事情聴取
「・・・・・ん・・」
窓から差し込む日差しが顔に当たり、慎也は目を覚ます。
(・・・あれ、ここは?)
慎也が目を覚ましたのは、先日に一度来たことのあるギルドの医務室である。慎也は状況を確認するため、体を起こす。
(体は・・・痛くねえな。それに目も治ってる。たしか俺って倒れたんだよな?てことは誰かが運んでくれたのか?まあそこら辺はここの職員に聞けばいいか)
そう思い、慎也はベッドから立ち上がり、先日利用した時と同じように、壁に貼ってある利用者名簿の所まで移動する。
(さてと、さっさと名前とランクを書いて荷物を返してもらうか)
慎也は名簿に名前とランク書き、医務室を出る。
(てか俺って何日寝てたんだ?前回は偶然職員の人が来たから確認できたけど・・・まあそれより先に荷物だな。多分俺って誰かに運ばれて来たんだよな。てことは荷物も一緒に運んでくれたと思うんだけど。てか運ばれてないと結構困る。服とか金って全部リュックに入れてるから運ばれてない俺一文無しになる。剣もたしか森に置いてきたしな)
慎也は若干不安にながらも、廊下を歩いていく。そして階段に辿り着いた慎也は、階段を降りていく。
(てか今更思ったけど、俺が1階に行くとまたエテラさんが俺に駆け寄ってきてめちゃくちゃ目立つじゃねえか?)
そう思った瞬間、階段を降りていた足が止まる。
(やだなー、目立ちたくねえなー。でも降りねえと荷物あるか確認できねえし)
慎也は内心嫌がりながらも、渋々階段を降りて行く。
そして1階に着いた慎也は、周囲を警戒しながら受付を目指す。
(よし、このまま行けば!)
しかし、慎也は忘れていた。慎也を気にかける者はエテラだけではないということを。
「なあリア?あれって・・」
「え?慎也さん!?」
(あ・・)
ライルとリアが慎也のところに慌てて駆け寄る。一方慎也は完全に忘れていたと、呆然としてた。そして、慎也にとっての負の連鎖が起こる。
「慎也さん!?」
「え?あ・・」
(しまったああああああ!!!エテラさんにバレたああああ!!!)
エテラは仕事をほっぽかして、慎也の元に駆け寄る。
「おい慎也、怪我は大丈夫なのか?!たしか凄え怪我したって聞いたけど・・」
「慎也さんごめんなさい。私たちが一緒に行っていれば慎也さんは倒れることはなかったのに・・」
「いつ起きたんですか?!てか目覚めたならなんで私に言ってくれなかったんですか!」
「ちょ、一気に喋られても聞き取れないから!あとエテラさんさりげなく抱きつかないで!」
(あーもうこれ以上面倒事は増えないでくれよ!)
しかし、そんな慎也の願いは叶わず、慎也が降りてきた階段から男女2人組が降りてくる。
「おお慎也!お前目覚めたんだな!」
「あら、慎也さん目覚めたんですね。私、とても心配しましたよ」
(ここでギルドマスターと聖女の乱入は聞いてねえええええ!!!)
あれから数十分後。慎也はなんとか3人を落ち着かせて、「とりあえず慎也には聞きたいことがあるからついて来い」とハーツに言われ、慎也とエテラ、エリシアとハーツはギルド長室に来ていた。
「とりあえず、慎也。一体何があった?」
「あんな怪我しといて何もなかったとは言わせませんよ」
「いやちゃんと答えますから。今回の怪我は、パーティー推奨と書かれていた、ゴブリン討伐のクエストを調子に乗ってソロで受けたことによる、俺の自業自得です」
(うむ。改めて自分がどんだけバカなのか、今回で痛感できました)
「なるほど、それじゃあ聞き方を変えましょう」
そう言うとエリシアは、慎也を真剣な表情で見つめ、質問する。
「慎也さん。そのクエストの最中、何があったんですか?」
「・・・・その質問からして、俺をギルドまで運んでくれたのはエリシアさんですか」
「はぐらかさないでください」
「はぐらかしたつもりはないんですど・・・まあいいや、それじゃあ最初から説明しますよ」
そして慎也はクエスト中に起こったことを包み隠さず全て話した。
「・・・以上です」
「うーん・・慎也」
「なんですか?」
「お前もしかして結構マヌケか?」
(オブラートに包めや)
「しかし慎也さんがトドメに使った魔法が気になりますね」
「慎也さんのレベルとなるとレベル2の魔法ですか?でもレベル2の魔法であんな傷は・・」
「いやそれがわからないんですよ。レベルが」
「「「・・え?」」」
エリシアの質問に対する慎也の返答に、3人は疑問を抱く。
「レベルがわからないって、どういうことですか?」
「俺にもわかりませんよ。でもその魔法が書かれた紙には条件しか書いてなくて・・」
「一体どんな条件なんですか?」
(これ言っちゃっていいのかな?・・・・いや、エリシアさんは魔法使いって感じだからこの魔法のこと知ってるかもしれないし、話すか)
「えーっとたしか、Sランクのチャントスキルを所持している、っていう条件だったはずです」
その言葉を聞いた3人は、頭の上に?マークでも出るかのように首を傾げていた。
(うんまあそうなるよね。てかエテラさんとエリシアさんの首傾げ可愛いな!本人には絶対に言わないけど!)
「それで慎也さん。その魔法ってなんていう魔法なんですか?」
「たしか『スラッシュストーム』だったはずです。エリシアさん何か知りませんか?」
「・・・すみません。そんな魔法見たことも聞いたことありません・・」
「え、じゃあエテラさんとハーツさんは?」
「冒険者の中で一番魔法が詳しいエリシアが知らないことを俺たちが知ってるわけねえだろ」
ハーツの言ったことにエテラも首を縦に振りながら肯定する。しかし、慎也はその言葉に疑問を抱く。
「・・・いやいやいやいやちょちょちょちょっと待ってください!エテラさんはともかく、ハーツさんが知らないって言うのはおかしいでしょ」
「は?何言ってんだ?」
「いやそれはこっちのセリフですよ!だって『スラッシュストーム』の書かれた紙は・・・・ハーツさんがくれた本から出てきたんですから!」
その言葉に、エリシアとエテラの視線がハーツへと向けられる。すると、ハーツは少し考えら素振りをしてから、口を開いた。そしてハーツから出た言葉は・・
「いや、全然記憶にねえぞ?」
否定の言葉だった。




