本当の友達
※発言者の頭文字が入ります
森「・・まとめると、慎也は他の世界の住人で、特別
な力を持ってるから世界を救うために神に頼まれ
て旅に出てて、そんで今回はこの世界を救いに来
たと」
慎「そゆこと」
お見舞いに来た亮太、花乃、原田、岸井、瀬屈の5人に慎也は自分が何者か、そしてこの世界にきた目的を包み隠さず話した。
原「なんか現実味が無くて信じられないけど・・」
瀬「実際怪物たちは現れてるし」
岸「村上が戦ってるところも見ちゃってるしね」
慎「まあすぐに受け入れられないのは無理ないよな」
伊「いや?むしろ今の説明のおかげでいろいろと合点
がいったわ」
慎「合点?」
森「まあそうだな。原田たちの件で見せたあの不可解
な力とか、球技大会で見せたスピードとシュート
は明らかに超人以上だったし」
伊「逆にあれだけの力持ってて普通の人間ですって言
われた方が怖いわよ」
慎「そ、そうか」
伊「てかそれよりも!私は鈴川が私たちを差し置いて
村上の正体を知ってたことが気に食わないわ!」
鈴「まあ私の場合は尾行して知りましたから。無理も
ないですね」
伊「そういうことじゃなーい!」
原「落ち着いて伊村!ここ病室!」
岸「他にも人いるから!ね?」
伊「なんか鈴川だけ特別扱いで気に食わなーいー!」
瀬「ちょっと2人。一旦伊村外に出そう」
そう言って瀬屈は原田と岸井と協力して喚く伊村を連れて病室を出て行った。
慎(何だったんだあいつ)
森「あ、そうだ。お前らがどんばちやったせいで敷地
がかなり荒れてな、工事のためにしばらく学校は
休校だってさ」
慎「マジ?ラッキー」
鈴「あなたならそう言うと思いましたよ」
森「でもその分、宿題とか出るみたいだぞ」
慎「めんどくさ」
森「まあそこはみんなで頑張ろうぜ。それじゃあ俺も
そろそろ行くわ」
そう言うと亮太は病室を出ようとする。しかし「あ、そうだ」と何かを思い出したかのように足を止めて慎也に向き直った。
森「慎也!」
慎「ん?どうした?」
森「俺たちは友達だよな?」
慎「そうだけど。なんだよ急に」
森「ならもう隠し事は無しだ!お前が異世界の住人だ
ろうと、特別な力を持ってようと、俺たちは離れ
たりしない。だからこれからは鈴川だけじゃなく
て、俺たちも頼ってくれよ?」
慎「亮太・・」
慎(・・心のどっかで、正体を話したらこいつらが怯
えて離れて行くのを俺は恐れてたんだな。これは
こいつらを信じれなかった俺が悪いか)
慎「・・そうだな。ならこれからは遠慮なくいくか
ら、覚悟しろよ?」
森「望むところだ!」
そう言って亮太は慎也とグータッチをすると病室を出て行った。
鈴「空気を読んで黙ってましたが、声が大きいです
よ。他の患者が寝ててよかったですね」
慎「あ、やべ。全然気にしてなかった」
鈴「・・でもよかったですね。これでやっと、あの5
人と"本当の友達"になれましたね」
慎「ああ、そうだな」
そうして慎也は安堵の笑みを浮かべながら2度寝に洒落込んだ。
そしてそれから1週間が経った。
慎「外の空気が美味いぜー!」
鈴「刑務所にいたわけじゃないんですけど」
予定より早く傷が治り(慎也がこっそり回復魔法をかけて)、慎也と怜は無事に退院できた。
森「おーい2人ともー!」
伊「遅いわよ!」
退院した2人を待っていたのは、いつもの5人であった。
慎「悪い悪い」
鈴「それで、これから私たちの退院祝いでファミレス
に行くんでしたっけ」
原「そうよ!それとこれは、今までのあんたたちに対
してのお疲れ様会でもあるから、私たちのおごり
よ!」
慎「マジか?病院食めっちゃ不味かったからいっぱい
食べてやるよ」.
瀬「へぇ〜、それは期待」
鈴「私もたまにはハメを外しますかね」
岸「ハメ外しすぎて太ったりしても知らないよ?w」
鈴「あなたたちと違って運動部なので大丈夫ですよ」
伊「それ私たちが太ってるって言いたいの!?」
慎「まあ鈴川ってスタイル良いしな」
鈴「・・・そんな急に褒めないでください」
森「え!?鈴川が珍しく照れた!?」
伊「むぅ〜!スタイルの話はいいから行くわよ!」
そう言って花乃は慎也の腕を掴んで目的の飲食店へと歩き出した。
慎「ちょちょ!そんな引っ張んなって!」
伊「あんたたち!早く来ないと置いてくわよ!」
原「ちょっと待ちなさいよ!」
そうして先ゆく2人を5人は追って行った。
慎「・・はぁ」
慎(こいつらはまったく変わらねえな)
そう思いながら、慎也は笑みをこぼすのであった。
しかし慎也たちが平和な時間を過ごしている中、別の場所では暗躍する怪しい影があった。
・・・???視点・・・
↓↓↓↓どこかの路地裏↓↓↓↓
「はぁ・・はぁ・・!」
何かから逃げるように、1人の男性が必死の形相で走っていた。路地裏には、その男性の走る音と、"ゆっくりと歩く足音"の2つが響いていた。
「はぁ・・はぁ・・うっ!?」
逃げるのに必死で足元を見ていなかった男性は、捨てられたゴミにつまづき転んでしまった。
コツ、コツ・・
「ひぃぃぃぃ!く、来るな化け物が!」
『いいわよ〜、そのままずっと恐怖を感じてなさい」
恐怖のあまり男性は体を震わせながら、その恐怖の原因の方を見た。そこには、愉快そうに笑う"黒いローブを身につけた女性"がいた。
『それにしても情けないわね。肩がぶつかっただけで怒ってきた、さっきまでの威勢はどこにいったのかしら?』
「お、俺が悪かった!だから頼む、許してくれ!この通りだ!」
『あなたが死んでくれたら許してあげるわよ』
「い、いやだ!死にたくない!」
そう叫びながら男性は立ち上がって逃げようする。しかしその瞬間、ローブの女性の後ろに魔法陣が現れ、そこから短剣が放たれて男性の頭を貫き、男性は血を吹き出しながら地面に倒れた。
『・・まあまあのエネルギーかしらね』
ローブの女性がそう言うと、倒れた男性の体から"黒いモヤのようなもの"が出てきた。それを見たローブの女性は、懐から"男性から出たモヤと同様の物が一杯に入った大きな瓶"を取り出して、その蓋を開ける。すると男性から出たモヤが瓶の中へと吸い込まれていった。
(この調子ならあと"一週間"といったところかしら)
『ふふ、待ってなさい村上慎也。あなたに地獄を見せてあげる』
そう呟くと、ローブの女性は自身の足下に魔法陣を出す。すると魔法陣が光出し、数秒すると魔法陣と共にローブの女性の姿も無くなっていた。