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世界渡りの少年  作者: 憧れる妄想
第二世界 第四章 正義の憎しみ
163/211

2人っきり作戦




「あ〜〜・・」

「村上ー?大丈夫ー?」

「なんであなたがダウンしてるんですか」


先程のアトラクションでさめかけていた酔いが戻ってきて、さらに悪化し、気分を悪くした慎也はベンチに寝転んでいた。


「一応動けるけど・・・あれ、篠宮は?」

「お手洗いです」

「そうか。なら戻ってきたら行こうか」

「ちょっと無理しないほうが・・」

「いや大丈夫大丈夫。むしろ俺のせいでせっかくのお前のチャンスを無くすわけにはいかねえよ」

「村上・・」

(チッ、これまで色んな苦難を乗り越えてきたが、まさかここにきて酔いに苦しむとはな)


慎也がそんなことを考えていると、篠宮が3人の元に戻ってくる。


「おまたせ。村上君大丈夫?」

「ああ大丈夫だ。それじゃあ行こうぜ」

「でも次どこ行くの?」

「今何時なんだ?」

「10時ですね」

「ならもう1個アトラクション行こうぜ」

「・・あんたドM?」

「違うわ。アトラクション次第では休むつもりだから。てことで行こうぜ」


そう言って慎也は3人を連れて次なるアトラクションへと向かって行った。









「あー疲れた」


時刻は12時。アトラクションを堪能した4人は遊園地内にあるレストランの席に腰をおろしていた。


「何食べよっかな〜」

「私は決めました」

「僕もこれでいいかな」

「お前ら決めんの早すぎだろ」

「私もきーめた!」

(だから早すぎるんだって。こいつらは悩むことを知らんのか・・・俺はこれでいいか)

「俺も決めたわ」

「オッケー。すいませーん!」


メニューを決めて店員に伝えたところで、飲み物を取りに行こうと花乃が立ち上がる。


「飲み物取ってくるけど何飲む?」

「僕はコーラで。なければ水でいいよ」

「私はオレンジで」

「じゃあ俺は・・」

「村上は一緒に来なさい」

「なんで俺だけ!?」

「まさか私に4人分の飲み物持てって言うの?」

「・・はぁ、わかったよ」

「ちょっと待ってください!なら私が・・」

「鈴川は賢斗と待っててねー」

「鈴川・・・がんば」


そう言って慎也は花乃と共にドリンクバーに向かった。


「・・はぁ」

「ところで怜さん」

「・・なんですか」


この機を逃しまいと怜に話かける篠宮とそれにうんざりする怜。


(鈴川、すぐ戻るからな)


そんな2人を横目に慎也はコップに飲み物を入れていた。


「ところで村上」

「なんだよ?」

「このあとはどうするの?」

「・・どうとは?」

「いや、作戦とかあるんでしょ?」

「ないけど」

「・・・あんた私に借り返す気ある?」

「あるからこうして篠宮連れてきたんだろ」

「あんたねぇ・・」

「それに、何でもかんでも俺に任せるのはどうかと思うぞ」

「急な正論やめてくれる?でもそうねぇ・・」


少し考える素振りをする花乃。すると何かを思いついたのか、慎也に耳打ちする。


「・・それ鈴川にも一芝居うってもらわないといけなくないか?」

「まあ鈴川は賢斗のこと嫌ってるし、了承してくれるでしょ」


そう言って花乃は慎也を連れて席に戻った。


「はい賢斗、コーラ」

「ありがとう花乃さん」

「ほい鈴川」

「ありがとうございます」

「それでこのあとなんだけど・・」


その後は特に何事もなく4人は昼食を済ませて店を出た。









「あ〜もうこんな時間か」


数時間後。時刻は6時を回っており、太陽は沈みかけて周りには帰ろうする人たちがちらほら現れ始めていた。


「みんな帰り始めてるね」

「ねえみんな!」

(ここで開始か)

「最後にみんなで観覧車乗らない?」

「観覧車?」

「私は構いませんが」

「僕も大丈夫だよ」

「それじゃあレッツゴー!」


3人の了承を得た花乃は3人を連れて観覧車に向かう。


↓↓↓↓移動中↓↓↓↓


「わ〜すごい並んでる」


観覧車前には大蛇の如く長い列があった。


「みんな帰る前に考えることは一緒なのね」

「まあ観覧車は締めにちょうどいいからな」

「じゃあチケットを買いましょうか」

「うん」


そして数分後、"2枚"のチケットを買い終えて4人は列に並ぶ。


「どれくらいかかるんだろう?」

「あっちの看板には45分待ちって書かれてたぞ」

「結構かかるんですね」

「まあ気長に待とうよ」


↓↓↓↓数分後↓↓↓↓


「でねー・・」

「ははは」


大蛇の列に並ぶこと数分。4人は待っている間は適当に談笑(主に花乃と篠宮の)していて、そのおかげかスタート地点からかなり進んでいた。


(・・・まだだな)


列の進み具合と自分たちの位置を見て、何かの機を伺っている慎也。


↓↓↓↓さらに数分後↓↓↓↓


「・・〜なんだよね。鈴川はどう思う?」

「そこ私にふるんですか」


さらに数分後。列もかなり進み、4人はもう真ん中辺りまで到達していた。


「・・ここだな」


そう呟くと、突然慎也は腹を押さえて辛そうな顔をして3人に話しかけた。


「なあお前ら」

「どうかしたのかい?」

「悪いんだけど、なんか急に腹痛くなったからちょっと列抜けるわ」

「エーダイジョウブナノー?」

(伊村棒読みすぎだろ)

「でも今抜けると・・」

「ああ、多分もう間に合わないから、出番が来たら俺抜きで乗ってくれ」

「ワカッター」

「じゃあ俺はこれで・・」


そう言って慎也は出来るだけ辛そうな顔をして列を抜けた。


(・・もういいかな)


3人が見えないところまできた慎也は、腹から手を離して顔を戻し演技をやめた。


(さて、ここまでは作戦通りだな)


慎也はベンチに座りレストランで言われた作戦のことを思い出す。




『夕方くらいに、私が最後に観覧車に乗ろうって提案するから、あんたと鈴川はなんか理由をつけて抜けるの。そしたら自然と私と賢斗の2人になる。完璧でしょ?』




(騙す相手が実質篠宮だけなのが楽だったな)

「さーて、"あいつ"が来るまでゲームでもしてるかな」


そう言って慎也はスマホを取り出しゲームを始めた。


↓↓↓↓数分後↓↓↓↓


「・・ふぅ〜」

(やーっとドロップしたよコイツ!無駄に強い装備落とすのに無駄に確率低いとか、無駄ありすぎだろ)


ガッツポーズをして達成感に浸る慎也。するとその慎也に1人近づく者いた。


「ここにいたんですね、村上君」

「おー上手くいったのか鈴川」


一仕事終えたといった感じで鈴川は慎也の隣に座りため息をつく。


「なんか疲れてるな」

「まあ篠宮君がしつこくって」

「で、お前はどんな理由で抜けてきたんだ?」

「人酔いで。そしたら篠宮君が「僕もついてく」とか言い出して、伊村さんからの嫉妬の視線をスルーしながら説得するのは苦労しましたよ」

「・・お疲れ様」

「まあこれで、村上君を1週間自由に出来るのでいいですよ」

「俺は何させられんだよ」

「お楽しみです」

("嫌な予感"しかしなーい)


怜と雑談しながらゲームをする慎也。そしてそれからさらに数分後・・


「・・そろそろ2人が乗った頃でしょうか」

「まあもうかなり経ってるしな。手でも振ってみようか?」

「気づかないでしょう絶対」


そんな会話を2人でしてると、なんと慎也の先程の嫌な予感が思いもよらぬ方向で的中した。









ドゴォォォォォォン!!!


「「・・・」」


突然の地響き。そしてその地響きがした方向からはいくつもの悲鳴があがった。


「・・・鈴川、俺は今ものすごく帰りたい」

「奇遇ですね、私もです」


2人はため息をついて立ち上がり、それぞれお面とサングラスをつけた。




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