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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第二世界 最終章 魔法の王
199/211

異質な2人の休日




牧本の問題も完全に解決した翌日。慎也は家でテレビゲームをしながらくつろいでいた。


(この雑魚害悪すぎるだろ。必中じゃないとはいえ、なんだ即死魔法連発って勝てるわけねえだろ)

「あーもうイラつく。なんか食べよ」


そう言ってコントローラーを置いて慎也は冷蔵庫に向かおうと立ち上がった。すると近くに置いてあったスマホが着信を知らせる音を出した。


ヴー!ヴー!

「誰だこんな朝っぱらに・・ってもう11時か」


気だるそうにでんわのあいてを確認する慎也。そんな慎也のスマホ画面に出ていたのは"原田"という文字であった。


(こいつからなんて珍しいな)

「もしもし?」

『村上ー?今何してんの?』

「今?ゲームだけど」

『なら暇ね。あんたの家に今から行っていい?』

「おおいいぞ来ても」

『え、嘘!?・・わかった、じゃあ今から行くからね?』


原田がそう言うと電話は切れた。


(俺が家入れるの許可するってそんな驚くことか?)




↓↓↓↓数十分後↓↓↓↓




(あーどうしよマジで。この雑魚今までのボスよりも強いんだけど。もうそろ攻略サイト解禁しようかな)

ピンポーン!

「原田か」


インターホンが鳴らされ、慎也はゲームを中断して玄関へ向かう。そして扉を開けると、そこには慎也の予想通り原田が立っていた。


「やっほー!」

「お前1人か。てっきり岸井と瀬屈も来ると思ってたんだがな」

「2人とも今日は家族とおでかけだって。だから暇つぶしに来たの」

「そりゃ可哀想に」

「てことでお邪魔しまーす!」

「へいへい」


そう言って慎也は原田をリビングに入れる。すると原田はソファに直行し、持って来たカバンをソファに座って自分の家かのようにくつろぎ始める。


「少しは遠慮ってのがないのか?」

「いいじゃん、私と村上だけなんだし」

「はぁ。まあいいや、飲みもん何がいい?」

「あるならコーラ。ないなら水かお茶で」

「りょー」


慎也はキッチンに向かい自身と原田のお茶を淹れ、それを持って原田の隣に座った。


「コーラくらい置いときなさいよ」

「炭酸飲めねえんだよ俺。だから絶対置かん」

「炭酸飲めないの!?珍しいわね」

「それより何すんだ?パーティーゲームならいくつかあるが」


そう言いながらゲームのコントローラーを握って原田の方を向く慎也。


「ん〜・・じゃあこれ!」

「りょーかい。ほいこれ」


慎也は2個目のコントローラーを原田に渡し、ゲームを開始した。











そして数時間後・・


「飽きた」

「だろうな」


今ある全ゲームとプレイ方法をどちらともやり尽くした2人に、飽きが来てしまった。


「そもそもパーティーゲームって2人でやるもんじゃないしな。亮太でも呼ぶか」

「あ、森塚なら今部活仲間と遊んでるから無理よ」

「・・じゃあ鈴川に」

「あいつ今日は家族と親戚の家に行ってるみたい」

「・・・やっぱ伊村しか勝たんわ」

「伊村は家族とお買い物〜」

「・・もしかして俺に電話したのって最後だった?」

「あ、バレた?だってまさかあんたが遊ぶなんて思わなかったんだも〜ん」

「はぁ・・」

「それより私お腹空いたんだけど?なんかないの?」

「図々しいなお前」


そう言いながらも、慎也は原田のためにキッチンに向かい冷蔵庫などを確認した。


(・・昨日パンと一緒に買えば良かったわ)

「なあ原田?冷凍食品切らしちゃってるから外食しないか?」

「あ、なら私行きたいとこあるー」

「りょーかい。じゃあ着替えてくるから玄関で待っててくれ」

「はーい」


昼食は外食と決まり、慎也は身支度をしに自室へと戻った。




↓↓↓↓数分後↓↓↓↓




「おまたせ」

「じゃあ早く行きましょ」


支度を終えた慎也は玄関を開けて外に出る。すると扉を開けた瞬間に寒風が2人を襲った。


「やっぱさみー」

「まあもう冬だからね」

「んで、お前の行きたいとこってどこなんだ?」

「いつものショッピングモールのレストラン。そこの期間限定のケーキが美味しいって話題なのよ」

「なに!?そういうことは早く言えよ!売り切れになる前に行くぞ!」

「え?う、うん」

(甘いもの好きとしてそれは見逃せん!)


ケーキという単語に目を光らせ、慎也は原田を連れて駆け出した。




・・・レストランにて・・・




「うまぁ〜!」

「よ、よかったわね・・」


無事にケーキにありつけた慎也は、幸せそうな表情でケーキを頬張っている。そして原田はそんな光景を苦笑しながら見ていた。


「サンキュー原田!お前が教えてくれなきゃ、こんな美味いもんを食えずに人生終えるところだったぜ」

「ど、どういたしまして」

(こりゃあ今日1日原田には頭が上がらねえな)


そう思いながらケーキを味わうこと数分。ケーキを食べ終えた慎也は昼食として注文していた料理を食べ始める。


「・・ちょっと冷めてるな」

「そりゃそれ放置してケーキ食べてたからね」

「つまり俺を夢中にしたケーキが悪いってことだな」

「いやあんたが悪いでしょ。てかそんなことよりさ」

「?」

「あんた、明日のクリスマスイブって誰かと過ごす予定あるの?」

「え?クリスマス?」


そう。この作品、細かい日付や日時の描写がないためわかりづらいのだが、慎也がこの世界来てすでに4ヶ月経っている(慎也がこの世界に来たのは8月23日だ)。つまり今日は12月23日なのである。


「あんた外見てみなさいよ。そこらじゅうクリスマスの装飾でいっぱいよ」

「マジ?」


原田に言われて窓から外を見る慎也。外は原田の言う通り様々な飾りつけがされており、その中でもショッピングモールの真ん中に植えられた大きな木は、クリスマスツリーとなっていた。


(ケーキのことで頭いっぱいになってたから気づかなかったけど、すごいな)

「さっき食べたケーキも、クリスマスに合わせて店が作った限定商品だったのよ」

「へぇ〜」

「・・あ、そうだ。村上ってこのあと暇でしょ?私の買い物に付き合ってよ」

「え〜めんど」

「ケーキ、村上のことだから私が教えてなかったら食べれなかっただろうなぁ」

「・・地獄の果てまでお供します」

「いやそこまで来なくていいんだけど」


このあとの予定が決まり、その後は雑談をしながら昼食を食べ終えた2人は、レストランを出てショッピングへと向かった。











「んで、結局買い物ってどこにいくんだ?」

「ここよ」


そうして2人がやってきたのは服屋。その服屋の入り口には、『クリスマスセール!全品20%OFF!』とでかでかと記載された看板が立てられていた。


「へぇ〜、太っ腹じゃん」

「ここ服の見た目も品質も良いから結構人気なのよ。だからいつもは混んでるんだけど、今日は本来平日だからね」

「まあ俺ら今休校中だからな。空いてるうちに来たかったのか」

「そゆこと。村上もいくつか見たら?あんたがいつまでこの世界にいるか知らないけど」

「・・それもそうだな」


それから2人は別れ、各々で店内を見て回った。


(ほ〜ん、このコートいいな。触った感じ暖かいし、ちょっと試着してみるか)


〜〜〜試着中〜〜〜


「暖か〜」

(これは買いだな。外出る時毎回これ着ていこ)


そこから慎也は、目に止まった服をどんどん試着して、気に入ったものはカゴに入れていった。


(まあこんなもんか。そんじゃ原田でも探すかね)


満足した慎也は原田を探して店内を歩き回った。


(あ、いた)

「う〜ん、どっちにしようかなぁ・・」


両手に服を持って悩んでいる様子の原田を見つけた慎也は声をかける。


「おい原田、買うもん決まったか?」

「あ、良いところに。今どっちかで悩んでるんだけどどっちがいいと思う?」


そう言って原田は両手の服を交互に自身の体に重ねて見せた。


「俺的にはこっちかな。どっちも似合ってるけど、こっちの方が原田らしさが出てていいと思う」

(まあ結構適当だけど)

「なに私らしさってwまあ村上がそこまで言うならこっちにしよ」

「それで最後か?」

「うん。それじゃ行こっか」


こうして買うものが決まった2人はレジへ向かう。


「・・ん?」

「どした?」


しかしレジ直前のところで原田が足を止める。それにつられて慎也も足を止めて、原田の視線の先にあるものを見た。


「・・なにこれ」

「こんな置いてるんだここ〜」


そこにあったのは、『クリスマス限定!これで君もサンタになりきろう!』とでかでかと書かれたネームプレートの下にかけられた、サンタのコスチュームであった。


「やっぱクリスマスといったらサンタだよね〜」

「しかも男用と女用もあるのか」

「・・見てみたい?」


そう問う原田の口角はニヤリと吊り上がっていた。一方慎也は意図をつかめず首を傾げる。


「え?何が?」

「だから〜、見たくないの?サンタコス」

「あ〜・・」

(原田のサンタコスか・・)

「ちょっと見てみたいな」

「やっぱあんたも男ね〜。でも伊村と鈴川って着るのかな」

「ん?お前が着るんじゃないの?」

「え?」

「え?」


ここで2人はお互いに困惑し始めて、少しの沈黙が訪れる。そしてその沈黙を破ったのは慌てる原田の声であった。


「・・いやいやいやいや!!私は!伊村と鈴川が着たところが見たい?って意味で言ったの!」

「いやわかんねえよ!状況と話の流れ的にお前が着るのかと思ってたわ!」

「・・・ちょっと待って。てことは村上って、私のサンタコス姿が見たいってこと?」

「まあそうなるな」

「そっか・・」

「・・・」

「・・・」


慎也の言葉に顔を赤くする原田。その反応に少し困惑しながらも、慎也は少ししてまた口を開く。


「・・んで、結局着るの?着ないの?」

「え!?え、えっと・・」

「いやまあ、嫌ならいいんだぞ?別にこれ買う気はないし」

「・・・」

「それにお互い買いたいもんはもう決まってるしな」

「・・いや、着るわ」

「え?」

「よくよく考えたら、私って伊村をいじめたことに関して謝罪はしたけど、2人に何かしてあげた記憶がないわ」

「いや別にそのことは・・」

「私が気にするの!」


そう言うと原田は女性用のサンタコスチュームを引っ掴んで近くの試着室へと向かった。


「はい!かご持ってて!」

「お、おう。てかマジで着るのか?」

「女に二言はないわ!ちょっと待ってなさい!」


そう言い放ち原田は試着室のカーテンを勢いよく閉めた。


(女にも二言はないのか)


そしてどうでもいいところに引っかかる慎也であった。




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