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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第一世界 第三章 仲間を想う力
34/211

芽生えた感情

今回はかなり短いです




慎也とリアが洞窟から脱出し、数十分後。2人は洞窟から離れた茂みの中で身を隠していた。


「ここまで来れば大丈夫でしょうか」

「ダメだったとしてもあいつの視界を奪ったんだ、あいつかあいつの手下が回復魔法を使えなきゃ追っては来れねえよ」

「それもそうですね」


2人揃って安堵の息を吐く。たった数時間で2人は普通では出来ないような体験をしたのだ、疲労が溜まっていても無理はない。特に慎也はオークたちにつけられた体中の傷、オークキングにつけられた胸を大きな切り傷、それも重なりかなり疲労が溜まっている。


「なあリア」

「は、はい。何でしょう?」

「魔力って回復してるか?」

「・・レベル1の魔法を使えるくらいには」

「だったらそこら辺で適当に枝を拾って一箇所に集めてくれ。それを燃やして明かりにしよう」

「慎也さん傷はいいんですか?」

「こんなもん寝れば治る。それより今は明かりだ」

「わ、わかりました」


リアは立ち上がり、言われた通りに枝を探しに茂みから出て行った。


(さて、これからどうしたもんか。リアの体力的に俺を担いで今夜中に街に帰るのは無理そうだ。それにリアも今日はかなり恐ろしい目にあってんだ、精神的にもキツいだろうしな、今夜は野宿か)


慎也はため息をついて、なんとなく空を見上げてリアが帰って来るまでの時間を潰す。


(あーこちとら死にかけたってのに何で空はこんなに綺麗なんだろうな。あ、流れ星。これからは今日みたいなことが起こりませんように!よし、これでいいだろ)

「慎也さん、傷の方は大丈夫ですか?」

「お、戻ったか。大丈夫だぞ、痛みにだんだん慣れてきてな、多少は痛くなくなった」

「そうですか」


リアは集めてきた枝を一箇所に積んで、『ファイヤーボール』で枝を燃やして焚き火を作る。


「これで明るくなったな」

「ですね」

「それじゃあ今日はもう寝よう」

「見張りとかしなくていいんですか?」

「大丈夫だろ。こんな夜に活動してる魔物なんていないだろうし。じゃあ俺は先に寝るな。今日はもういろいろありすぎて疲れた」


そう言うと慎也は近くにあった木に寄りかかり、目を閉じて眠りについた。








・・・リア視点・・・


「もう寝ちゃいましたか」


よほど疲労が溜まっていたのだろう、慎也は目を閉じて数秒で寝息を立て始めた。


(ほんとに、今日はいろいろありました。最初はただゴブリンたちを討伐しに来ただけなのに、突然オークたち襲ってきて、私とライルは必死に抵抗したけど、結局ライルはやられて、私は連れ去られちゃって。すると今度は慎也さんがオークの拠点に1人で潜入して私を助けに来てくれた。私のところに来る道中でかなりの数のオークと戦って、傷を負い、それでも諦めずに私を助けてくれた。でも、さらにそこに格上の実力を持ったオークキングが来て、慎也さんは立ち向かったけど大きな傷を負わせられてちゃった。そこで私はオークキングの奴隷になるっていう提案をのみ、慎也を助けようとしたけど、それを慎也さんは許してくれなかった。すでに限界が来てる体を動かして、また私を助けてくれたんだよね。そういえば、慎也さんが言ってた『ブーストアイ』と『スラッシュストーム』ってなんなんだろう?聞いたことないスキルだけど。まあ起きた後に聞けばいいや)


リアは寝ている慎也の方へ近づき、慎也の隣に座る。


(ふふ、もう爆睡じゃん。よっぽど疲れたんだね。そういえば慎也さんの寝顔見るのって初めてかも。慎也さんって普段はなんか気だるげにしてるから、こういう一面ってあんま見れないんだよね。今のうちに見とこうかな)


そう思い、リアは慎也の顔に自信の顔を近づける。


(・・あ、あれ?)


するとリアは鼓動が速くなっていくのを感じ、思わず胸に手を当てる。そして今度は、みるみると顔が熱くなっていく。


(わ、私どうしちゃっただろう。どこか悪いのかな?まあ今日はいろいろあったし、疲れてるのかも。私も寝よっと)


そして、自身の気持ちに気づかない恋する乙女は、木を背に、眠りについた。









「・・・・ん、んん」


すっかり朝日が上り、辺りが明るくなった頃。慎也は体を伸ばしながら目を覚ます。


(そういえば俺昨日はリアと野宿したんだっけ。傷とかは多少治ってるし、魔力も回復してるな。それじゃあさっさと傷を治してリアと帰るか)


慎也は自身の体に『ヒール』をかけ、昨夜受けた傷を治していく。そして完全に傷が癒えたところで、慎也は未だに寝ているリアを起こしに行く。


「おーいリア。もう朝だから起きろー」

「んーあと5分・・」

「いやこんな森一刻も早く出たいから無理。さっさと起きろ」

「わかりましたよ。ふぁ〜あ」


リアは体を伸ばし、眠たそうに目を擦りながら立ち上がる。


「まだ眠たそうだな」

「昨日あんだけ大変だったんですから。まだ寝足りませんよ」

「そうか。なら顔に『ウォーターショット』で目、覚まさせてやろうか?」

「寝起きの人に何しようとしてるんですか」

「冗談だ冗談。ほら、目ぇ覚めたろ。さっさとこんな森出ようぜ」

「それはいいんですけど、慎也さんどの方向行けば出れるとかわかるんですか?」

「あ?んなもんわかるわけねえだろ。方向に関しては勘で進むしかねえ」

「迷わなければいいですけど・・」

「おーいリア!置いてくぞ!」

「あ、ちょっと待ってくださーい!」


いつのまにか歩き出していた慎也を慌てて追いかけるリア。こうして2人は森の出口を目指してその場を後にした。
























(この跡・・・・時間帯と場所的にあいつらか)


慎也達が去って数分後。2人が明かりとして使用していた焚き火の跡を見て、不敵な笑みを浮かべる1つの影があった。




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