。


メ『実は皆さんが準備している間にバリアを攻撃して

  いるものがなんなのか分析してみたところ、何者

  かがなんらかの"力"で攻撃しているみたいなんで

  す』


?『かなり抽象的だが、まあ緊急だし仕方ない。それ

  で?そいつらは世界の外側に行って、バリアを攻

  撃できるほどの力を持っているのか?』


今度は黒髪の眼鏡をかけた男がメリエヌスへ質問する。


メ『いえ、その者たち1人1人はただの人間です。な

  のでおそらくはうしろに何者かがまだいて、その

  者が力を与えているのでしょう』


?『人間か。そうなるとたしかに僕たちにはどうしよ

  うもないな』


ア『どうしてですか?』


眼鏡をかけた男の言ったことに疑問を抱き質問するアティス。それに青色の髪をした男性が答える。


?『そういえばアティスにはまだ話してなかったな。

  実は我々神は、神以外の者に干渉することはルー

  ルで禁止されているのだ』


ア『そのルールを破った場合はどうなるんですか?』


?『犯した瞬間にじわじわと身体が溶けてなくなる』


ア『あんまり見たくないですね』


?『っと話が逸れたな。それでメリエヌス、そこまで

  話したんだから何か考えの一つや二つあるんだ

  ろ?』


ア『もちろんあります。それは・・・・世界を移動で

  きる者を探してその人に外から入ってきた者を倒

  してもらいます』


ア『そんな人いるんですか?』


?『ほんと稀にいるらしいんですよねぇ、まぁその移

  動自体は私たち神が手助けしないとできないんだ

  けどね』


アティスの質問に赤色の髪の少女が答えた。


ア『でも手助けをした場合、さっき言ってたルールに反するんじゃないですか?』


?『いやぁそれがこのルールな、少し紛らわしいだ

  が、こういう神にはどうしようもないが、ある者

  なら出来るっていう状況の場合、その者を最低限

  サポートすることが許されてるんだ』


ア『なんですかその今回みたい事が起きることを予想

  されたルールは?』


?『どうやら同じことがかなり昔にあったらしくな、

  その時の神達が念の為ということで作ったらし

  い』


メ『話を戻していいですか?』


?『おっと悪いな、いいぞ続けて』


メリエヌスが話を再開する。


メ『それで皆さんには世界を移動できる者を自分の担

  当する世界から探してきて欲しいんです』


ア『見つからなかった場合はどうするんですか?』


?『・・その場合は誰かが犠牲になるしかないです』 

ア『え・・』


暗い表情で放たれたメリエヌスの答えに、アティスは動揺した。それを見た神の1人がフォローに入る。


?『と、とりあえずそれに関しては見つからなかった

  時に話そう。今は解散でいいかメリエヌス?」


メ『そ、そうですね。ではまた後で』


メリエヌスの言葉に次々と通信を切っていく神達。そしてアティスは、血眼になって自分の世界をくまなく探していた。


ア(あの人たちはこんな私にも優しく接してくれるん

  だ!誰かがいなくなるなんて絶対やだ!必ず見つ

  けないと!)


しかし一向に見つかる気配がしないまま、数時間が経ち、会議を始めるというメリエヌスからの連絡を受けて、通信を繋げながらもアティスは探すのをやめなかった。











アティス以外の神は全員暗い表情をしていた。その顔を見たアティスもだんだんと暗い表情になる。しかし諦めまいと、アティスは捜索を続ける。


ア(あとはここだけか)


アティスは最後に残った場所を見ていた。


ア(たしかここって日本っていう国だよね。お願い!

  もうここしかないの!)


アティスは日本をくまなく探した。


ア(・・あれ?この人なんかおかしい)


するとある人間の内から、他の人間からは感じられない強い"何か"を感じた。アティスはそれが何かはわからなかったが、それに小さな希望を抱いた。それと同時にメリエヌスが話を始める。


メ『その様子だと見つからなかったようですね?』


?『ああ、どうやら誰かを犠牲にするしかなさそうだ

  な』


皆が皆、さらに表情を曇らせる。そこでアティスはメリエヌスに問いを投げかけた。


ア『ねぇメリエヌス先輩』


メ『どうしたのアティス?』


ア『その世界を移動出来る人って何か他の人と違うと

  ころとかないんですか?』


メ『そういえば焦っていて言っていなかったですね。

  世界を渡れる人間は他の人間と違って内に秘めて

  いるものがあります。それが何かは未だわかりま

  せんが、過去にその人間を発見した神は、『強い

  何かを感じた』と言っていました』


ア『そう、なんですか・・』


それを聞いたアティスの表情が段々と明るくなり、自然と涙が溢れる。


メ『どうしたんですかアティス!?』


ア『・・・ました』


メ『え?』


ア『やっと、見つけたました』


アティスはそう言い、先程までの暗い表情から一変し、明るい笑顔へと変わる。そして、アティス言葉を聞いた神たちは驚きの声を上げた。


メ『アティス、それは本当ですか!?』


ア『この人だけおかしいんです!間違いありませ

  ん!』


?『まだ安心できないぞ。赤ん坊や老人だったら何も

  出来ない』


ア『それは大丈夫です!歳は13歳で、体も特に異常

  無しです!』


?『13・・ならギリ大丈夫か』


?『ちなみにそいつの名前は?』









ア『村上・・・慎也です』


その名を聞いた瞬間、メリエヌスと黒髪の眼鏡をかけた男の表情が曇ったことに、アティスは気づいていなかった。




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