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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第一世界 第三章 仲間を想う力
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竜の一撃




(・・・は?)


突然のことで理解が追いつかない慎也は、ただただ呆然と目の前の光景を見るしか出来なかった。さらに、実際にオークキングと戦っていたハーツもこの状況に頭が追いついていない。その様子を見て、オークキングが口を開く。


『その顔、何が起こったのか、わけがわからないって感じだな』

「・・そりゃあそうだろ。自分が放った攻撃が、ただ突っ立ってただけの奴に効かなかったとか、理解できてもしたくねえよ」

(ハーツさんの攻撃は確実にオークキングを捉えてたはずだ。その間に、障害物とかがあったわけでもないのになんで矢は地面に落ちたんだ?)

『まあちゃんと説明してやるから安心しろ。矢が落ちた理由だが、それは俺が矢に向かって自身に流れている魔力を放出したからだ』

(魔力を放出?そんなことできるのか)

「・・なるほど。お前ほどの奴の魔力だ、俺の攻撃が落とされるのも納得がいく」

(さて、どうする俺?攻撃が効かないと分かった今、完全に打つ手がなくなった。やっぱり"あれ"を使うしかないのか?だがあれを使うと、もしオークキングを倒せたとしても、ほぼ瀕死状態の慎也を運べなくなるしな。何かほかに・・)

『それじゃあそろそろ、お喋りの時間は終わりだ。さっさと死んでもらうぜ』

(もうくんのかよ。残ってる矢は・・・ざっと10本か。こっからスキルをガンガン使っていかないとキツいが、矢が少ねえな。こうなるんだったらもっと持ってくるべきだったぜ)

『じゃ、行くぜ』


そう言うオークキングはハーツとの間合いを一気に詰め、連続で大剣を振るう。


(くっそ早い!直撃を避けるだけで精一杯だ)


次々と振われる大剣をハーツは、なんとか躱し続けるが、それでも攻撃の方が速さを上回っており、大剣が振われるたびにハーツの体に刃が掠る。


(このままだとジリ貧だ。どこかで反撃しないと、こっちのスタミナ切れでやられちまう)


ハーツは攻撃を躱しながら、反撃のタイミングを伺うが、そんな暇はやらんと言わんばかりにオークキングの攻撃の速度が上がる。


(やばい!くそ、ここは無理やり!)

「『ウィングショット』!」


危険だと感じたハーツは自身の胸部に魔法放って自分で自分を飛ばし、オークキングから距離を取る。そしてオークキングが近づいて来ないように、すぐさま矢を放つ。しかしオークキングは表情一つ変えず、矢を掴み捨てる。


『それで俺から逃げたつもりか?これくらいの距離すぐに・・』

「もう1発追加だ!『エアブラスト』!」


ハーツは緑色に光る球を放ち、追撃する。それをオークキングは大剣でガードする。すると緑色の球が大剣に触れた瞬間、爆発的な風が起こり、オークキングの体が後方に飛ばされる。


『・・・今のは中々よかったぞ』

「まだまだ!」

(こいつに攻撃の暇を与えたらさっきみたいにやばくなる。ずっと俺のターンにしねえと!)

「『ホーミングアロー』!」


3本の矢をそれぞれ別の方向に放ち、3方向からの攻撃をしかける。しかしその攻撃をオークキングは容易に躱す


『お返しだ。『斬連波』』

「っ!」


避けた直後、オークキングは大剣を3回振りハーツに斬撃を3つ飛ばす。それをハーツは間一髪躱すが、それによってオークキングに隙を見せてしまう。


『もらった!』

(やばっ・・!)

『さらに『フレイムボム』!』


気づいた時には、オークキングがハーツの胴体を大剣で斬っていた。そしてその衝撃で後方に飛んだハーツに魔法で追撃する。その魔法がハーツに触れた瞬間、小規模な爆発が起こった。


「ぐはっ!」

「ハーツさん!」

(あんなのもろに喰らったらさすがのハーツさんでもやばいんじゃ・・)


大きな傷に爆発のダメージが重なり、耐えれなかったハーツは地面に吐血する。


(やっば、今の結構体にきたな。大丈夫?これ俺死なない?まあ死ぬ気はないんだけど)


ふらつきながらも、なんとか立ち上がるハーツ。


(すげえ、あんなの喰らってもまだ立ち上がれるのかよ)

『・・それほどの傷を負っても立ち上がるか』

「こちとら元々職業は冒険者だ。体はそんなにやわじゃないんだよ」

(とは言ったものの、結構やばいな。俺もだけど、一番やべぇのは慎也だな。今はなんとか意識を保てれてるが、常人ならすでに死んでるほどの重症だ。早くエリシアに見てもらわないといずれ・・)

『ほう、ならこの剣を体にぶっ刺しても問題は無さそうだな』

「いや普通に死ぬんですけど。なんならオーバーキルだから」

(でもまずは、こいつをなんとかしねえと!ここまできたら出し惜しみは無しだ。タイミングを見計らってあれを使うしかない!)

『・・まだやる気のようだな』

「当たり前だ!もう少し俺の狩りに付き合ってもらうぜ!」


そういい放った瞬間、ハーツは『アロードール』を発動させ紫色のオーラを纏わせた矢を2本同時に放つ。


『またそれか、『斬連波』』


それを見たオークキングは斬撃を2本の矢にではなくハーツに向けて放つ。


(チッ、考えたなあいつ!こちとら避けるのでも結構辛いのに・・・一つくらいなら躱せるか?)


ハーツは放った矢を2本とも『アロードール』で2つの斬撃を相殺、残った1つの斬撃をなんとか躱す。


(残り5本か。あれを使うために1本は残しておきたいし、そうなると使えるのは4本か)

「飛ぶと着地のところを狙われるから曲射だな・・・これぐらいかな、『トラストレイン』!」


ハーツはちょうどオークキングに当たるように矢を上に放つ。そして数十本に増えた矢はハーツの計算通りにオークキング目掛けて向かっていく。


『さっきのこともう忘れちまったのか?』


数十本の矢がオークキングに当たる直前で、オークキングの放った魔力に弾かれ、その場で撃墜する。


(さーてどうしたもんかな。『トラストレイン』が通用しないとなると、もうあれしか打つ手がないな)

『それじゃあ今度はこっちから行くぞ』

「っ!やべ!」


オークキングは一気に距離を詰め、大剣を振るう。それをハーツはなんとか紙一重で躱す。


『腹がガラ空きだぜ!』

「ぐっ!」


オークキングは空いてる方の手で拳を作り、ハーツの腹部目掛けて勢いよく拳を打ち込む。それをハーツは間一髪で腕でガードするが、その衝撃で数m後方にぶっ飛ぶ。


『おまけの斬撃だ!『斬連波』!』

「っ!チッ、『ホーミングアロー』!」


攻撃を受けた直後で、避け切るのは無理だと思ったハーツは3本の矢で斬撃を相殺する。その衝撃で土煙が巻き起こり、ハーツの視界が土煙で覆われ、さらに今ので矢が残り1本になってしまう。


(残り1本・・・この一撃で決めないといけないな。これはちゃんとタイミングを見計らって・・)


しかしその瞬間、土煙の中からオレンジ色の球がハーツ目掛けて飛んでくる。


(!嘘だろおい!?)


突然のことで反応出来なかったハーツは、ガードも出来ずに球に当たってしまう。そしてその球がハーツに触れた瞬間、小規模な爆弾が起こり、ハーツはその爆破をもろに喰らってしまう。


『・・この感じは当たったみたいだな』


今の爆発で土煙が晴れ、手を突き出しているオークキングの姿が現れる。一方爆煙からは、地面に倒れている服も体もボロボロなハーツの姿が現れる。


(ハーツさん!)

『これでこいつも終わったな』


そう言うとオークキングは慎也のほうへ体を向ける。


『さて小僧。今お前はどんな気持ちだ?自分のせいで傷つかなくてもいい奴が今はボロボロな状態であそこで倒れている。それを見てお前はどう思うんだ?』

「・・んなもん聞かなくてもわかるだろ。最悪な気分だ」

『ま、そうだろうな。さてと、それじゃあさっさとお前を殺して、ついでにそこで倒れてる矢操の狩人も殺すか』


オークキングは慎也に歩み寄って行き、徐々に距離を詰めていく。


(くっそ、もうダメなのか!)












「おい・・・待てよ」


その言葉を聞き、オークキングは声のした方へと目線を向ける。


『・・ほう。まだ動くのか』


そこには、フラつきながらも立ち上がって、オークキングを睨むハーツがいた。


「まだこっちには切り札があるんだ。勝手に勝った気になってじゃねえ」

『切り札?今のお前じゃ、俺に何をしても傷一つ付けれないと思うが?』

「まあ黙ってみとけ」


ハーツは直立に立ち、矢筒から最後の矢を取り出してゆっくりと矢を引いて行き、その間に弓矢に自信に残っている魔力を全て注ぎ込んでいく。


(さあ喰らえ!これが俺の・・)

「全力だ!」


その瞬間、弓矢から膨大な魔力が溢れ出し、ハーツの体を黄色のオーラとなって覆う。そしてオーラは徐々に大きくなって行き、最終的に1本の柱のように上空へと伸びている。


(ハーツさん、何をする気なんだ?)

『これは・・・躱させてもらおうか』

(!まずい、このままだとオークキングがハーツさんの攻撃を避ける!どんなに強い攻撃でも当たらなきゃ意味がねえし、どうすれば・・・)


慎也は必死に思考を巡らせ、どうにかならないか考える。そして一つの考えにたどり着いた。


(今この場にいるのは俺だけじゃねえか、なら俺がオークキングを躱せない状態にすれば良い!)


腕が使えない慎也は、最後の力を振り絞り、頭と脚を使って不安定ながらも立ち上がる。


(今俺が出せる全力・・・『スラッシュストーム』しかねえか。おそらく魔力は足りねえが、多少の反動は我慢してやるから、発動してくれよ!)

「『スラッシュストーム』!!!」

『!?』


腕が折れた状態でも、なんとか手のひらをオークキングへと向け、今慎也が出せる渾身の一撃を放つ。慎也の声を聞き、オークキングは慌てて慎也の方へ向き直りすぐさま大剣でガードする。慎也の放った魔法が大剣に触れた瞬間、無数の斬撃が周囲に放たれ、オークキングは大剣でガードしているおかげで当たらなかったが、慎也は防御する術がないため、もろに斬撃を喰らってしまう。


(今です、ハーツさん!)


しかし慎也の狙いは、オークキングの意識を自分に向けること。狙い通りにいった慎也は、アイコンタクトをハーツに送る。


「!・・サンキュー慎也!」


意図を理解したハーツは、魔力をさらに高める。


「さあ、喰らえ・・・・『ドラゴントラスト』!!」


ハーツを覆っていたオーラが、勢いよく放たれた矢に吸い込まれるかのようにハーツを離れていき、それと同時に矢が光出し、次第に光る竜へと姿を変化する。


『!?しまっ・・!』


オークキングは慌ててハーツのほうに向き直るが、矢はもうすぐそこに来ていた。


「いけええええ!!」

(これで、終わりだ)

『くそがあああああ!!』


光る竜は勢いよく、オークキングの心臓を貫いた。




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