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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第二世界 第四章 正義の憎しみ
164/211

燃える遊園地




・・・花乃視点・・・


ドゴォォォォォォン!!!


「きゃっ!」

「花乃さん!」


突然の地響きによる衝撃で揺れる観覧車。その揺れで倒れそうになる花乃を篠宮が支え、外の様子を確認する。


「っ!なんだあれは!?」

(あれが最近テレビでやってた怪物・・)


外には、10mほどの巨体を持ち、翼と尻尾も生えた人型の赤いドラゴンがいた。そのドラゴンの足下の地面はへこみ大きなひびが出来ており、先程の地響きがドラゴンの仕業だということが知らしめられる。


『ギュウウウウ!!』

「なんかあいつ唸り始めたんだけど!」


花乃の言う通りドラゴンは突然"何かを溜める"ように唸り始める。するとドラゴンの喉が赤く光出した。


(あいつ何か・・!)

『ギャオオオオ!!』


その瞬間、なんとドラゴンは大きな咆哮と共に、辺りの建物に無差別に炎を放った。


「・・嘘だろ」

「賢斗、やばいよこれ・・!」


建物は焼かれ、そこからは遊園地に来ていた客や従業員たちの悲鳴が鳴り響く。その光景を見て篠宮と花乃の顔は青ざめていた。


(これが現実なの?みんなあれに焼かれるの?)

「いや、そんなのいや・・!」

「花乃さん落ち着・・っ!?」


恐怖で怯えて正気を失いかけている花乃を落ち着かせようとした篠宮だったが、あることに気付き体を震わせた。


「か、花乃さん・・」

「な、なに?」

「あいつ、こっちを見てる・・」

「え・・」


篠宮に言われて花乃はドラゴンの方を見る。ドラゴンはたしかに2人の方を見ているが、正確に言うと一人でに動いている観覧車を不思議がって見ていた。


『ギュウウウウ!!』

「「っ!」」


すると突然、ドラゴンは先程のように唸り出すと、喉を赤く光らせた。


「まさかまたあの炎を・・」

「いや、いや・・!」

(まだ賢斗に告白してないのに!こんなところで死にたくない・・!)

『ギャオオオオ!!』


しかし花乃の心叫び虚しく、ドラゴンは観覧車に炎を放った。


「誰か、助けて・・」









「やめんかおらぁぁぁぁぁ!!!!」


花乃の声に応えるかのように、ドラゴンはぶっ飛ばされて炎の軌道が変わり観覧車の真横を通り過ぎた。


「・・あ、あれ?熱くない・・」

「花乃さんあれ見て!」


篠宮に言われて花乃は外を見る。そこにはサングラスをかけた慎也がいた。




・・・慎也視点・・・


「はぁ・・はぁ・・」

(あっぶねーーーーー!!!)


ここまで急いで来たのか、慎也は軽い息切れを起こしながらぶっ飛ばしたドラゴンを見る。


(こいつマジで何やってんだよ、遊園地阿鼻叫喚やん。どうすんのこれ?)


辺りの状況を見て頭を掻いていると、後ろから怜も駆けつけてくる。


「ナイスです村上君」

「おう。それと鈴川、悪いが消防やらなんやら呼んでくれねえか?」

「もう呼んでますよ」

「仕事早いな。それじゃあ燃やされた建物から逃げ遅れた奴ら助けてきてくれねえか?」

「私もそのつもりですよ。ではご武運を」


そう言って怜は燃え盛る建物たちの方へと向かった。


「・・さてと」

『ギュウウウウ!』

「さっさと終わらせようぜ」


その瞬間、ドラゴンは溜めた炎を慎也に放った。慎也はそれを横に飛んで躱すと、ドラゴンに接近して拳に魔力を込める。


『ギャオウ!』

「!」


しかし、ドラゴンは体を回転させて尻尾で慎也を攻撃してくる。慎也は拳の魔力を腕に移して尻尾をガードするが、横に勢いよくぶっ飛ばされた。


(いった〜!こいつ炎ぼこすか撃つだけのバカじゃねえのかよ)

『ギャオオオオ!!』

「やべっ」


今度は複数の火の玉を慎也に放つドラゴン。それらを慎也は軽々と躱して、再度ドラゴンに接近する。


(今度は1発入れさせてもらうぜ!)

『ギャオウ!』

「あまい!」


接近してきた慎也に対してドラゴンは拳を放つが、慎也はそれを外へと受け流し、ドラゴンの懐に入る。


「おらぁ!」

『ギャアウ!?』


そのまま慎也は魔力の込めた拳でドラゴンの腹部を殴った。その衝撃でドラゴンは吐血しながら建物の方へと勢いよくふっ飛んで行き、衝撃で崩れた瓦礫の下敷きになる。


(あれ、今ので腹貫いて終わったって思ったんだけど、さすがにそう上手くはいかなかったか)

「はぁ・・・まあこれで終わらせよ」


そう言うと慎也はトドメを刺そうとドラゴンの埋もれている瓦礫に向けて魔力の込めた手を突き出す。


「『ドラゴンフレ・・」

『ギャオオオオオオウウウウウ!!!!』

「っ!」


しかしその瞬間、瓦礫の中から熱線が放たれる。その熱線で瓦礫が破壊されるが、ドラゴンはやられたことに正気を失っているのか、熱線をいろんな方向に放っていた。


(あーめんど。こういう時の対処法とか知らないんだよな)

「・・ま、躱してもう1発ぶちこめばいいか」


向かってくる熱線を躱しながら、ドラゴンへと接近する慎也。


『ギャオオウ!』

「!ありゃま」


しかしそこでドラゴンが正気を取り戻し、熱線を止めて慎也に複数の火の球を放つ。


「はい遅い遅い!」


それらを慎也は全て綺麗に躱し切り、ドラゴンの目の前へ来ると、ドラゴンの顔目掛けて飛びかかる。


『ギュウウ!』

(!マジ、そこで撃つか)


しかしその瞬間、ドラゴンは突然唸り始めると喉を赤く光らせる。


『ギャオオオオウウウウウウ!!』


そしてドラゴンは慎也に向けて今までで1番大きい火の球を放った。空中で身動きが出来ない慎也は、これを躱すことは出来なかった。









「『ウィングウォール』!」


しかしガードすることは出来る。慎也は魔法で自身の前に風の壁を出す。そして火の球が風の壁に当たると、大爆発を起こした。


「今のは惜しかったぜ!」

『ギャオウ!?』


爆煙を突き抜け、慎也は大量の魔力を込めた拳をドラゴンに振った。


『ギャオオオウウウウウ!!』


その拳はドラゴンの顔面に命中し、そのまま後頭部へ貫通して風穴を開けた。


「ふぅぅぅ終わったぁ」


ドラゴンが灰となって消滅する様子を見ながら、その場に座り込む慎也。


(さーてと、今ので袖に血がめっちゃついちゃったけどどうしよ)

「あれ、もう終わったんですね」


血のついた手と袖を見て考えている慎也のところに、自身の仕事を終えたであろう怜がやってくる。


「おう、見た目の割にそこまで強くなかったからな」

「まあ被害はこの前のガイコツと同じくらい大きいですけどね」

「ああそうだな。こりゃあ工事とか大変そうだな」

「それでその服どうするんですか?」

「・・・この遊園地って服屋とかある?」

「一応この遊園地のマスコットを模した服があります」

「この遊園地にマスコットなんているの?」

「たしかパンダみたいなキャラクターがいますね」

「パンダを模した服って絶対白黒やん。まあいいや、それでいいから持ってきてくれね?」

「私に盗めと?」

「世界救ってやってんだから、お礼の1つや2つあってもいいと思うんだ俺」

「・・それもそうですね」

「んじゃ頼むわ」

「はいはい」


そう言って怜は服を探しにその場を離れた。




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